本を読まない理由は意外にも「ネットの方が面白い」以上に……

2009/09/09 07:56

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読書イメージネットマイルは2009年9月8日、読者に関する調査結果を発表した。それによると、調査母体で最近一か月の間にコミック・週刊誌・雑誌以外の書籍を1冊も読んでいない人が、本を読まなかった最大の理由は「本を読む時間が無い」であることが分かった。「読みたい本が無い」もその次に位置しており、「テレビやラジオ、ネットの方が面白い」は第三位に留まっていた([発表リリース、PDF])。


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今調査は2009年8月27日から28日までの間にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は600。男女比は1対1で年齢階層比は10代・20代・30代・40代・50代・60歳以上で均等割り当て。

出版業界(流通含む)の頭を痛めさせている本離れの主要因は「インターネット(携帯電話含む)の方が面白いから」とよく言われている。それでは実際に、調査母体においてこの1か月間に本(コミック・週刊誌・雑誌のぞく)を1冊も読んでいない人に、その原因を複数回答で尋ねてみることにした。するともっとも多くの人が選んだ選択肢は「本を読む時間が無い」で4割以上に達していた。

(最近1ヵ月に本を読まなかった方へ)本を読まなかった理由は何ですか?(複数回答)
(最近1ヵ月に本を読まなかった方へ)本を読まなかった理由は何ですか?(複数回答)

「本を読む時間が無い」が単純に「多忙で」なのか、「テレビやネットに時間を割いてしまって、読書にまで回す時間が無いから」なのか、どちらの割合が多いのかは今回答からだけでは分からない。とはいえ、「時間が無いから本は読まない」とする意見がトップについている事実は、非常に興味深い。

さらに興味深いのは、第二位の「読みたい本が無い」。回答者それぞれの趣味趣向もあるが、これは本の市場が読者の心をつかみ切れていないことを意味している。単純にネットやケータイなどのライバルの登場だけでなく、本・書籍自身のリサーチ不足も大きな本離れの原因といえよう。

本来「(本が売れないのは)他のメディア、特にインターネットや携帯電話の方が面白いので、そちらに興味関心を奪われてしまったからではないか」という仮説を後押しする回答は第三位の23.3%。決して少ない数ではないが、絶対的、というほどでもない。

今調査がインターネット経由で行われたにも関わらず、「ネットの方が楽しいから」よりも「時間が無い」「読みたい本が無い」が上位に来ている。これは、書籍市場の低迷の原因はインターネットや携帯電話だけに限ったものでは無いのかもしれないということを、示唆しているようにも見えるのだが、どうだろうか。



せっかくなのでもう少しデータを掘り下げてみる。「本よりテレビやラジオ、インターネットのほうが面白いから」と回答した人を、年齢階層別に区分して表にしたのが次の図。

(最近1ヵ月に本を読まなかった方へ)本を読まなかった理由は何ですか?(本よりテレビやラジオ、インターネットのほうが面白いからと回答した人)
(最近1ヵ月に本を読まなかった方へ)本を読まなかった理由は何ですか?(本よりテレビやラジオ、インターネットのほうが面白いからと回答した人)

各年齢階層の回答母数が少なめで、多少のぶれが生じている可能性がある。しかし「携帯電話に夢中な若年層の方が上では?」というイメージとは逆で、むしろ中堅層-高齢者の方が「テレビやネット、ケータイの方が面白いから、本は読まない」と回答していることが分かる(もちろん10代と60代では、テレビやラジオとネットへの重点は違うだろう)。書籍を企画・販売する側にも、現状を見据えた上での抜本的な意識革命が求められているのかもしれない。


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