【更新】新聞社サイトの有料化、実施すれば読者は1/25に減少!?

2009/09/01 05:19

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新聞イメージ情報サイト「ブロッチ」などを展開するアイシェアは2009年8月31日、新聞社のウェブニュース有料化などに関する意識調査の結果を発表した。それによると調査母体において、現行では原則無料のニュースサイトが有料になった場合、使用料金を払ってまで購読を続けたいと考えている人は全体で4%に過ぎないことが明らかになった。仮に有料化された場合、その後の状況変化により心境が変わる可能性もあるが、少なくとも現行では有料化を果たした場合購読者は、単純計算で現行の25分の1にまで減少することになる([発表リリース])。


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今調査は2009年8月7日から8月12日の間、無料メール転送サービスCLUB BBQの登録会員(携帯電話による個人認証を利用したもの)に対して行われたもので、有効回答数は592人。男女比は57.9対42.1で、年齢階層比は20代37.0%、30代30.4%、40代32.6%。

【米新聞社サイトのアクセス動向】でも触れているが、アメリカの「メディア王」とも呼ばれ、メディア大手のニューズ・コーポレーションを率いるルパード・マードック氏は2009年8月5日、傘下の新聞サイトを1年以内にすべて有料化する方針を明らかにした。これは新聞事業が大きな赤字を抱えていること、さらに同氏の「質の高いジャーナリズムは高くつく。内容を無料で提供することは、資産を切り売りしているのと同じことだ」「有料化の先陣を切ることで読者の減少に見舞われようともかまわない。もしわれわれが成功すれば、世界中の新聞が追随するだろう」という考え・方針によるものとされている。

それでは実際に、現在無料のニュースサイトが有料になった場合、利用料を支払ってニュース購読を続けたいと思うだろうか。リリースでは単純に「ニュースサイト」とだけ表記されているが、元々が「新聞社のウェブニュースの有料化を考える」というテーマの上での設問である以上、これは「新聞社の無料ニュースサイトが有料になった場合-」と考えてよい。

無料のニュースサイトがもし有料になった場合、利用料を払ってニュース購読を続けたいと思いますか?
無料のニュースサイトがもし有料になった場合、利用料を払ってニュース購読を続けたいと思いますか?

対象となる新聞社、払うべき金額、支払い方法など細かい要件設定により数字は多少上下するのだろうが、概論として「有料になったら」というレベルでは「有料でも購読派」はわずか4%しかいなかった。各種階層別にみると、男性より女性の方が拒否反応が強く、年を経るにつれて「強い拒否反応」は和らいでくるように見える。

「有料化」でも購読継続は
全体の4%に過ぎない。
単純計算なら有料化を果たせば
購読者は現在の1/25になる。
仮に有料化に踏み切った場合、その後有料会員が脱会したり、コンテンツの誘惑に負けて有料会員となるなど、購読派の数字が変化する可能性はある。しかしすべての人がこの割合に従って判断した場合、冒頭でも触れたように、新聞社のサイトの有料化による購読者の変化は「1/25」になる可能性がある。

それでも採算が取れる、あるいはビジネス的に運用が可能ならば、それを選ぶのもまた一つの選択肢といえよう。紙媒体の新聞でたとえれば、(部数は1/25になるのだから広告収入も当然激減した上で)新聞代金だけで売り上げをあげていくようなものだ。



かのマードック氏は「質の高いジャーナリズムは高くつく」と評している。それは日本でも通用する言葉ともいえる。しかし現状ではかくたる結果が出ている。さらに追い打ちをかけるようになるが、「ウェブニュースサイトを読むときの利用料は、有料・無料どちらを選びますか?」という問いには、約98%の人が「無料だけ選ぶ」と答えている。

ウェブニュースサイトを読むときの利用料は、有料・無料どちらを選びますか?
ウェブニュースサイトを読むときの利用料は、有料・無料どちらを選びますか?

読者のほとんどは無料に慣れているのかもしれない。しかしその一方、「質の高いジャーナリズムは高くつくのは事実だが、現状では質が高い=高い対価を提供する価値があるジャーリズムには出会えていない」という可能性も否定できない。実際、最近一つの動きとして、著名作家や評論家、アナリストが発行するメールマガジンの有料化が活発化しているのが良い事例である。

ニューズ・コーポレーション社による有料化が始まれば、日本でも似たような動きを見せるかもしれない。しかしその姿勢に読者はついてこれる・首を縦に振るだろうか。「正しい」現状認識を放り投げ、自己弁護に奔走し、挙句の果てに【500億円で足りよう】などと間接的公的資金の投入を暗に要求する姿勢を見せるようでは、読者を引き付け続けるのは難しいかもしれない。


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