【更新】利益が出たぞ、さぁ「従業員の給与アップ」?「株主への配当アップ」? 上場企業の考えは変わる

2009/08/17 07:55

二者択一イメージ2009年8月10日に掲載した記事【日銀レポートによる「なぜ好景気でも賃金は上がらなかったのか」】でも解説した、日本銀行関係者による7月22日に公開された研究レポート【賃金はなぜ上がらなかったのか? - 2002-07年の景気拡大期における大企業人件費の抑制要因に関する一考察】では、その推論を解説するために、複数の図表が展開されていた。今記事ではその図表の中から、日本の上場企業における経営方針の移り変わりを示唆する一つのデータを提示してみることにする。具体的には『日本企業の「利益に対する考え方」』というデータである。

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データの大本は内閣府による【平成19年度年次経済財政報告】の中で実施された、【「企業の新しい成長戦略に関するアンケート」について】によるもの。これは2007年2月に郵送方式で上場企業を対象に行われたもので、有効回答数は979社。そこにおいて、自社の利益に対しどのような方針・考え方を持っているか、その傾向を5年前と現在(つまり調査時点の2007年)それぞれについて尋ねたもの。具体的には、

A:最大の利益を計上するよりも従業員の給与・賃金を確保することを優先する経営。
B:人件費も他の経費と同様にできるだけ抑え、なるべく利益を計上し、株主への配当を優先させる経営。

との2項目を挙げ、AとBどちらに近いかを尋ねている。

日本上場企業の「利益に対する考え方」(2002年と2007年)※無回答は除外して計算
日本上場企業の「利益に対する考え方」(2002年と2007年)※無回答は除外して計算

元々「Aに近い」「ややAに近い」という上場企業が少なかったこともあるが、2002年から2007年にかけて「A派」と「どちらともいえない」という「中間派」が減り、「ややBに近い」という「B派」が増加しているのが分かる。

二者択一イメージこれは【日銀レポートによる「なぜ好景気でも賃金は上がらなかったのか」】【外国人株主の増大が企業の「株主重視姿勢」を後押し!?】にもあるように、「(主に外国人)株主からのガバナンスの強まり(要は「配当をもっと増やせ」という圧力)」によるものであることが容易に想像ができる。中長期的に考えれば企業の安定・継続的な事業運営と配当の支払いのためには、BよりもAの方が望ましいのだが、どちらかといえば短期の収益に重点を置く外国人株主には「より速く、より多くの現金を手元に」が優先されてしまう、と考えれば道理である。

業績好調期でも従業員の手取りにあまり反映されなかった理由の一つが、「企業の利益に対する考え方の変化」によるもので、増えた利益の配分が従業員にではなく、株主配当に回されてしまった。全部が全部ではないが、決して小さくない要因であるのも事実だろう。

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