電通と博報堂の第1四半期決算をグラフ化してみる

2009/08/11 15:06

グラフイメージ広告代理店国内最大手の[電通(4324)]は2009年8月10日、2010年3月期(2009年4月-2010年3月)第1四半期決算短信を発表した。売上高は前年同期比マイナス18.2%、経常利益が同じくマイナス59.2%と大きく縮小を見せたものの、税務上の損金算入が認められたことによる法人税還付などが貢献し、純利益はプラス23.1%と大きな伸びとなった。今回はこの電通と、日本第二位の広告代理店【博報堂DYホールディングス(2433)】が同年8月5日に発表した同第1四半期決算短信を合わせ、おもな指標についてグラフ化を行い、広告業務・広告市場の現状を垣間見ることにする。

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まずは直接の業務成績に当たる、売上高・営業利益・経常利益・四半期純利益の前年同期比比較。なおこれも含めた全グラフ・データに言えることだが、博報堂は今期からデジタル系広告代理店【デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)(4281)】を連結子会社に収めており、純粋な比較は意味がやや薄いことをあらかじめ記しておく。

電通と博報堂の2010年3月期第1四半期決算・連結業績(前年同期比)
電通と博報堂の2010年3月期第1四半期決算・連結業績(前年同期比)

両者とも売上高が2割近く減少しているだけでも結構大きな痛手なのだが、特に博報堂は各種利益が大きくへこんでいるのが痛い。売上総利益率の改善や販売管理費の削減など、コスト圧縮を続けているが、売上の減少をカバーするまでには至らなかったようだ。なお電通が最終利益において大きくプラスをみせているが、これは冒頭でふれたように「過年度に計上した上場株式の評価損の一部について、税務上損金算入が認められたことによる過年度法人税等の還付など」(22.3億円)が原因。

続いて事業種類別の売上における前年同期比。

電通と博報堂の2010年3月期第1四半期決算・連結業績(売上・前年同期比)(事業種類別)
電通と博報堂の2010年3月期第1四半期決算・連結業績(売上・前年同期比)(事業種類別)

【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2009年8月発表分)】でも触れているように、4大既存メディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)、特に紙メディアの売上減少が著しいが、博報堂においてはその他の一般広告メディアの減退が進んでいるのが気になる。一方、電通はプラス0.1%、博報堂にいたってはプラス107.9%と大きな伸びをみせているのがインターネットメディア。特に博報堂がここまで伸びているのは前述したように、DACが連結子会社化したことが大きく貢献している。

「他メディアは売上減っているが、インターネットがここまで伸びているのだから、業績はさほど悪くならないはずなのに…」と思う人も多いだろうが、前年同期比ではここまで伸びているインターネット広告も、全体に占める売上高としては些細なレベルに過ぎない。

電通と博報堂の2010年3月期第1四半期決算・連結業績(売上高構成比)
電通と博報堂の2010年3月期第1四半期決算・連結業績(売上高構成比)

博報堂でも5%、電通にいたっては2%程度しか売上に貢献しておらず、全体の収益を押し上げるまでにはいたっていない。大きな売り上げを占めるテレビ、マーケティング・プロモーション部門などが落ちていることで、全体の足を引っ張っているのが分かる。



なお広告主別の売上も発表資料に記載されているが、それを見ると自動車・関連品や情報通信、飲料・し好品、金融・保険などの上得意客が大きく広告出稿を減らし、それが痛手になっていることが分かる。両社とも経費削減や業務の効率化など、積極的なコストカットを断行しているが、状況の変化がそれを上回るスピードで進行している形だ。

広告出稿企業側はともかく、出稿先のメディア同様広告代理店である両社も、状況の急変と現状に対応した体制作りが求められているのだろう。今回の短信内容が「生みの苦しみ」で、今後事態が改善されていくことを願いたいものだ。

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