年収100万円以下では4割強・2000万以上では9割超え…持ち家率と年収の関係をグラフ化してみる(2014年)(最新)

2014/08/05 15:30

価値観は人それぞれのため賃貸住宅の方が身軽で良いとの意見を持つ人も少なくないが、多くの人は自分の持ち家を有することを望んでいる。一方で自転車や扇風機ほどの気軽さで買える金額ではないため(大抵の人にとっては人生で一度きりの買物、あるいは受取物となる)、住宅購入には慎重になり、またなかなか手が届かないものでもある。今回は総務省統計局が2014年7月29日に発表した、2013年時点における住宅・土地統計調査の速報集計結果をもとに、住宅の所有権を世帯主が持つ居住用住宅、いわゆる「持ち家」の保有率について、その世帯主の年収別の動向を確認していくことにする(【発表ページ:平成25年住宅・土地統計調査】)。

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今調査に係わる調査要項は先行記事の【住宅の空き家率は13.5%で過去最高に】を参考のこと。

「持ち家」の普及率に対する表現としては2種類ある。一つは「居住世帯が住んでいる住宅に占める、持ち家率」。これを『持ち家住宅率』と呼ぶ(2013年時点で61.9%)。

今回取り上げるのは「普通世帯全体に占める、持ち家に居住する主世帯の割合」。これは『持ち家世帯率』と呼び、2013年時点では61.6%に達している。つまり全世帯の6割程度が自分の持ち家に住んでいるとの計算になる。

これを各世帯全体(世帯主だけでなく構成家族全員)の年収別で区分したのが次のグラフ。

↑ 世帯の年間収入階層別持ち家世帯率(2013年)
↑ 世帯の年間収入階層別持ち家世帯率(2013年)

このグラフの区分はあくまでも「”回答時点”の世帯年収別」であり、「住宅購入・入手時の年収」ではないことに注意が必要になる。たとえば遺産相続で住宅を譲り受けたり、「かつては高収入でその時に住宅を購入した」が「収入主が別居・死別などで居なくなり、あるいは転職や失職、退職で今は低収入」とのパターンも考えられる。

とはいえ、世帯年収の差で最大2倍強の「持ち家世帯率」に差が出ている実態は、「目指すは一国一城の主」との言葉の実現が、収入という現実問題を避けて通れないことがあらためて認識できる。もちろんその差異は良くない、だから所有権付き住宅を無料で配ろうとの主張は、現在の日本では無茶でしかない。ともあれ色々と難しい現状を、このグラフは提起しているようにも見える。

興味深いのは前回調査2008年時点の結果からの変移(2008年から2013年に渡り年収区分で変更がなされているため、実数を基にすべて算出し直している)。低年収層ほど持ち家世帯率が上がり、高年収ほど減少する傾向が確認されている。

↑ 世帯の年間収入階層別持ち家世帯率(2008年から2013年への変移)
↑ 世帯の年間収入階層別持ち家世帯率(2008年から2013年への変移)

各階層の取得理由や年齢などのクロスデータが存在しないので推測でしかないが、恐らくは中堅層で年収がさほど高くない世帯に対し、その上の世代からの遺産としての住宅譲与事例が少なからず生じたのだろう。一方で高年収層における持ち家世帯率の減少は、理由について皆目見当がつかない。単なる誤差の範囲とも見ることが出来るが、ここまで年収の区切りでプラスとマイナスの区切りが出ている点は、非常に気になるところではある。



ちなみに同資料には家賃がリーズナブルなことで定評のある、「公営借家(都営、市区町村が運営する賃貸住宅。いわゆる「公団」)」「UR/公社借家」「給与住宅(社宅や公務員住宅などのように、会社や団体、官公庁などが所有または管理して、その職員を職務の都合上または給与の一部として居住させている住宅のこと)」の世帯年収別世帯率も掲載されている。こちらも参考までにグラフ化し、状況を確認しておく。

↑ 世帯の年間収入階層別 公営借家、UR/公社借家、給与住宅世帯率(2013年)
↑ 世帯の年間収入階層別 公営借家、UR/公社借家、給与住宅世帯率(2013年)

給与住宅はある程度規模の大きな企業、あるいは公務関係でないと利用出来ない(あるいは存在しない)場合が多く、ゆえに世帯年収もそれなりに高めなものとなる。一方、公営借家やURなどは世帯年収が低い世帯の利用率が高く、特に公営借家の低年収層における利用率は抜きんでている。これらの層にとって、公営・公社の借家は大きな支えであることが分かる。

条件のそれなりに良い公営借家は今でも競争倍率が高く、なかなか当選しない。利用されている現状を踏まえ、またその存在意義を反映し、「しかるべき人たち」に提供されてほしいものである。


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