賃貸住宅の空き家率推移をグラフ化してみる(最新)

2020/02/19 05:24

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2020-0209総務省統計局は2019年4月26日、2018年における住宅・土地統計調査の速報集計結果を発表した(【発表ページ:平成30年住宅・土地統計調査】)。今回はこの公開値を基に、先行する記事で解説した「住宅全体の空き家率(13.6%、2018年分)」ではなく、賃貸住宅に限定した上での空き室率、つまり「賃貸住宅の空き室率推移」を算出、確認していくことにする。

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今調査の調査要項は先行記事【住宅の空き家率は13.6%で過去最高に(最新)】を参考のこと。なお、その記事における「空き家」とは、居住世帯が無い住宅のうち、建築中や一時現在者のみの住宅を除いたもので、賃貸用・売却用・二次的住宅・その他の類すべてが含まれている。

そして今件で取り上げる賃貸住宅の空き家率だが、具体的には次の式で算出される。

「賃貸住宅の空き家率」=
 「空き家の賃貸住宅数」÷(「空き家の賃貸住宅数」+「居住世帯のある賃貸住宅数」)

「空き家の賃貸住宅数」は1978年より前は計測されていないので、それ以降のもののみを抽出し、各年毎の値を用いて空き室率を算出、それをグラフ化したのが次の図。

↑ 賃貸住宅戸数と空き家率(戸数は万戸)
↑ 賃貸住宅戸数と空き家率(戸数は万戸)

↑ 賃貸住宅戸数全体と同空き家の増減率(前回調査比)
↑ 賃貸住宅戸数全体と同空き家の増減率(前回調査比)

賃貸住宅の供給数自身は大きな伸びを示しているが、それとともに、むしろそれ以上の割合で空き家数も増加。結果として空き室率も増加する結果となっている。もっとも2013年以降は伸び方も落ち着きを見せ、空き家の増加度合いも大人しいものとなっている。概算ではあるが、2018年時点で賃貸住宅5戸のうち1戸近くは空き家、との計算になる。

もちろんこれは全国平均で、しかも物件の築年数や立地条件などによる区分もない。築数十年が経過してあと数年で立て壊す予定の賃貸住宅も含まれている。首都圏の駅そばに建てられた新築賃貸住宅も、押し並べて2割近い空き室率を数えているわけではない。当方の経験の限りでも、「10戸の賃貸アパートで入居世帯は1、2世帯しかない」といった閑散な物件も条件次第では見受けられるので、絞り込みの条件次第でこの「18.5%」とは違った値が出る。

試しに大まかな地域別で、賃貸住宅の空き家率を算出した結果が次のグラフ。

↑ 地域別賃貸住宅空き家率(2018年)
↑ 地域別賃貸住宅空き家率(2018年)

やはり多少ではあるが、関東地区の方が空き家率が低く、地域の方が高い値を示している。ただし近畿大都市圏では唯一2割を超える値を示しており、近畿の賃貸住宅事情がうかがい知れる結果が出ている。

また経年別「空き家率」の増加の要因には、既存の経年賃貸住宅の建て替えが進んでいない可能性もある。直上で触れている「築数十年が経過してあと数年で立て壊す予定の賃貸住宅」も含め、「そろそろ建て直しの時期では」と見える外装・内容の賃貸住宅が、今だに多数存在しており、それらへの新規入居者が(当然ながら)少ないのも、空き家率増加に拍車をかけているものと考えられる。過去の水準・流行で設計された賃貸住宅の人気が低く、空き家率が上昇するのは当然の話。



今後は古い賃貸住宅の建て替えが進むとともに、人口の減少、世帯数の増加(人口は減るものの世帯構成人数も減少し、一人暮らしが増えるため、世帯数は漸増する)など、複数の要因が絡むため、賃貸住宅の空き家率がどのような動きを示すのかは予想がつきにくい。実際直近の2018年においては、その前回調査の2013年分から0.3%ポイント減少している。

人口構成の変化なども合わせ、どのような動きを示していくことになるのか。大いに注目したいところではある。


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