企業社員がおススメする音楽番組ランキングをグラフ化してみる

2009/07/22 18:05

音楽番組イメージ[トヨタ自動車(7203)]や【東京電力(9501)】など大手企業26社から構成される「優良放送番組推進会議」は2009年7月22日、独自に参加企業の社員に対して行ったアンケートの調査結果による「第4回アンケート調査結果・音楽番組ランキング」を公表した。それによると、トップについた番組は平均点・合計点ではテレビ朝日(系列、以下略)の「題名のない音楽会」、回答者数ではやはりテレビ朝日の「ミュージックステーション」であることが明らかになった。各項目第三位までには「Music Lovers」や「僕らの音楽」、「うたばん」「MUSIC FAIR」などが入っている。今回の「音楽番組ランキング」では対象番組数は30に登ったが、最下位のうち2項目で「洋子の演歌一直線」がついている(【発表リリース】)。

スポンサードリンク


「優良放送番組推進会議」とは大手企業(要はテレビ放送のお得意様的スポンサーとなりうる企業)から構成されている団体。設立主旨は「日本の混迷状態の一因は、世界の情勢から大きくかけ離れているテレビ放送にある。しかし単純に良し悪しを判断すると表現の自由にかかわる問題となる。そこで『良い番組』を推挙すれば、番組の向上に役立つだろうと判断。放送番組動向に関心のある企業が調査に協力して世間に結果を公表することで、間接的にテレビ放送に対する『意見具申』をして優良な番組展開が期待できる」というもの。

今調査は参加企業の社員424人に対し、2009年7月1日から7日に放送された30の音楽番組(時間帯は平日の場合のみ19時以降に限定、10分以下で演奏のみの番組は除く)に対し、任意に番組を選んでもらい、5段階評価(3:とても興味深く推薦したい、2:興味深く推薦したい、1:普通、0:特に感想が無い マイナス:マイナス評価(集計上はゼロ扱い))を依頼し、その平均得点で順位を決定する。選択されない番組は「見向きもされない」「知らないので評価できない」ということでゼロ扱い。年齢階層、男女比などは非公開だが、各番組への投票結果では20代から60代以上まで20歳くぐり・男女別の区分(m1-m3、f1-f3)が内部的に行われていることが確認できる。

詳細な一覧はリリースにあるが、ここではいくつかの要素を抜き出してみることにする。まずは全番組の平均点順位、回答者数順位の上位5位(回答者数順位は5位が同点なので6番組)をグラフ化する。

平均点順位
平均点順位

回答者数順位
回答者数順位

平均点は「投票した人の」点数平均。知名度の高さとはまた別で、評価した人の評判の良し悪しを示す。極端な話、一人だけしか投票せずに「3」の評価を入れればその番組は「3」の平均点を確保できる。

一方「回答者数」は424人のうち何人が投票したか。いわば良し悪しを別にした「知名度」(どれだけ知られているか)とほぼ意味を同じくする。もちろん回答者数が多くても評価が低いのなら得点は低くなるので、平均点は下がる。回答者数上位に入っていて、平均点上位に姿を現していない番組は、評価の内容が幅広い(良い評価もあれば悪い評価もある)ことを意味する。

今回は最低回答数が43人とそれなりの値を示しており(参加者の1割超え)、番組数そのものの少なさも相まってか、「回答者数が少ないのに高評価をつける人が多く、支持者絶対数が少ないのに平均点で上位に来てしまう」という問題児的な上位番組は見られなかった。

「評判」と「知名度」、双方を加味するには「多くの人からたくさんの点数・高評価をもらえたかどうか」、言い換えれば「得点総数」を見る必要がある。知名度が高くても各回答者数の評価(得点)が低ければ得点総数は低くなるし、評価が高くても知名度が低ければやはり得点総数は上がらないからだ。その得点総数こと「合計点」の表が次の図。

合計点順位
合計点順位

合計点では「題名のない音楽会」がやや他を先行する形の309ポイントででトップ。ついで「ミュージックステーション」「MUSIC FAIR」など、いずれも老舗の音楽番組がそれぞれ275・274ポイントで第二位・第三位についている。面白い傾向を持つ番組としては「ミュージックステーション」あたりが目に留まる。「ミュージックステーション」は他の上位陣番組と比べて平均点が低い(1.22で第9位)ものの、回答者数、つまり見ている人の数が圧倒的に多く、合計点で上位につく結果となっている。

その他の傾向としては、

・NHK系列の番組は平均点が高いものの回答者数が少なく、合計点ではあまり上位についていない。つまり「視聴者の評価は高いが視聴率そのものが低い」。
・平均点、または回答者数のどちらか一方だけが特異的な上位値を示し、合計点順位を上げている番組がいくつか見られる。
・演歌系は全般的にあまり受けが良くない。
・幅広い年齢階層に受ける番組がある一方で、若年層のみ、壮齢層のみに受けの良い番組もある。

などの傾向が見られる。NHK系列の音楽番組については元々若年層向けの構成をしているものが少ないこと、放送時間も若年層が好んでテレビを見る時間に放送するものが少ないことなどが、「合計回答者数が少ない」という結果を導いてしまっている。実際、年齢階層別の回答者数上位5位を見ると、20-30代ではNHK系列は番組数ゼロなのに対し、40-50代では1つ(5位)、60歳以上になると2つ(1位と2位)という結果が出ている。

また、先にあげた「ミュージックステーション」について年齢階層別の順位をみると、

●平均点(回答者の評価)
・f3…4位

●回答者数(観た人の数)
・m1…1位 ・m2…1位 ・m3…3位
・f1…1位 ・f2…3位 ・f3…4位

※m(f)1……男性(女性)20-30代、m(f)2……男性(女性)40-50代、m(f)3……男性(女性)60歳以上

という結果が出ている。やや若年層寄り・男性寄りの傾向があるが、年齢階層を問わず多くの人に視聴されているものの、評価は高くない、一言で表現すれば「空気のような存在」であることが分かる。

他にも詳細は元資料にあるが、合計点最上位についた「題名のない音楽会」はやや高齢者に評価が高いところがあるが若年層にも受けが良い一方、「僕らの音楽」は圧倒的に若年層の評価が高いなどの傾向がみられる。これらの傾向も番組そのものの構成内容や放送時間帯から来るものだろう。



音楽番組はこれまで「優良放送番組推進会議」が調査対象としてきたバラエティ番組・ドキュメンタリー番組・報道番組と比べて偏向性や劣化傾向が少なく、また突発的な番組構成もあまり見受けられないため、安定した構成をしているようにも見える。むしろテレビ番組本来の性質や検討課題である「番組内容と対象となる年齢層との兼ね合わせ」「放送時間帯」などを考察しやすいと考えることもできる。

その観点からみると、上記の「ミュージックステーション」やNHK系列の番組など、興味深い結果を出している番組が多く、関係者はもちろんだが音楽番組に興味がある人も元データは一読する価値はあるといえる。

【テレビやインターネットの「CD購入時に与える影響力」をグラフ化してみる】【テレビがCD購入に与える影響力はインターネットの2-3倍!】の調査結果にもあるように、テレビ番組がCDセールスなど他の音楽メディアに与える影響力は極めて大きい。一部「現代テレビ番組症候群」(構成力の低下や予算削減による全体的なチープ化、無理なタイアップ企画による番組そのものの魅力の低下を起因とする「媒体力」の低下)の症状が見られるものもあるが、他ジャンル番組と比べればまだ健全さを維持しているようにも見える音楽番組について、再評価と再認識をすべきなのかもしれない。

なお次回の調査は「クイズ番組」を対象としている。【最近のテレビ番組高視聴率トップテンを表組化してみる】などでも触れているが、予算節約と構成力の低下、企画側の職務怠慢などから安易なクイズ番組が大量生産され、テレビそのものの「媒体力」を押し下げたという分析もなされている。それだけに、その「主役」たるクイズ番組がどのような評価を受けるのだろうか、注目したいところだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー