2009年07月02日
2009年5月の新設住宅戸数、前年同月比30.8%減
2009年07月02日04:10
国土交通省は2009年6月30日、2009年5月における新設住宅戸数のデータを発表した。それによると5月の新設住宅着工戸数は前年の同月比で30.8%減の6万2805戸となり、6か月連続の減少を示したことが明らかになった。着工床面積が7か月連続して減少を示していることとあわせ、改正建築基準法施行直後の崩落後における差分考慮時期の経過後、再び低迷期を継続しているものと思われる(【発表リリース、PDF】)。具体的な内訳は持家が14.9%、貸家は33.3%、分譲住宅は48.1%の「減少」。今回も三部門すべてにおいてマイナスの値を見せる結果となってしまった。今月も先月同様に貸家・分譲住宅の減少が著しい。ここ数か月はこの傾向が続いており、住宅「販売」分野の市場が冷え込んでいるのが分かる。地域別でも先月同様にすべての圏でマイナスを見せており、地域の差異なく下げているのが気になる。
耐震偽装問題をきっかけに行われた2007年における改正建築基準法の施行、そしてそれに伴う行政側の準備不足・不手際が同年夏以降の住宅市場における混乱や、新設住宅戸数の減少、さらにはそこから波及する不動産市場全体のつまづきの要因だったのはすでにお伝えしたとおり。それと時をほぼ同じくして金融市場そのものの低迷(金融「工学」危機)による資源高騰・賃金高による経費の上昇、関連企業の資金繰り悪化が、建設・不動産業界全体へ打撃を与え、市場は急激に収縮していく。資源高が落ち着きを見せたあとも、景気そのもの後退による顧客の購買意欲の減退と、金融機関からの貸し渋り・貸しはがし(査定厳格化)など、建設業界が受けている逆風は続いている。
状況の厳しさは上場企業とて変わるところがなく、2007年以降多くの不動産・建設関連企業が民事再生・会社更生、そして破産により上場廃止を余儀なくされている。いかに大きな変動が起きているかは、2008年において上場企業の倒産による上場廃止件数が、戦後最大数を示したことからも一目瞭然である。

新設住宅戸数の変遷(2009年5月分まで)
改正建築基準法の施行によって発生した2007年8月〜10月の大低迷。2008年に入ってからも各数値は低調で、前年同月比マイナス5%前後を行き来していたが、2008年夏にかけて急上昇を果たす(同年7月〜9月)。しかしこれは改正建築基準法の施行により大きく不動産・建設業が業績を悪化させた、2007年夏期以降の「大低迷」の数字と比較したための結果であり、あくまでも「昨年よりは良いという」比較論としてのプラスでしかない。戸数の絶対数を見れば実態が伴っていないことが分かる。
そして2008年10月に入ると再び下落基調を見せ、同年12月分では前年同月比でマイナスに転じ、そして前回発表の2009年4月分では2008年の最底辺を超して、さらなる「前年同月比における」減少を見せてしまう。今月発表分の5月は多少持ち直しの感はあるが、誤差に過ぎないレベルでしかない。
「改正建築基準法」施行(2007年6月)
↓
・行政の不手際などを起因として
「新築」住宅市場が大規模収縮
低迷期続く
・2008年夏で底打ち感
「前年比」でプラスに
・2008年10月再び下落・失速へ
↓
下落基調続く
↓
2009年5月は低迷感ぬぐえず
冒頭で着工戸数の推移について「持家が14.9%、貸家は33.3%、分譲住宅は48.1%の「減少」」と述べたが、貸家(建築主が賃貸する目的で建築するもの)や分譲住宅(建て売りまたは分譲の目的で建築するもの)と比べて持家(建築主が自分で居住する目的で建築するもの)の減少率が少ないことに気がついた人も多いだろう。この現象は今月に限ったことではなく、先月から続いているものである。【住宅購入ニーズは「マンションよりも一戸建て」「建売よりも注文住宅」】などにもあるように、建売よりも注文住宅のニーズは高い。その一方、【値上がりする住宅はローンの積み増しで購入!? 増加する住宅ローン総額平均】などでも触れているが、不動産市場の低迷で「お買い得感」を感じた住宅購入検討層が、「少々背伸びをして分譲住宅ではなく自分のニーズにかなう持家を買うケース」が新築住宅全体に占める割合として増えている可能性がある。
また、【2008年上半期のマンション動向、首都圏−23.8%・近畿圏−21.5%】【今が住宅お買い得? 「まだまだ安くなる」は4割に達する】にもあるように、市場の「まだまだ下がる」という雰囲気が、まずはお値打ち価格で在庫処分を優先させようとする業者の考えを後押しし、新築物件の数を抑えさせているのも一因だろう。
昨今の不動産市場は賃貸や転売で利殖を狙う人には厳しい状況に違いはない。しかしこれから不動産・住宅を手に入れ、住もうとしている人たちにとっては、あるいは絶好の好機ともいえるかもしれない。もちろん単に安いからというだけで手を出すのではなく、内容について十分吟味することを忘れてはならない。不動産・住宅の購入は多くの人にとって「一生の買い物」に他ならないのだから。
これらの書籍が参考になります
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