新聞・雑誌は「前年比マイナス」が4割強-厳しさを増す今年の広告予算配分
2009/06/30 05:25


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今調査は2009年4月10日から5月14日にかけて、郵送とウェブ調査によって行われたもので、調査対象は日本国内の上場企業・有力未上場企業4126社。そのうち444社が回答している。調査には日本経済新聞社の日経メディアラボも協力している。
調査母体に対し「2009年度の広告・宣伝費額の動向」について、各メディアの予算配分が2008年度の額と比べてどのように変化するからついて尋ねたところ、デジタル系媒体向け広告以外ではすべての業態で「減らす」が「増やす」を上回る結果が出た。

広告宣伝費における、2009年度の媒体別予算配分予定
【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(2009年6月発表分)】や【電通の2009年5月の売上高】でも触れているが、広告費において軟調な推移を見せている4大既存メディアの中でも、特に紙媒体の「新聞」「雑誌」の減少意向が大きい。両者共に4割以上が「2009年度は昨年度よりも広告費を減らす」と回答しており、「増やす」は1割にも満たない。残りの「テレビ」「ラジオ」にしても、やはり「増やす」は1割にも達せず、「減らす」が「増やす」を大幅に上回っている。特にテレビは4社に1社が「減らす」としており、【日本テレビのタイム・スポット広告の変化】でも例示したように、スポット広告だけでなくタイム広告も減少しつつある現状を裏付ける結果となっている。
予算配分の厳しさは他メディアでも変わらず、屋外広告やDM・チラシなども前年度比で削減の意向が4社に1社以上を占めている。しかしその一方、パソコン向け・モバイル(携帯電話)向け広告は奮戦しており、「増やす」意向が「減らす」意向よりも多い、数少ない媒体であることが分かる。特にモバイル広告は「増やす」が多いのに加えて「変わらない」も8割近くに達しており、もっとも安定した状態にあることが分かる。
デジタル系媒体に対する広告費が景気後退の嵐にも巻き込まれずに奮戦しているのは、元々の絶対額が少ないのも一因。まずは「少しの割合の減少で大規模な金額削減が望める既存4大メディアの広告費を削ろう」という企業の思惑によるもの(ダイエットをするとき、最初にお新香の枚数を1枚減らすのではなく、ご飯を1杯減らしたり、おかずのフライを1品減らすようなものだ)。

景気後退の折、企業の広告費削減で鍛えられた各メディアが、後退時期を抜け出たあとにどのような姿に変ぼうしていくのか。互いのメディア間の立ち位置はどのように変化するのか。今回の予算配分動向は、その姿を予見させるようなデータでもある。
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