好印象、テレビが一番・パソコン二番。雑誌は意外にパソコン・ケータイに近い?(2009年)

2009/06/27 18:33

メディア環境研究所は2009年6月23日、毎年2月に実施している「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査・09」の抜粋編を発表した。それによると、あらかじめ用意された多数の肯定的項目に対する各メディアのイメージ量(≒好印象度・インパクト・影響力・メディア力の度合い)において、テレビがすべての年齢層・性別に対し、ほぼ全般的に高い値を示していることが分かった。既存4大メディアでは雑誌や新聞がテレビに次いでいるが、新聞が高齢層ほど高い値を見せているのに対し、雑誌は逆に若年層ほど高数値を示しており、イメージ度という観点ではパソコンや携帯電話など新世代メディアに近い傾向にあるのが分かる(【発表ページ】)。

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今調査は郵送調査方式で行われ、2009年2月6日に発送、2月19日投函を締め切りとしたもの。東京・大阪・高知の三地区を対象にRDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15-69歳の男女に対し調査票が計2204通送付され、1919通が回収された。デジタル手段ではなく、郵送方式で調査が行われたこと、調査実施期日が今年の2月であることから、比較的片寄りの無い、昨今の状況を表したデータといえる。なお、特記無き限りデータは基本的に東京地区のものである。

「あらかじめ用意された多数の肯定的項目」は次の通り。

1.情報が信頼できる
2.情報が早くて新しい
3.情報が幅広い
4.分かりやすく伝えてくれる
5.知りたい情報が詳しく分かる
6.斬新な情報が多い
7.身近な内容の情報が多い
8.感動や興奮を覚える情報が多い
9.役立つ情報が多い
10.楽しい情報が多い
11.気持ちが落ち着く情報が多い
12.自分にとってなくてはならない
13.仲間との話題に必要
14.おもしろい
15.ポリシーやメッセージを感じる
16.明確な個性や特徴を持つ
17.定評や人気がある
18.センスがいい・カッコいい
19.活気や勢いを感じる
20.時代を切り開いていく感じがする
21.最近元気がない感じがする
22.生活者の声に耳を傾けてくれる感じ
23.好感が持てる
24.わからない・あてはまるものはない

この「(肯定的)イメージ量」が多ければ多いほど、そのメディア(が発する情報)に深い関心が持たれていることが分かる。言い換えれば「メディア力がある」というわけだ。

それでは各メディアに対するイメージ量の総数はどの年齢・性別でも同じだろうか。各メディアのイメージ総量と、年齢・性別に区分したイメージ総量はそれぞれ次の通りとなった。

イメージ総量(2008年と2009年)
イメージ総量(2008年と2009年)

各メディア毎のイメージ総量(年齢及び性別区分、補助線付)
各メディア毎のイメージ総量(年齢及び性別区分、補助線付)

今回の公開資料にもあるように、20代男性のテレビ視聴時間は60代男性と比べて約半分でしかないなど、若年層のテレビ離れが顕著に見えている結果が出ている。それにも関わらず、テレビが全年齢層・性別を問わず他のメディアと比べて高いイメージ総数≒高(好)印象度合いを確保しているのが分かる(若年層では赤丸部分にあるように若干凹みがあるが、他メディアと比べればまだまだ高い)。「オールラウンド的な魅力」「不特定多数に向けた情報発信の仕組みを採用」「視聴ハードルそのものが低い」のが主な理由。「視聴時間が短い若年層からも、一定のイメージ的な支持を維持し続けている」これがテレビの現状であり、メディアにおいて最大の威力を持ち続ける理由に他ならない。

また、特異な値としては、元々女性は男性よりもテレビを視聴する時間が長いのだが、それと共にイメージ量も女性の方が多いことがわかる。また、携帯電話における世代間格差が極めて大きいこと、パソコンは男性の方が(仕事などで多用しているからか)年齢差が小さいなど、各メディアの細かい利用事情が見えてくる。

なぜか雑誌とパソコンは同じ傾向
これは昨年の調査結果でも指摘したことなのだが、4大既存メディアの中では唯一雑誌は、他の既存メディアと違い、むしろ新世代メディアであるパソコンや携帯電話に近い傾向が見られる。具体的には各メディアにおいて、

・新聞……全般的に「高年齢層ほど印象度が高まる」
・雑誌、携帯電話……「若年層ほど印象度が高まる」
・パソコン……「中堅層まで印象度は高く、高年齢になると印象度が低下する」

のようなイメージ総数の推移が見られる。また今回は記事作成を略しているが、各メディア毎にイメージ度の高い項目をピックアップすると、

・雑誌
「☆知りたい情報が詳しく分かる」「☆役立つ情報が多い」「楽しい情報が多い」「おもしろい」「明確な個性や特徴を持つ」

・パソコンからのインターネット
「情報が早くて新しい」「情報が幅広い」「☆知りたい情報が詳しく分かる」「☆役立つ情報が多い」「自分にとってなくてはならない」「時代を切り開いていく感じがする」

・携帯からのインターネット
「情報が早くて新しい」「役立つ情報が多い」「時代を切り開いていく感じがする」

となり、パソコン・携帯電話間には共通項が多いものの、雑誌との間には(パソコンで)「知りたい情報が詳しく分かる」「役立つ情報が多い」の項目しか共通項が無く、あとは違う項目で好印象を受けていることが分かる。

お互いのメリット・デメリットをうまく活かすには(視聴者から見た)「雑誌とパソコンの共通点を強く連動させつつ、お互いの足りない部分を補完し合える」ような企画を、両者に共通した「支持の高い若年層-中堅層」に向けて発することで、非常に有効で相乗効果を期待できるものが創り出せる可能性がある。これは去年も指摘したことではあるが、残念ながら今のところ、劇的な効果を挙げた事例はまだ見られないようだ。

あるいは考え方を変え、「雑誌の足りない部分をパソコン・ケータイに補完させるための仕組みをあらかじめ雑誌に添付させる」という手もある。これなら今までにも何度と無く行われてきたし、手立ても簡単に済む。また、【ウェブで最新マンガが読めるなら「ぜひとも読みたい」1割足らず、か!?】で紹介したような「ウェブ上で漫画(の一部)を公開する」のも一つの手かもしれない。



携帯電話は他メディアと比べてまだ歴史が浅く、利用ハードルも高いことから、特に中堅層以降のイメージ量が少ない。そのため、メディア全体としてのインパクトは低いという結果が出ている。しかし利用頻度の高い若年層(10代)に限れば、男性ではラジオ・新聞・雑誌を抜き、女性でもラジオ・新聞を抜いて雑誌やパソコンに迫る勢いを見せている。

これらの層が年とともに社会人となり年齢を重ねるに連れ、利用時間そのものは減少するだろう。社会人になれば学生時代と比べて自分が自由にできる時間は減少するからだ。しかし、その一方で携帯電話に対するイメージ総量にはさほど変化は起きないものと思われる(学生時代に培った携帯電話との接触時間の経験はそのまま残り、消えてしまうわけではないからである)。それと共に各メディアに対するイメージ総量の相対的な立ち位置も、1、2年単位ではさほどの違いはないが、数年、10年単位でみれば、大きく変化を見せることだろう。


■関連記事:
【テレビが一番、パソコン二番-テレビは男女を問わず全年齢で高印象(2008年データにおける同様の分析)】

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