不景気でテレビや雑誌も人気回復? メディア視聴時間全体も増加傾向に(2009年)

2009/06/27 18:31

メディア環境研究所は2009年6月23日、毎年2月に実施している「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査・09」の抜粋編を発表した。それによると過去2年連続して減少していたメディアの接触時間は、今年に入りわずかではあるが増加する傾向を見せていることが確認された。パソコン・携帯電話からのインターネット接続時間の増加率が大幅な伸びを示し続けている一方、テレビや雑誌など一部旧来メディアの時間もわずかながら伸びており、「メディア接触のデジタル化」の進行と共に今年は景気後退のあおりを受けた「内こもり」の現象も見受けられる結果となっている(【発表ページ】)。

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今調査は郵送調査方式で行われ、2009年2月6日に発送、2月19日投函を締め切りとしたもの。東京・大阪・高知の三地区を対象にRDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15-69歳の男女に対し調査票が計2204通送付され、1919通が回収された。デジタル手段ではなく、郵送方式で調査が行われたこと、調査実施期日が今年の2月であることから、比較的片寄りの無い、昨今の状況を表したデータといえる。なお、特記無き限りデータは基本的に東京地区のものである。

一連の調査において、各主要メディア毎の一日あたりの平均接触時間を時系列にたどって見ると、2006年から2008年の間に減少を見せていた視聴時間は、今年に入ってやや増加のの傾向を見せている。

メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均)・赤文字はその年における各メディア一日分総計(東京地区結果)
メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均)・赤文字はその年における各メディア一日分総計(東京地区結果)

今調査を見る限りでは2006年から2009年の間で新聞20%、雑誌10%前後、テレビが約5%、ラジオにいたっては30%程度の時間減少が確認できる。昨年と比較すると特に新聞・ラジオの凋落ぶりが顕著で、2006年比でそれぞれ約10ポイント減少している。また、昨年同様にテレビが「全メディアの中では最大の時間帯を確保している」と共に、今年は「絶対時間が幾分持ち直した」ことが分かる。

それぞれのメディアの増減を、もっとも古いデータの2006年時の値を100%として経緯を見たのが次の図。

メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)
メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)

上記に挙げたポイント数の推移をはじめとした、各媒体の動向が非常によく理解できよう。

今年の特徴としては、年々減少傾向にあった「メディア接続総量」及び「4大既存メディアの接続時間」の一部が増加傾向を見せていること。そして昨年「気になる」と言及した「パソコンによる接続時間」が大幅に増加していること。ざっとまとめると今年は

・メディア接触全体量……増加
・パソコン経由のネット接続……増加
・テレビ、雑誌、携帯電話経由のネット接続……やや増加
・新聞、ラジオ……大幅減少

という傾向にあることが分かる。このような傾向が生じた理由について元資料では解説がないが、「不景気でお金をあまり使わずに時間をつぶせる娯楽に、時間が費やされた」ことが原因であると想定できる。要は「外に出て遊ぶと何かとお金がかかるから、家でテレビや雑誌を見たり、パソコンでネットに接続してる方がいいや」ということだ。メディア全体の接続ボリュームが増えているのも、それを裏付けるデータとなる(……ここで「なるほど、だからマスコミは景気後退を必要以上にあおるんだ」という説に結びつけるのは、面白い仮説ではある。しかし今データからだけでその結論に達するにはあまりにも早急すぎる、としておこう)。

もっとも新聞、ラジオは加速度的に絶対時間・メディア接続総量に占める割合を減らしている。視聴率云々、広告費云々以前の問題で、「相手にされなくなりつつある」ことに危機感を覚えるべきかもしれない。



新聞とラジオが危機的なのは、次のグラフを見るともっとよく分かる。このグラフは各年のメディア接触時間全体のうち、それぞれのメディアがどれほどの割合を占めているのかを示したもの。パソコンや携帯電話の割合が確実に増加を遂げ、テレビや雑誌がこの1、2年はどうにか横ばい(全体に占める割合的に)で留まっているに対し、ラジオや新聞が急降下状態にあるのが見て取れる。

メディア接続時間時系列推移(各年の全体時間に占める割合)
メディア接続時間時系列推移(各年の全体時間に占める割合)

テレビや雑誌はまだしばらくは現状を維持できそうだが、ラジオと新聞はダイナミックな手を打たない限り、今後も「メディア力」の低下はまぬがれそうにもない。まずは視聴してもらわなければ、話は始まらないのだから。


■関連記事:
【テレビ-5%、新聞・雑誌-10%……2年間で起きた視聴時間の変化(2008年までの同様データまとめ)】

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