【更新】アメリカ国債(米国債)の購入先をグラフ化してみる

2009/06/21 10:20

アメリカ国債(米国債)イメージ直前の記事で触れたように、先日米国債(アメリカ国債)関連の記事【アメリカ国債の引き受け先をグラフ化してみる(2009年6月掲載・4月分データ反映版) 】を掲載したところ、【ZAR大好きの忘ビログ】の管理人氏から貴重な情報をいただいた。それを元にアメリカ国債の発行残高推移や購入先の推移データを取得し、グラフ化を試みることにするわけだが、今回は「誰が米国債を買ったのか」について。

スポンサードリンク


こちらも元データはFRB(連邦準備制度理事会:Federal Reserve Board /Board of Governors of the Federal Reserve System)の公式サイト内における、アメリカ国内の財務状態を示す各データが収められている【Flow of Fund Accounts of the United States】。最新データはここで、過去のデータは【Historical Data】の項目にある。Flows tableは「お金の流れ(フロー)データ」で、Level tableは「お金の現在額・資産額(ストック)のデータ」。

また、比較対照とするために必要な、アメリカのGDP(国内総生産:Gross Domestic Product)は、アメリカ商務省経済分析局(US Bureau of Economic Analysis)の【該当ページ】から取得。FRBの各データにおける読み方は、【日本銀行調査統計局の資料(欧米主要国の資金循環統計】を見れは大体把握できる。

特定期限において米国債を誰が「買った」かについては、ストック(現在保有額)ではなく、フロー(その時期の購入額)で見た方が分かりやすい。フローは変化率・額をも意味するからだ。そこでFlows tableのデータを元に、まずは単純に毎年の米国債購入額についてグラフ化した。元データはもっと細かな区分があるのだが、単純化するために「家計」「海外」「通貨当局」「MMMF(日本のMMFやMRFに相当)」「その他」に区分。ちなみに「海外」の部分は【アメリカ国債の引き受け先をグラフ化してみる(2009年6月掲載・4月分データ反映版) 】などで定期更新(?)している、アメリカ国債の引受先のデータに相当するわけだ。なおこちらも前回の記事同様に、2009年は第1四半期(Q1)までしかないので、2009年そのものをQ1データで代用している。

米国債主要購入先(億ドル)
米国債主要購入先(億ドル)

ところどころマイナスの年があるのは、手持ちの国債を売ったり空売りした結果によるもの。それだけポジションを減らしていると考えることもできる。額面の差がありすぎ、正直よく分からないグラフとなってしまったが、一番右の部分で「家計」が大きく伸びていることは分かる。

そこでこのグラフを対アメリカGDP比で計算しなおし、さらに直近の1990年以降のものに限定したグラフも合わせて生成した。

米国債主要購入先(対該当年アメリカGDP比)
米国債主要購入先(対該当年アメリカGDP比)

米国債主要購入先(対該当年アメリカGDP比、1990年-)
米国債主要購入先(対該当年アメリカGDP比、1990年-)

やはり2008年以降急激に購入先総額が増加していること、そして2009年(Q1)に家計の購入額が急増しているのが確認できる。

最初に情報を提供してくれたZAR大好きの忘ビログの管理人氏が指し示したサイト【石油監査人:米国債の主要購入先に、家計が浮上】、さらにそこが資料として引用している引用元【外交問題評議会CFRの分析レポート:Just who bought all the Treasuries the issued in late 2008 and early 2009?】によると、

・アメリカ国民は貯蓄を始めている。ファンド(MMMFなど)を通じて米国債の購入にあてられていた。
・その証拠に2008年においては投資信託による米国債の購入が増加している。
・そして2009年Q1には家計自身が米国債の主な購入先となった。

とある。上記グラフは2008年については年ベースのものだが、FRBのデータには2008年についても四半期毎のデータが用意してあるので、この推移が分かりやすい。さっそくグラフ化したのが次の図。

米国債主要購入先(対該当年アメリカGDP比)(2008年Q1-2009年Q1、四半期単位)
米国債主要購入先(対該当年アメリカGDP比)(2008年Q1-2009年Q1、四半期単位)

今年2009年に入って、思いっきり家計の購入額が増えているのが分かるだろう。



【アメリカの家庭内おサイフ事情をグラフ化してみる(改定・増補版)】でも触れているように、カードで借金・大量消費をDNAに刷り込ませているとしか思えないライフスタイルを楽しんでいるアメリカにおいても、預金額が増加しているなど、貯蓄性向が高まりつつある様子がわかる。そして今件で、債券の中ではもっとも手堅いとされる自国の国債を、家計が自ら急速に買い集めている様子を見ると、(もちろん当局側の国債増刷に伴う販売プロモーションの活性化もあるのだろうが)アメリカ国民の金融・消費・貯蓄に関する考え方が変わってきた、ような雰囲気が感じられる。

ただし家計における国債の「保有額」とその保有額のGDP比を見ると、国債額の増加が空前絶後のものだったわけではなく、過去においてもありえる額だったことが分かる。

家計の米国債保有額(億ドル)と該当年の米GDP比
家計の米国債保有額(億ドル)と該当年の米GDP比

また、機会があれば改めて触れることにするが、家計において「株式保有額」が2007年以降急激に減少し、投資信託もその額を減らしているのも確認できる。要は「米国債を米国民が大量に買い込む傾向が見られる」というのは稀有な話ではなく、単純に「リスクの高い金融商品から、極力リスクの低い自国債への逃避」という、アセットアロケーション(資産分配)の極端な変更をしているだけなのかもしれない。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー