「リーマンショック」のスゴさが明らかに・大規模卸売店の売上推移をグラフ化してみる

2009/06/16 04:40

自動車輸出イメージ先に【小売業の売上推移をグラフ化してみる】で経済産業省のデータを元に、小売業の売上高推移をグラフ化すると共にその傾向について推察を行った。その際「商業全体の売上が直近で大きく下落しているのに、小売業の売上がそれほど落ち込んでいないのは、卸売業の縮小ぶりが急激なもののため」と説明した。その一言で説明を終えても良いのだが、乗りかかった船という言葉もある、同じページから取得できるデータを使えるのでグラフ化してみることにした。

スポンサードリンク


使うデータは【経済産業省の商業動態統計調査】のもの。ここから【統計表一覧】を選び、大規模卸売店販売額について2008年までは時系列データを、2009年以降は確報・速報のデータを抽出。現時点で2009年3月までが確定値、4月が速報値として公開されているので、それぞれを利用する。

対象とするデータは

・大規模卸売店(従業者100人以上の各種商品卸売商店及び従業者200人以上の卸売商店で、経済産業大臣が指定する商店)の販売額合計
・自動車販売額
・商品輸出額(国内生産したものなどを輸出した額)
・輸入品の国内卸売(国外から輸入したものを日本国内で売った額)
・国内仕入品の国内販売(国内で仕入れたものを国内で売った額)

の5項目。「自動車販売額」のみが単品項目だが、日本の主要輸出産業であり、何かと注目される項目なので代表選手的な意味合いとして加えている。また、後者3項目についてだが、年ベースでは1996-1997年、月ベースでは2009年4月分が欠けている。前者は計算方法を変更した際の差異の問題、後者は単純に速報値が出ていないから。

それではまず年ベースのグラフを。

大規模卸売店販売額前年比(販売先別)+自動車(1987年-、年次/1996-1997年データ一部欠損)
大規模卸売店販売額前年比(販売先別)+自動車(1987年-、年次/1996-1997年データ一部欠損)

景気循環の差異もあるが、大体5年おきに卸売業における売上が伸びる時期があり(=それだけ多く商品がさばけている≒景気が良い)、2003年以降は前回の景気後退から抜けてじわじわと売上が伸びていることが分かる。そして2007年までは過去20余年の中で1990年に次ぐ活況を呈したことが確認できる。ところが2008年以降、各値は景気後退と共に急速に下落を見せているわけだ。ただし「輸出品の国内卸売」だけは、急速に進んだ円高によって他の値とは逆転して大いに販売額を伸ばしている。

続いて月次データを、他の記事同様に金融(工学)危機が表面化した2007年夏の直前以降についてグラフ化する。状況の変移が手に取るようにわかるはずだ。

大規模卸売店販売額前年比(販売先別)+自動車(2007年4-、月次/2009年4月はデータ一部欠損)
大規模卸売店販売額前年比(販売先別)+自動車(2007年4-、月次/2009年4月はデータ一部欠損)

・全体的に2008年10月を境に大きく下落(崩落、と表現しても良い)している。
・「自動車」は世界的な景気後退のあおりを受けてか、2008年春先から下落の傾向が見られている。そして2008年10月以降は急速に下落。「商品輸出額」の足を引っ張っている。
・「輸入品の国内卸売」「国内仕入れ品の国内販売」など国内販売品は、輸出関連の値と比べると下落率はおとなしい。
・2008年頭から2008年11月頃までは円高の追い風を受けて「輸入品の国内卸売」は大きく成長してる。しかし11月以降は景気そのものの後退の影響を受け止めきれず、マイナスに転じている。

国内で循環する分の下落がさほど大きくなく、海外で消費する(≒海外に輸出される)分の下落がいかに大きかったかが改めて分かる。「商業全体が国内の小売業の下落幅と比べて大きな下ぶれをしている」理由がこれで確認できるはずだ。



直近(2009年4月)の自動車の卸売額は前年同月比で44.0%。言葉通り半分以下となっている。これは【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績などをグラフ化してみる(2009年4月分データ)】でも解説したように、アメリカ市場における日本車の売上が急減していることを再確認できるデータでもある。上得意先のアメリカで売れないのだから、輸出車の販売額が半分以下に落ち込んでも当然のお話というわけだ。

リーマンショックイメージまた、お金周りという意味での経済において、いかに2008年10月の「リーマンショック(リーマン・ブラザーズ・ショック)」の影響が大きかったかが改めて分かる。信用すべき対象が信用できない商行為をしていたのが発覚し、相手を信用することで得られる経済・資金の流れがせき止められてしまった結果がこれである。

幸いにも数字を見る限りでは各値は今年頭で底打ちを見せているようにも見える。上昇の材料が見られない限り、しばらくは横ばい・低迷を続けるだろうが、今後は反転を見せるよう期待したいものだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー