小売業の売上推移をグラフ化してみる

2009/06/15 07:34

グラフイメージ当サイトでは毎月定期的に、コンビニやスーパー・デパートなど各種小売業などの売上など経営成績を、それぞれの業界の団体が発表する資料を元に分析・掲載している(【一覧ページ】)。継続して売上などの推移を見ると、各業態毎の現状や問題点が見えてくるからだ。例えばスーパーやデパートは売上が低迷を続けており、早急に手を打たねばならないとか、コンビニは景気が良いように見える、などといった具合である。では中長期的に各小売業の業態別の売上推移は、どのような形をとっているのだろうか。良い機会なので調べてグラフ化してみることにした。

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それぞれのデータは各団体別の統計資料をまとめても良いのだが、せっかくだから全部のデータが集約されている【経済産業省の商業動態統計調査】を活用することにした。ここから【統計表一覧】を選び、2008年までは時系列データを、2009年以降は確報・速報のデータを抽出。現時点で2009年3月までが確定値、4月が速報値として公開されているので、それぞれを利用する。

抽出する項目は、「商業全体」「小売業全体」「大型小売業」「百貨店」「スーパー」「コンビニ」。後者4つは既存店に限定する。新規参入店も含めると、単なる店舗数の増加が売上増加に加算されてしまうからだ。また、コンビニのデータが1998年4月以降のものしかないので、それ以降のものを使うことにした。

早速月次ベースでグラフ化したのが次の図。

主要小売業業態別売上前年同月比(1998年4月-、2009年4月は速報値)
主要小売業業態別売上前年同月比(1998年4月-、2009年4月は速報値)

よくある話だが、データを細かく反映させようとしたところ、かえって分かりにくくなった形だ。しかしそれでも、

・2003年以降の景気回復期では商業全体も前年同月比でプラスの値を示している。
・小売業は2003年以降の景気回復期でも大きなプラスは無い。(a)
・大型小売業、百貨店、スーパーなどは前世紀末から前年同月比で縮小の傾向。
・2008年後半以降の各業態の売上減が急速な形を見せている。(b)
・しかしコンビニは逆に同時期で前年比でプラスを維持している。(c)

などの傾向が確認できる。

(a)の、「商業全体が売上を増やしているのに小売業の売上増加が今ひとつ」なのは、卸売業の伸びが著しいため。逆に(b)で商業全体の急降下ぶりのわりには各種小売業の下げ方がそれほど大きくないのは、やはり卸売業の縮小ぶりが急激なもののため。(c)のコンビニ堅調の理由はずばり「タスポ特需」によるもの。

このままでは格好がつかないので、いわゆる「金融(工学)危機」が表面化した2007年夏直前からのデータを抽出し、グラフを再生成してみる。

主要小売業業態別売上前年同月比(2007年4月-、2009年4月は速報値)
主要小売業業態別売上前年同月比(2007年4月-、2009年4月は速報値)

やはり大型小売店や百貨店、スーパーなどの業態は元々低迷していたものの、金融危機による景気後退をきっかけに売上下落率が大きくなったこと、しかし(輸出低迷による卸売業に大きく影響を受けた)商業全体の落ち込み具合と比べれば、まだ下げ幅は小さいこと、そして唯一コンビニが頑張って売上を伸ばしていることが分かる。

スーパーやデパート、百貨店の業績が軟調なのは、何も昨今の景気後退をきっかけとするものではなく、元々根底の問題として存在しており、景気後退は単に加速させる要因でしかなったことも推測できる。何しろ直近の景気回復期である2003年以降においても、前年同月比でマイナスの売上を継続していたのだから。

結果論でしか無いが、仮にこの時に各業態が危機感を明確につかみとり、適切な対応策を見出し、対処を打っていれば、昨今の景気後退時期においても、これほどまでの売上低迷を記録することは無かったのかもしれない。しかし過去に戻ることが出来ない以上、状況改善が不可避となった現状をむしろ好契機ととらえ、積極的にメスを入れて体質改善を図るべきであろう。

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