アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績などをグラフ化してみる(2009年5月分データ)(上)

2009/06/07 09:25

アメリカ自動車産業イメージ先日【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績などをグラフ化してみる(2009年4月分データ)】でアメリカの一大産業である自動車産業の象徴ともいえる「ビッグ3」(GM、クライスラー、フォード)の最新動向をグラフ化した直後、案の定GMはアメリカ連邦破産法第11条適用を申請。これで【クライスラー、アメリカ連邦破産法第11条適用を申請へ・オバマ大統領発表】のクライスラーと合わせ、ビッグ3のうち2社までもが事実上倒産となった。「11条適用」は「倒産」とはいうものの日本における「事業の閉鎖」というイメージとは程遠く、「借金を踏み倒して要らない部分をザクザク切捨て、企業としての再生を図る」のニュアンスの方が強い。4月分以上に「クライスラーが倒産、GMが倒産寸前」の状況が進展している5月分の自動車販売状況が気になるところだが、記事執筆直後の6月4日には早くもデータが更新されていた。今回はそのデータを元に、前回同様にグラフ化し、状況の推移を斜め見してみることにする。

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まず今回は最新のデータである2009年5月分を元にした、アメリカ合衆国国内における普通自動車の販売実績。データ取得元は80年以上もの歴史を持つ自動車専門誌【WARD'Sの公式ウェブサイト】。こちらの【データベースページ】。から最新の2009年5月分を取得し、グラフ化した。

まずはアメリカ国内における「自動車」の販売実績。これには軽トラックや軽車両の類も含まれる。

2009年5月におけるアメリカ国内での自動車販売実績
2009年5月におけるアメリカ国内での自動車販売実績

ぱっと見や販売数順位は4月分と変わらないことが分かる。やはり「ビッグ3」が大きな販売実績を占めていること、トヨタやホンダが健闘していることが分かる。そしてアメリカ国内の自動車市場は、アメリカ製と日本製でほぼすべてのようだ。ただしホンダの勢いが多少落ちているような感はある(クライスラーは当然といえば当然。この時点で倒産が「確定」していたのだから)。

そのシェア比を分かりやすくしたのが次の図。2009年5月の販売実績をシェア比で円グラフにしたもの。

2009年5月時点のアメリカ国内における自動車販売実績シェア比
2009年5月時点のアメリカ国内における自動車販売実績シェア比

「ビッグ3」のシェア比は46.4%。先月の46.6%からほとんど落ちていない。クライスラーやGMの割合が落ちている分をフォードが補っている形だ。また日本製車両はあわせて39.0%で前月比0.7ポイントプラス。トヨタや日産がシェアを伸ばしているものの、ホンダが数字を落としており、差し引きではさほど伸びていない。

参照データには直近のものだけでなく前年同月のものも掲載されている。それを元に、昨年と比べてどれだけ売上が落ち込んでいるのかを示したのが、次の表とグラフ。さらに今回は、季節・月次属性を配慮せずに単純前月比のグラフも併記した。

2008年5月と2009年5月のアメリカ国内における販売実績及び減少率
2008年5月と2009年5月のアメリカ国内における販売実績及び減少率

2009年5月における前年同月比減少率
2009年5月における前年同月比減少率

2009年5月における単純前月比
2009年5月における単純前月比

一つ目と二つ目のグラフを「比」ではなく「減少率」としなければならないほど、昨年からの減少が著しいことが改めて確認できる。三菱自動車・スズキ・イスズが比率では突出しているが、これはもともとの販売数が少ないための「ぶれ」が原因であることは前月と変わらず。他社のデータを見ると、クライスラー以外のビッグ3がやや数字を改善し(とはいえマイナスには違いない)、日本製車両のうちホンダが-25.3%から-41.5%、マツダが-32.1%から-40.1%と相当悪化しているのが分かる。一方スバルのダメージが少ないのは先月通りで、ひときわ際立っている。

韓国系の自動車メーカーの減少率が低めなのは先月通りで、この理由は「自動車返却プログラム」の成果によるものなのも先月通り。ただし両社とも数字は悪化の傾向を見せており、同プログラムの成果が薄れている状況が確認できる。

一方単純前月比で比較すると、著しく数字を落としたホンダ以外は、多かれ少なかれ売上数を伸ばしている。倒産したクライスラーや倒産間近と伝えられているGMですら伸びているのだから驚き。ただしこれは繰り返しお伝えしているように、季節や月の属性による変移(次の記事で説明するが、過去2年間においては4月に売上が落ち、5月に持ち直す傾向が見られる)によるところが大きい。また、以前【ビッグ3に忍び寄るもう一つの「販売不振」・レンタカー業者の憂鬱】【アメリカ自動車産業の実情の片りん……フリート販売実績をグラフ化してみる】で紹介したように、レンタカー業者に対する販売や、フリート販売(一定期間後に買い戻す契約)の台数も含まれているので(データ上にはこれらの販売スタイルによるものも含まれているか否かの言及は無い。メーカーからすればスタイルはともあれ販売したことには違いないので、特記無き限り含まれていると考えた方が自然)、「すべて個人ベースで売り切りスタイルの実績」としてこれだけ売上を伸ばしたと考えるべきではない。また、一部報道では閉鎖通告を受けたディーラーが在庫処分のための叩き売りを始めていることを伝えており(【NIKKEI NeT】)、数字からは見えてこない市場の変化も確認されている。

ともあれ、これらのグラフでアメリカにおける自動車産業の「現状」は大体把握できるはずだ。


■一連の記事:
【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績などをグラフ化してみる(2009年5月分データ)(上)】
【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績などをグラフ化してみる(2009年5月分データ)(下)】

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