今年倒産した上場企業をグラフ化してみる(2009年5月31日版)

2009/05/31 14:05

倒産イメージ(2009年5月31日版)昨年2008年は最終的に33件(上場廃止後に倒産したエー・エス・アイを含めると34社)の上場企業の倒産が数えられ、これは1年間の数としては戦後最高数を記録した。不動産関連市場の不調さを筆頭に、多種多様で世界的な規模のマイナス要因が重なった不運があるとはいえ、株価動向とあわせ少々常軌を逸している状況といえた。さらに今年は現時点において、その前年2008年を上回るペースで上場企業が破たんを見せ、「退場」している。今年で第五回目となる「今年倒産した上場企業をグラフ化してみる」においては、期間的にはまだ一年の半分足らずしか経過していないのに、すでに前年の半数を超える17社を数えている現実がどのようなものなのか、少しでも把握できるようグラフ化することにした。

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まずは今年に入ってから、5月1日時点の上場企業における倒産企業一覧。1月に4件、2月に7件、3月に3件、4月に2件、5月に1件、合計で17件となる。

2009年における上場企業の倒産一覧(5月31日時点)
2009年における上場企業の倒産一覧(5月31日時点)

なお「不動産」には直接の不動産売買以外に不動産投資、不動産関連事業も含めてある。詳細に分類してもあまり意味をなさず、まとめた方が状況を把握しやすいというのがその理由。3月以降は不動産業が連続しているのが確認できる。

次に、セクター(業種)ごとに負債総額を累計し、負債総額全体に占める割合をグラフ化する。

2009年に倒産した上場企業の負債額区分(5月31日時点)
2009年に倒産した上場企業の負債額区分(5月31日時点)

不動産、建設など「不動産・建設」絡みが多いのは周知の事実で、前回よりも割合が増加している。これは5月に唯一倒産事例に該当する、ジョイント・コーポレーションの負債総額が大きい(1476億円)ため。また今回のデータでも「その他」の区分が異様に大きいが、これはSFCG(8597)の負債総額があまりにも巨額なのが原因。また、昨年のデータの名残で「サービス」が項目化されているが、すでに二社が該当している「繊維製品」関連が、もう一社該当「リストアップ」されれば、そちらを独自項目化する予定……と先月も書いたのだが、結局現状維持。

負債総額の上位10位を並べてみても、不動産業界の苦境が見て取れる。SFCG以外がすべて不動産・建設業社なのは先月から変わらず。ジョイント・コーポレーションが第4位に入り、「上位10位」の負債総額が増加しているのも分かる。要はところてん式に額の小さな企業が押し出され、上位陣の数字が上がっている状態だ。

2009年における倒産上場企業負債総額上位10位と負債額(億円)(5月31日時点)
2009年における倒産上場企業負債総額上位10位と負債額(億円)(5月31日時点)

10社のうち建設2社・不動産7社と、不動産・建設関連が9割を占めている状況は前回と変わらず。今年も不動産・建設の大型倒産が相次いでいるのは明らかだ。それと同時に、SFCGがいまだに最上位に君臨していることも見逃せない。SFCGの負債規模がそれだけ巨大だったことが改めて分かる。このSFCGの最上位体制が変わらない事態を、「SFCG以上の負債を抱えて破たんした上場企業が登場しない」という観点で見れば、「幸」と見るべきなのだろう。

続いて月ベースでの上場企業の倒産件数。冒頭で「2008年を上回るペースで」という表現を使ったことが分かるように、先月同様昨年の実測値と並べて棒グラフ化することにした。

2009年における上場企業倒産件数(5月31日現在)
2008年と2009年における上場企業倒産件数(5月31日現在)

昨年2008年の上場企業の破たん傾向は、前半こそおとなしかったものの後期から加速化。それが年を改めてからも継続状態なせいもあるが、今年の倒産状況が「季節毎の倒産特性」を超えたものであることが分かる。ここ一、二か月ほどはおとなしめに推移しているが、今後もこのペースを維持できるかどうかは分からない。

最後に「市場から失われた資金」を計算してみる。これは上場廃止告知日におけるその企業の株価に、その企業が発行している株式総数(ヤフーファイナンスから取得)を乗じた、いわば「倒産告知時の時価総額」。倒産≒上場廃止となればその企業の株式の流動性はほとんど無くなり、破産ならほぼ資産価値はゼロとなる。民事再生や会社更生でも上場廃止後に何らかの資産価値を得られる可能性は極めて低い(まれな例外として、上場廃止後に清算された分配金が、上場廃止時の株価を上回る場合もある)。

そこでここでは、上場廃止告知日のその企業における時価総額を、「株価がゼロ」=「時価総額がゼロ」になるとみなし、そこに投じられた資金が市場から失われてしまうと考え(少なくともそれに近い額がそれぞれの株主から失われるのは疑いようもない)、計算してみることにした。突然破たんとなれば株主の売りぬけの機会も無く、この値は大きくなる。一方で倒産告知前に何らかの「気配」が感じられていれば、投資家はそれに気づき、手持ちの株式を売り抜けようとするので、自然に時価総額も下がることになる。

最近では特に新興系の銘柄において、倒産事例よりしばらく前に不自然な株価の上下が見受けられ、証券取引等監視委員会の調査と活躍に期待したい状況が多数報告されている。また、その企業の役員が自社株を担保に入れていたところ、追証の発生などで担保株が強制的に市場で売られ、株価が急落する事例も見受けられる。単に株価が下落するだけならまだしも、最終的に企業自身の民事再生・会社更生などの道に行きつく場合もあり、始末におえない。

2009年における倒産上場企業の倒産告知日における時価総額(≒市場から「失われた資金」)(5月31日現在)
2009年における倒産上場企業の倒産告知日における時価総額(≒市場から「失われた資金」)(5月31日現在)

・今年も「不動産」が
注目の業種。
・ペースは(前半期は)昨年以上。
・SFCGの影響が大きい。
・この数か月はペースが
落ち気味。
前回記事同様に「その他」セクターの比率が異様に高い。これは繰り返しになるが2月23日早朝に民事再生を出したSFCG(8597)の発行株式数・株価が共に大きく、時価総額が約158億円に達していたため。なお同社は民事再生発表の直前(正確には最終営業日の昼間)に代表権を持つ社長兼会長が突然代表権の無い会長に退くなど、何かと疑問視される動きが指摘されている。さらに巨額の資産隠しが行われていた可能性が破産管財人によって指摘され、さまざまな状況証拠が浮かび上がるなど、真相の解明が待たれる展開となっている。



5月末の時点ですでに17社を数えた上場企業の倒産だが、有価証券報告書提出未了などによる上場廃止はカウント対象外となっている(上場廃止=倒産ではない)。去年から「倒産以外の事由による上場廃止」の案件も増えており、5月もイチヤが時価総額の基準を満たせずに上場廃止が決まるなど、市場環境の厳しさをかいま見ることができる。

【株価低迷で東証が上場廃止基準などを緩和へ】などにもあるように東証側では、全体の株価低迷を考慮して上場基準の一時的な緩和措置を実施中だが、これで倒産事例そのものが減少するわけではない。幸いにも市場環境は「改善化」というよりは「これ以上の悪化は避けられそう」な状況に移行しているため、ここ数か月は倒産による上場廃止事例は少なめになっている。ただし現時点でも「綱渡り」的な状態の銘柄も複数存在しており、今後時間経過や市場環境のぶれと共に、カウント数に加算される企業も出てくることだろう。

さらに冒頭の表を見ればお分かりの通り、3月以降はすべて不動産業の企業が破たんしている。この傾向を見るに、今しばらくは中小の不動産業には厳しい状況が続くと共に、「お仲間」が増えることもありえよう。

前回の文末で「倒産件数が1件もない場合を除き、今件記事は毎月更新することを決定した」と書いた通り、つい先日まで5月分は今シリーズ記事を書く予定は無かった。しかし5月29日にジョイント・コーポレーションが破たんしてしまい、今記事の展開と相成った。倒産件数のペースは落ちているものの、決してゼロではない。市況雑感あたりに「今月の上業企業の倒産件数はゼロだったので、例のグラフ化してみるシリーズは無しです」と書き込める月が来ることを祈りたいものだが。

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