テレビ番組に対する視聴者からの「意見」の数をグラフ化してみる(2009年5月27日更新版)

2009/05/28 07:36

視聴者からBPO、あるいはBPOから放送局への意見イメージ【BPO】(Broadcasting Ethics & Program Improvement Organization、放送倫理・番組向上機構)は2009年5月27日、同年4月分における「視聴者から寄せられた意見」のデータを発表した。意見数は先月比で7割5分ほど増加するなど、テレビ放送に対する問題意識が高まりを見せる結果となっている。しかしながらBPO側では今回分からデータの公開スタイルを大幅に縮小・閉鎖的なものとしたため、「世間一般から見れば数は多いが中身がよく分からない」という、公開そのものの意義を疑わせるような内容となってしまっている(【発表リリース】)。

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BPOはNHKと民放連、民放連加盟会員各社によって出資・組織された任意団体で、理事会・評議員会・事務局と3つの委員会から構成されている。主旨目的は「(テレビ)放送の表現の自由を守りつつ視聴者の基本的人権を傷つけることがないよう、NHKと民間放送がつくった第三者機関です。3つの委員会が、独立して放送倫理や人権の問題を検証し、放送局への勧告や見解を公表します」というもの。

ただしBPOには助言以上の効力・権限は無い。「よりよい放送に結び付けていくことを期待しています」と主張するのみで、それ以上の影響力も強制力も無い。設立の歴史を見ると、一部に「ガス抜き機関」「強制力・影響力込みの同様の公的機関設立を避けるために創られた機関」というキツい意見もあるのは事実。

BPOでは毎月1回、【視聴者から寄せられた意見】の概算統計値と具体的意見の一部を公開している。過去データは2006年4月分まで用意してあるが、公開の様式が途中で何度か変更されており、連続性を維持した統計データを生成することは難しい。そこで前回の記事【テレビ番組に対する視聴者からの「意見」の数をグラフ化してみる(2009年4月22日更新版)】などでは、当方側で整理してまとめあげ、データを構築しグラフを作成。その推移を見定めていた。

今回は「とりあえず」全体の意見数をグラフ化してみることにする。

BPOに寄せられた「番組全体にわたる意見」数
BPOに寄せられた「番組全体にわたる意見」数


ますます増加の傾向を見せていることが分かる。本来ならこの後、「情報ワイド・バラエティー番組」「報道・情報番組」それぞれについて、「不適切な内容、不適格な出演者」「低俗・下品な番組」をはじめとした具体的項目数についてグラフでその推移を示し、視聴者の意見傾向を見ていくことになるのだが、今回は「とりあえず」各種意見の中から特定キーワードに該当する意見数について、公開されたデータをグラフ化する。

公開された「キーワードに該当する」意見数
公開された「キーワードに該当する」意見数

例えば「偏向」の場合1373件もの意見が該当する。これは意見全体の3割近くが偏向報道に関する意見であったことを意味する。

主な公開値によるグラフ化は以上となる。

BPO自身が一番の問題!?
今回のデータ検証では、具体的な意見分類の推移は行えない。なぜなら今回発表分からそれらのデータを一切非公開とし、原則として総数のみを公開するようにしている。その理由についてBPO側では

・意見の大半がメールで送られてくるようになった。
・メールの意見に「番組及び放送への批判・批評」「青少年へ与える影響」「それに対するBPOへの提案・苦情」に対する要素が増えた。
・「だから」意見分類を止めた。

と説明している。

BPOへ寄せられる意見の電子メール比率
BPOへ寄せられる意見の電子メール比率

何度か公開文面を読み直してみたのだが、「電子メールによる投書が増えて」「その内容が番組などへの批判や影響への問題提起、BPOへの意見が増えた」という状況の変化と、「意見分類を止める」ことの関連性が今ひとつ理解できない。読み方によっては「電子メールによる意見は重要視できないから公開するに値しない」「公開すると色々と都合が悪いから公開を止めた」と解釈も出来るのだが、その解釈が正しいとすれば、第三者機関の意見としてはあまりにもお粗末過ぎる。

ハガキや電話、FAXと比べて送付のためのハードルが低い電子メールによる意見が増えるということは、それだけ幅広い(ハードルでブロックされない)意見をくみ取れることを意味する。中立公明正大を意図するために創られた「第三者機関」としては願ったりかなったりな話のはず(連続投稿による混乱を危ぐするのなら、対処する方法はいくらでもある)。

それが今回、関連性すら理解しがたい理由で(形式を変えつつも続けていた)公開を止めるということは、BPOの設立主旨である「3つの委員会が、独立して放送倫理や人権の問題を検証し、放送局への勧告や見解を公表します」という点と相矛盾することになる。「具体的意見例を掲載しているから問題は無い」という解釈なのかもしれないが、それでは「森全体を見たいのに、その森を構成する木々のうちの1本の、その枝を数本見せるだけ」と同じで、ほとんど無意味なものといえる。また、「放送局・番組名を特定できたものはそれぞれの局のBPO担当者に手渡したから問題は無い」とするのなら、BPOは単なる意見配達中継業務しか行っていないことになり、存在意義そのものを問われても仕方が無い。

あるいはテレビ放送の内容そのものと同じくらいに、BPOの現状や内部体制・対外姿勢も問題なのかもしれない。【相次ぐメディアの不祥事に広告主団体が「遺憾」声明】【企業社員がおススメするドキュメンタリー番組ランキングをグラフ化してみる】にもあるように、「今の状況はおかしいゾ」という意見がテレビに関係する各所から出てくるのもいわずもがな、というところか。


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