主要テレビ局銘柄の期末決算をグラフ化してみる……(2)業績斜め読みとスポット広告の落ち込み

2009/05/24 19:31

テレビイメージ「主要テレビ局銘柄の期末決算をグラフ化してみる」その2。ここでは発表された業績を斜め読みし、さらに業績を押し下げた主要因であるスポット広告の変化を見ることにする。テレビ局としては「美味しい」はずの広告事業に何が起きているのかは【主要テレビ局銘柄の第2四半期決算をグラフ化してみる】【テレビ局からスポット広告を減らした業種を調べてみる(2009年3月期第2四半期編)】などでお伝えした通りだが、その状況に変わりはなく、改善の兆しすら見られないことが分かる。

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業務成績は全社軟調、2社がテレビ放送事業そのもので赤字
それでは早速各社のデータを見ることにする。前回の一連の記事同様に、売上・経常利益、そして純利益の3項目で前年比のグラフを改めて作成する。

主要5局の2009年3月期における業務成績(前年比)
主要5局の2009年3月期における業務成績(前年比)

実際グラフ化してみるとほとんどがマイナスに振れていることからも、テレビ局が非常に大変な環境下にあることが分かる。なお、唯一【TBS(東京放送ホールディングス)(9401)】の売上が前年比プラスで目立つ値を見せているが、これは赤坂サカス開業による不動産部門の躍進が要因。

続いて主要事業たる「放送事業」に的を絞って眺めてみる。順に放送事業利益と、前年度比をそれぞれグラフ化する。

放送事業営業利益
放送事業営業利益

放送事業営業利益前年度比
放送事業営業利益前年度比

放送事業の営業利益額だけを見ると、【フジ・メディアHD(4676)】【日本テレビ放送網(9404)】が大きく抜きん出ているのは中間決算の時と変わらない。ただし中間期では前年比プラスを維持していたフジ・メディアHDも期末では結局前年比マイナスに転じ、全社が放送事業で前年比マイナスを記録することになった。【テレビ東京(9411)】は少なくとも放送事業ではそれなりに努力したのが報われたようだが、TBSと【テレビ朝日(9409)】は中間期から下落率が増加している。この2社が放送事業で赤字に転じたのも仕方あるまい。

一番放送事業の営業利益の減少幅が小さいフジは、中間期で営業費用を削減するべくさまざまなコストコントロールを断行中であると述べていたが、期末決算にも

一方、費用面では、放送事業原価および、その他事業原価がコストコントロールが奏功して大幅に減少しました。また、販売費及び一般管理費も代理店手数料の減少や、宣伝広告費、諸経費の節減で減少し、テレビ放送部門の営業費用は前年度を大きく下回りましたが、売上高の減収を補うには至りませんでした。
(テレビ放送部門)

とあり、費用削減が現状ではそれなりに成果を見せていることが分かる。

スポット広告減の傾向は全局で中間期から加速
ここまで営業成績が悪化している理由はこれまでの途中期決算同様、テレビ放送に対する広告収入の減少にある。すでに【ネットやケータイ増やしてテレビや新聞、雑誌は削減・今年の広告費動向】などでお伝えしているように、広告効果が薄くなったことやインターネットなど新媒体の登場で、テレビ広告に対する広告出稿の割合は減少の傾向にある。さらに景気後退に伴い、費用対効果に疑問があれば、例えそれがテレビ放送であっても容赦なくコストカットの対象にもなりうる(【モスバーガーの「迷走」とテレビコマーシャルの打ち切り検討と】)。これはテレビ局から見れば「収入減」に直結する。

特に、先に説明したテレビCMの部類のうち、番組そのものを買い取る形の「タイム広告」より、「スポット広告」の落ち込みが激しい。むしろ「タイム広告」は増加している局もあるほど。ある程度ターゲットを絞れる「タイム広告」はともかく、いわばばら撒き型の「スポット広告」は企業からは(効果が低いから)優先順位が低い、と判断されている。

また、契約期間は「スポット広告」の方が短いことから、景気の動向に流されやすい(ため、景気悪化に敏感に反応してさらに出稿が抑えられている)のも要因。その現状はテレビ局側でも理解しており、決算短信にも随所に「景気の悪化傾向によりスポット広告の減少」云々という記述が目に留まる。まるで一般企業の決算短信で昨年から魔法の呪文のように唱えられている「サブプライムローン問題に端を発する金融市場の低迷」のようだ。

それでは具体的にスポット広告の前年同期比をグラフ化してみる。

スポット広告の前年同期比
スポット広告の前年同期比(中間期・決算期併記)

すべての局で前年比マイナス10%超、しかも中間期と比べて全局でマイナス幅が増加している。特にマイナス幅の増大は、2008年10月以降は広告主たる企業がそれまで以上にスポット広告を絞る傾向を強めていることを意味する。

割合にしてみれば「たかが1割程度」かもしれないが、元々広告費が売上全体に占める割合は大きいため、金額にすると多額になるのはいうまでもない。つまり「スポット広告1割減」ともなれば、(基本的に経費は変わらないので)その数倍の影響がそのテレビ局の純利益などに出てくるということだ。その結果が、今回発表された決算短信に出ていることになる。

(続く)

■一連の記事:
【主要テレビ局銘柄の期末決算をグラフ化してみる……(1)スポット広告とタイム広告、業績概略】
【主要テレビ局銘柄の期末決算をグラフ化してみる……(2)業績斜め読みとスポット広告の落ち込み】
【主要テレビ局銘柄の期末決算をグラフ化してみる……(3)放送事業と利益、TBSの特殊事情は継続中、そして小まとめ】
【主要テレビ局銘柄の期末決算をグラフ化してみる……(4)主要テレビ局の収益構造を再点検してみる】
【主要テレビ局銘柄の期末決算をグラフ化してみる……(5)主要テレビ局の「スポット広告の減り具合」をグラフ化してみる、そしてまとめ】

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