声優系雑誌の伸長は「涼宮ハルヒの憂鬱」特需か…ゲーム・エンタメ系雑誌部数動向(2009年1月-3月)

2009/05/23 10:36

【社団法人日本雑誌協会】は2009年5月19日、2009年1月から3月分の印刷部数を公表した。主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータで、正確さという点では各紙が自ら発表している「公称」部数よりはるかに高精度、リアルな値である。今回は、【少年・男性向けコミック誌の部数の変化をグラフ化してみる(2009年1月-3月データ) 】に続き、「ゲーム・エンタメ系」のデータをグラフ化し、前回掲載記事からの推移を眺めてみることにする。

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データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」などの用語説明は、一連の記事まとめページ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】に収録されている。そちらで確認をしてほしい。

それでは早速、まずは2009年の1-3月期と2008年10-12月期における印刷実績を見てみることにする。

2008年の10-12月期と2009年1-3月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績
2008年の10-12月期と2009年1-3月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績

幸いにも今回も脱落した雑誌はない。また、該当ジャンルにおいては追加された雑誌も無かった。

状況についてだが、中堅層に一部順位の変動が見られる。たとえば「アニメディア」と「電撃HOBBY MAGAZINE」が入れ替わっていたり、「ファミ通DS+Wii」が後退していたり、などだ。しかし大勢として「Vジャンプがずば抜けた売上」「週刊アスキーの健闘」「アニメ系ではニュータイプがトップ」などの傾向は3か月前と変わらない。この傾向は3四半期継続したことになる。

また、いわゆる「季節特性」(冬休み後半・春休みが該当期間のため「通勤・通学の際に購入されやすいタイプの雑誌の印刷数が減る(=販売数が減る)によるものと思われるのが一部あるが、多くの雑誌で印刷数が減っているのが分かる。前回期の反動や、雑誌のセールスを盛り上げるような作品が輩出されなかったことも一因だろう。

次に直近3か月における印刷数の変移はどのようなものか、グラフ化してみることにする。

雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)
雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)

3か月単位の変動値であり、季節特性だけでなく「取り上げている作品の人気」「新作映画やゲームとの関連」「付録」「前回期の動向」など、イレギュラー性の高い要因に大きく左右される可能性が高いことをあらかじめ書き記しておく。とはいえホビー系の雑誌は多かれ少なかれそれを宿命としており、その「イレギュラー性」を乗り越えねばならない。たとえばゲームソフト自身に大ヒット作が出なかったからといって「ゲーム専門誌も売れませんでした」では経営陣も首を縦にはふらないだろう。

突発性要素による「ぶれ」の範囲をプラスマイナス5%台とやや甘めに見て区分わけすると、ネガティブが7誌、ポジティブが2誌となる。前回と比べて、かなり状況が悪化している。ただしネガティブの該当誌のうち「ファミ通DS+Wii」「電撃HOBBY MAGAZINE」「ニュータイプ」「Vジャンプ」は前期ポジティブに該当しており、その反動によるものという可能性が高い。それを考慮すると、「ネットワークマガジン」「メガミマガジン」「ニュータイプTHE LIVE」、特に前回もネガティブ該当誌だった「メガミマガジン」が印刷数の減少傾向が続いていることになる。経営方針なのか他の事情があるのかは不明だが、このペースが今後も続くようだと、行く末について「色々と」心配になる。

冬休み・春休みの季節特性か
部数が減少している雑誌が多い。
一方で「声優グランプリ」と「アスキー・ドット・ピーシー」の伸びが目立つ。後者は前々期の水準には達せず単なる反動の域を超えていないが、前者は今期も含めた過去4四半期においてもっとも高い印刷数を記録している。該当時期の発売号を調べると、

・2009年2月号
巻頭大特集 FAIRY・AIRY・LOVELY-舞い降りた花の妖精-田村ゆかり/[スペシャルグラビア]『TYTANIA-タイタニア-』クールな顔・静かな情熱-岸尾だいすけ/Happy New Year Special Photo☆-平野綾/付録 なりたい人必読!2009年声優読本、平野綾/平川大輔B2判特大ポスター/表紙-田村ゆかり

・2009年3月号
巻頭大特集 a day in his life-小野さんと一緒に--小野大輔/LOVE MAGANE-戸松遥/コスプレSTUDIO-喜多村英梨/スペシャルグラビア-堀江由衣、茅原実里、鈴村健一、新谷良子、野中藍/付録 声優名鑑2009女性編、「綾グラ3」/表紙-小野大輔

・2009年4月号
巻頭大特集 宮野真守/ヒナ祭りグラビア 伊藤 静/ライブツアー密着 水樹奈々/PV撮影独占密着 堀江由衣/付録-声優名鑑2009 男性編、春アニメ新番組新聞/表紙-宮野真守

という内容。どうやら先日アニメ第二期が放送開始となった『涼宮ハルヒの憂鬱』の主人公・涼宮ハルヒの憂鬱の声を担当している声優・平野綾嬢の素材や、2009年版声優読本が同梱されている2月号がツボだった可能性が高い。

また、「声優グランプリ」に限らず、声優系の雑誌が意外に(!?)健闘しているのが分かる。元々部数そのものがそれほど多くない(「声優グランプリ」で約3万、「声優アニメディア」で約2万)のも一因だが、コア市場に向けたマーケティングに成功している、とも見て取れる。



少年・男性向けコミック誌部門でも言及したが、「前年同期比」ではなく「前期比」なため、その雑誌の「当たり月・外れ月」によるぶれや、季節特性など多種多様な不確定要因が絡んでくるため、今回「前期比で大きくマイナスの値が出たから、この雑誌は人気が落ちている」と見るのには難がある。少なくとも1年以上は定点観測を続け、4回分以上の推移や、前年同期比などで比較しないと難しい。

幸いにも今回の発表分で、4四半期分のデータが出揃った。次回からは(過去4回すべて印刷数が公開されていれば)直近のデータで「前年同期比」が分かるので、「季節特性」を排除した印刷数の動きを見定めることができる。短期的な、ぶれの大きい前期比でなく、前年同期比の変移を見ることで、その雑誌の立ち位置をより明確に見ることができるはずだ。


■関連記事:
【ゲーム・エンタメ系雑誌の部数変化をグラフ化してみる(2008年10月-12月データ)】

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