「このところ悪化に歯止めがかかりつつある」…2009年4月景気動向指数は4か月連続の上昇、先行きも4か月連続の上昇

2009/05/13 18:05

内閣府は2009年5月13日、2009年4月における景気動向の調査こと「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。それによると、各種DI(景気動向指数)は相変わらず水準の50を割り込んでいる状況には変化はないものの、現状・先行き共に四か月連続しての上昇傾向を見せた。基調判断は先月の厳しい表現「極めて厳しい」から「景気の現状は厳しいものの、このところ悪化に歯止めがかかりつつある」に変わり、底打ち感をにおわせるような雰囲気が感じられる(【発表ページ】)。

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依然慎重姿勢続く消費者。しかし各種政策が心理的にポジティブに作用する面も
文中・グラフ中にある調査要件、及びDI値についてはまとめのページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】にて解説している。そちらで確認のこと。

2009年4月分の調査結果は概要的には次の通り。

・現状判断DIは前月比プラス5.8ポイントの34.2。
 →4か月連続上昇。「悪化」判断が減り、「変わらない」が増えた。
 →家計においては購買意欲は慎重で変わらないものの、高速道路料金の引き下げや定額給付金給付開始、環境対応車に対する減税効果を受けて上昇。企業においては一部で受注の回復傾向も見受けられる。雇用でも一部求人の動きにポジティブさが見える。
・先行き判断DIは先月比プラス3.9ポイントの39.7。
 →4か月連続してのプラス。
 →景気や雇用の先行きや新型インフルエンザ、夏のボーナス減少見込みに対する不安が続く。定額給付金、各種特別減税、高速道路料金の値下げに対する期待などがプラスに。企業の思惑も在庫調整の進展・受注の回復が一部で期待されていることなどが好判断の予想に。
伸び率は縮小するも上昇は続く
それでは次に、それぞれの指数について簡単にチェックをしてみよう。まずは現状判断DI。

景気の現状判断DI
景気の現状判断DI

チャンネルをどこに回しても「景気悪化」「不況」「不景気」が連呼されるの報道の影響もあり、消費性向が奈落の底となったなった2008年12月-2009年1月の時期と比べると、妙な話だが「底での安心感」、さらには身の回りでじわじわと感じられつつある状況の改善・今後への期待感などが功を奏し、先月に続き今月もすべての項目でプラスを見せている。先月と比べると上昇幅がやや減少しているのが気になるが、雇用関連をのぞくすべての値で30台を回復したのは注目に値する。

続いて景気の現状判断DIを長期チャートにしたもので確認。

2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)
2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)

「ITバブル崩壊後の不景気時期にあたる2001年-2003年(日経平均株価が7000円台を記録)の時期の水準に近い状態が続いている」とは2008年後半以降同年年末までの下落基調における傾向。それ以降はその限界ラインを底抜けし、2008年12月では大底の状態となった。「もしかすると1桁、あるいはゼロに限りなく近づくのでは」という懸念もあったが、2009年1月には横ばい、多少の上昇を見せ、2月以降は上昇機運を見せている。今月の上昇幅は先月3月より伸び率が低く、やや心配ではあるものの、上昇には違いない。

・下落傾向から反転へ?
・「雇用と全体の下落逆転」は
いまだに継続中。
・合計のDIは現状においては
02-03年の不景気時代の最悪期よりは
いくぶんマシに。
ここ一、二年の下落が「前回(2001年-2002年)の急落時には、家計や企業、雇用動向DIにぶれがあったのに対し、今回の下落では一様に、しかも急速に落ち込んでいる」状態だったこと、それが「世界規模で、互いの項目の関連性云々が反映される以前のスピードで景気が悪化した」ことを表していることは、これまでに説明した通り。連鎖反応的に襲い掛かった「サブプライムローンショック」「8.17.ショック」と呼ばれるサブプライムローン問題関連、資源高、さらには「リーマンブラザーズショック」などのマイナス要素が怒とうのごとく押し寄せたのが主な原因。

今月も含めたここ数か月の上昇ぶりは、2002年前半期の大底からの反転を複写しているかのようにすら見える。だとすれば、このパターンを踏襲した場合、直近の天井で「雇用関連指数」と「合計全体指数」のクロスが発生し、そこから再びしばらくは軟調さが続き、もみ合いながら景気の復調が見られることになる。もっとも、下落幅が今回はかなり大きかったこともあり、復調しても以前のパターンより低い水準のまま、つまり「やや不景気」のまま横ばいの値を見せる可能性も否定できない。

景気の先行き判断DIについても、先月と比べて上昇した。

景気の先行き判断DI
景気の先行き判断DI

「現状」同様に全項目でプラスを見せているが、こちらも「現状」指数同様に伸び率は先月より小さい。特に「製造業」の値が1.5しか伸びていないのが気になる。とはいえ、家計動向の値が「住宅関連」をのぞき40台にまで回復したのは良い傾向だ。

2000年以降の先行き判断DIの推移
2000年以降の先行き判断DIの推移(赤線は当方で付加)

総合先行きDIはすでに昨年後半の時点で、2001年後半時期(前回の不景気時期)における最下方の値に達していた。それ以降はやや横ばいかほんの少しだけの上げで推移していたが、2008年10月で大きく底値を突き抜けてしまった。この傾向は「現状判断指数」と変わらない。昨年10月におきた株安や景気の悪化(「リーマンブラザーズ・ショック」)が、いかに大きなインパクトを、家計や企業の先行きの心境にも与えたのかが分かる。

今月も先月に続き、値は上昇を見せている。もっとも悪い状況よりはマシという比較論的な期待の他に、先行きに対する具体的な要素・希望が見えてきたのが分かる。ただ、伸び率が先月より低迷しており、これが気になるところ。特に製造業での伸び率の低さが気になる。「現状」でも触れている「40-50台のやや不景気エリア」でもみ合いを見せるような雰囲気だ。

また、「現状」同様に上昇・安定時の傾向「雇用指数が全体指数を大きく上回る」、そしてその前提となるクロス・逆転は起きていない。「現状」同様に雇用関連のマインドの改善が、全体的な雰囲気の底上げには欠かせないようだ。

具体的なコメントもポジティブなものがちらほらと
発表資料には現状の景気判断・先行きの景気判断それぞれについて理由が詳細に語られたデータも記載されている。簡単に、一番身近な家計(現状・全国)に関して事例を挙げてみると、

・高速道路料金引下げの影響で、土日、特に日曜日の来客数がかなり増えている。そのため、飲食店を中心に需要が増えている(商店街)
・国内旅行の企画商品の売上は前年比101%、海外旅行の企画商品は前年比98%となっている。海外旅行については、燃油サーチャージ値下げ又は廃止の影響で5月以降の予約状況は増加に転じている(旅行代理店)
・プレミアム付き商品券のおかげか、しばらく来店がなかった顧客が数十人来店した。少しずつではあるが、客の動きが良くなってきた(その他専門店)
・エコ家電購入ポイントがもらえる政策が発表されてから、商品の動き、購入に対して慎重に待っている様子が見られる(家電量販店)
・前年に比べて低価格志向が進んでおり、他社との価格競争が一層激化している。特に、プライベートブランド商品を中心に低価格化が進んでおり、衣料品の商品単価が前年比で9%低下、食品も3%低下と、価格の下落に歯止めが掛からない(スーパー)
・消費喚起のため、下取りセールを実施しているが、客に渡したクーポン券の回収率が1割にも満たない。このような仕掛けをしても消費に結びついていない(百貨店)
など、各種景気対策が少しずつではあるが消費マインドに影響を与える一方で、耐久消費財に対する廉価傾向の加速化、政策実施前の買い控えなど各政策や業界毎の利点・問題点が浮き彫りになっている様子がわかる。

掲載は略するが企業関連では住宅、資財関係で状況の低迷が続いているものの、一部製造業者では下降傾向が止まり、横ばい、あるいは一部上昇の動きも見えている。さらに生産調整がひと段落ついたとの言及も見受けられる。一方、チャートの形的に「回復基調」を判断するのにもっとも重要視される「雇用関係」では、厳しい状況の文言が続くが、わずかなものの底打ち感も見られるところも確認できる。地域による違いも少なからずあるようだ。



金融危機による市況悪化で
景気感は一挙に急降下。
耐久消費財の値上げや雇用喪失など
実体経済への傷も深い。
海外の景気後退が災いし
外需中心の企業にも影響は大きく、
それが内需中心の企業にも影響を。
現状は「(期待的)底打ち感」と
将来への期待から「回復の兆し」
を見せている。
前回パターンを踏襲するなら
「景気は多少悪い」状態が続く
可能性も否定できない。
一連の「景気ウォッチャー調査」に関する記事中でも繰り返し指摘しているが、今回の景気悪化が2001年から2003年にわたった「景気悪化」と「その後の回復」パターンを踏襲するのなら、全体の指数の底打ちと前後して「大幅な雇用関係指数の下落・他指数とのかい離(かけはなれること)」現象が見られると推測される。2008年12月のデータが「大幅なかい離」と表現するにはまだ足りない感もあるが、元々理論値としての下限に近い値で起きているだけに、このくらいのかい離でも反動のためのエネルギーは十分たまったと考えることもできる。だとすれば、すでに底値は脱しており、今後もしばらくは横ばい・上昇率の低下を挟みながら、回復基調は続く可能性はある。

ただし本文中でも指摘しているように、底値における値が前回と比べてかなり低い状態にあることから、たとえこのまま上昇・横ばいの傾向を見せたとしても、DI値が50をやや下回る値で起きる可能性がある(いわゆる「何となく不景気」状態の継続)。そうでなかったとしても、DI値が水準の50に戻るまでには前回以上に長い期間を要することだろう。

今回の不景気は海外要因に寄るところが大きい。日本一国だけではどうにもならないことがあまりにも多すぎる。国内で景気回復の兆しが見えても、昨年2008年のリーマンズ・ショックのように海外の出来事がすべてを台無しにしてしまうかもしれない。国内はもちろん、海外動向にも注目しながら、景気の流れを慎重に見守る必要があるだろう。

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