電通の2009年4月の売上高をグラフ化してみる

2009/05/13 12:00

広告イメージ[電通(4324)]は2009年5月12日、同年4月の単体売上高を発表した。それによると売上高は前年同月比の14.6%減の1019億7700万円にとどまったことが明らかになった。同社は先日【電通、広告費減や保有証券下落で204億円の最終赤字・創業以来初】にもあるように、広告減や有価証券の評価損で最終赤字の決算短信を発表しており、経費削減が進んでいるものの売上減による業績悪化が避けられない見通しであることを明らかにしている(【4月売上分発表リリース、PDF】)。今回はこのデータなどをグラフ化し、広告が減少傾向にある状況が、直近のデータから把握しやすいようにしてみた。要は【電通の2009年2月の売上高をグラフ化してみる】の最新版、というわけだ。

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まずは業務別の売上前年同月比。テレビの額が全体の半数程度を占めていることなど、絶対額の状況に大きな変化はないのだから(とはいえ少しずつ変異を見せつつあるが)、むしろ季節変動などをも考慮できる前年同月比の方が状況の変化はわかりやすい。

電通2009年4月度単体売上高
電通2009年4月度単体売上高

・「テレビ」はタイム広告とスポット広告の合計
・「OOHメディア」とは「Out of Homeメディア」のことで、交通広告や屋外広告などのこと
・「インタラクティブメディア」とはインターネットやモバイル関連メディアを意味する(要は「インターネット」)
・「クリエーティブ」とは制作部門によって考案、計画、制作された(独自)コンテンツのこと
・「その他」には衛星その他のメディア、メディアプランニング、スポーツ、エンタテインメント、その他コンテンツの業務を意味する

区別がしやすいよう、全体を緑、4大既存メディアを赤で着色してみた。前回の2月と比べて既存メディアのうち落ち込みが著しい2大紙「新聞」「雑誌」と、視聴系メディアの「テレビ」「ラジオ」との差異が縮まっているのが分かる。これが単に4月だけの傾向なのか、今後長らくの傾向となるのかは、今しばらく状況を見ていく必要がある。とはいえ「新聞」「雑誌」がほぼ3割減と極めてツラい状況なのに変わりは無い。

その一方、ここ数年成長が著しいインタラクティブメディアやその他部門、マーケティング・プロモーション部門など、「最先端分野」と4大既存メディア以外のオーソドックスな分野はそれなりに健闘している。屋外での大型液晶画面での広告展開で注目を集めている「OOHメディア」は4月はやや大きな下げが見られるが、それ以外は1割以下の減少に留まっており、中には前年同月比プラスのもあるほど。

さて、これら前年同月比の動向を2007年12月からの推移で見たのが次のグラフ。業種全体でつくったものと、全社及び4大既存メディアに限定したものを併記してみた。

電通の過去1年間+αにおける業務別売上高前年同月比推移
電通の過去1年間+αにおける業務別売上高前年同月比推移

電通の過去1年間+αにおける業務別売上高前年同月比推移(全社及び四大既存メディアのみ)
電通の過去1年間+αにおける業務別売上高前年同月比推移(全社及び四大既存メディアのみ)

ある程度の上げ下げはあるものの、今月に限らず「雑誌」「新聞」という2大紙媒体の落ち込みが経常的におきているのが確認できる。とりわけ「新聞」の下げは顕著で、2008年後半から加速度的な下落を見せている。この値は「前年同月比」だから、月ごとの特性は考慮した上でのもの。それで1年で3割減という値は、驚愕レベルどころではない(こづかいや給与が3割減らされた時のことを考えれば、容易に想像はできるはず)。

前回、2009年2月のデータを掲載した時に「(3月-4月は)次年度における各社・各業種の広告展開の傾向が見える月ともいえる。(中略)月次売上がどのように推移するかによって、各社の各メディアに対する今年(来年度)の姿勢が見えてくることだろう」とコメントした。今回の3月・4月のデータを見る限りにおいては、各広告出稿企業は直近の傾向を変えることなく、「インターネットやケータイに注力」「立て看板などオーソドックスな広告媒体へもそれなりに配分」「4大既存メディアには極力削減方向で」の方針を継続しそうである。

もし仮に2009年の後半時期に企業の業績が回復基調を見せ、広告費への余裕がもてるようになっても、「4大既存メディアには極力削減方向で」に大きな変化は無いものと思われる。なぜなら【10余年間における4大メディアへの広告費の業種別動向をグラフ化してみる】などで指摘しているように、すでに2005年以降GDPの成長率と広告費、特に4大メディア向けの出費は連動しない傾向を見せているからだ。逆にさらに景気が悪化し、広告費圧縮の圧力が強まれば、さらなる削減も考えられよう。


■関連記事:
【マスコミ既存4媒体の2008年における業種別広告費をグラフ化してみる】
【アメリカでも広告費は大きな削減対象・インターネット広告などは健闘中 】

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