【更新】戦車発祥地のイギリスで戦車の生産終了

2009/05/05 17:35

チャレンジャー2イメージ【MailOnline】が伝えるところによれば、現代各国で使用されている戦車の原型モデル(マークI戦車)を最初に実践投入したことで知られるイギリスが、戦車の国内生産を終了したことが報じられた。イギリスの主力戦車チャレンジャー2を生産していた総合兵器製造メーカーのBAe Systemsが関連部署を閉鎖したことで明らかになった([BAeSystemsのリリース])。BAe側では部署の閉鎖について「今後イギリス政府から新しい注文を受ける見通しが立たないためであり、固定費削減のためには部署の整理統合をしなければならないから」と説明。今後イギリス陸軍ではドイツ製の主砲(ドイツのラインメタル社製55口径120mm滑腔砲)とスウェーデン製の車体が用いられることになるとしている※。

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チャレンジャー2
チャレンジャー2

イギリス国防大臣のJohn Hutton氏はイギリス軍を技術齊装備・人員の面で(国対国の全面戦争ではなく)不正規戦向けに変えていくことを宣言。その中で特殊部隊の強化を図る一方、主力戦車については中戦車ですら目もくれなかったという。

しかし第一次湾岸戦争でイギリス軍の指揮を執ったPatrick Cordingley将軍はこのような装備方針の変更に対し警告を発している。いわく「1930年代、経済上の都合で軍の予算は削減され、装備もないがしろにされた。結果、その後に到来した第二次世界大戦でイギリス軍はひどい目にあったではないか」と。「今後ずっとイギリスが、(戦車のような)通常装備や兵力を必要とするような戦いに決して巻き込まれない、戦いが起きないと言い切れるだろうか?」。

チャレンジャー2イメージイギリスが保有するチャレンジャー2型戦車は、イギリス戦車の特性(保守的な造りと重装甲)をフルに発揮した一線級の戦車。湾岸戦争でも(前世代のチャレンジャー1型と共に)活躍をしたが、専門家の中には現在の戦闘スタイルにおいては「もっと小さく機動力の高い戦闘車両が陸軍には必要だ」と主張する者も多い。中には「戦車はもう現在の戦闘においては不必要だ('The tank is not as relevant to today's form of battle)」と主張する議員もいるほど。今回の国防大臣の発言やBAeの部署解体も、これらの世論の流れが少なからず影響しているものと思われる。

一方イギリス国防省側では「BAeは引き続きさまざまな装備の生産に携わっている。今回の戦車生産部署の解体が、イギリス製戦車製造の終えんを意味するものでないことを心から祈っている」とコメントしている。

日本でも不正規戦闘に柔軟に対応できるよう、小型・高機動力の戦闘車両(機動戦闘車)の開発が進められている(【防衛庁、重火力装甲機動戦闘車を新規開発へ】)。戦闘のスタイルが変わりつつある以上、装備もそれに従い(&最大の敵である「予算」とにらみ合いながら)変化を遂げていく必要がある。もちろんCordingley将軍が危ぐしている状況だけでなく、戦車そのものが必要な場面はまだまだ想定しうるため、少なくとも自衛隊においては「戦車全廃・全部機動戦闘車へ」ということは無いのだろう。

ちなみに元記事のコメントでは「イギリス国内での戦車製造・開発技術が失われるのは憂慮すべき事態だ」と悲観的な意見が多い一方、「どのみちドイツの戦車が一番高性能なんだから、ドイツの新鋭戦車レオパルド2を購入すればいいのさ」とドライな考えを発する人もいる。まさに意見は人それぞれ、というところか。

※詳細はMailOnline上にはありませんでしたが、チャレンジャー2は元々ラインメタル社製55口径120mm滑腔砲への装備転換の計画がありました(弾薬補充の問題から)。また、BAe社はスウェーデンにHagglundsという車体製造の支社を持っています。これらのことから、この意味は「今後チャレンジャー2はドイツ製の主砲塔に切り替えられ、車体はスウェーデンで製造されたものに差し変わる」という意味を表しているものと思われます。

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