今年倒産した上場企業をグラフ化してみる(2009年5月1日版)

2009/05/02 10:20

倒産イメージ(2009年5月1日版)昨年2008年は最終的に33件(上場廃止後に倒産したエー・エス・アイを含めると34社)の上場企業の倒産が数えられ、これは1年間の数としては戦後最高数を記録した。不動産関連市場の不調さをはじめ、さまざまな、世界的な規模のマイナス要因が重なった不運があるとはいえ、株価動向とあわせ常軌を逸している感はある。さらに今年は現時点において、その前年2008年を上回るペースで上場企業が破たんを見せ、「退場」している状況。今年で第四回目となる「今年倒産した上場企業をグラフ化してみる」において、期間的にはまだ一年の1/3しか経過していないのにすでに16社を数えている現実がどのようなものなのか、少しでも把握できるようグラフ化することにした。

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まずは今年に入ってから、5月1日時点の上場企業における倒産企業一覧。1月に4件、2月に7件、3月に3件、4月に2件、合計で16件となる。

2009年における上場企業の倒産一覧(5月1日時点)
2009年における上場企業の倒産一覧(5月1日時点)

なお「不動産」には直接の不動産売買以外に不動産投資、不動産関連事業も含めてある。詳細に分類してもあまり意味をなさず、むしろまとめた方が状況を把握しやすいというのがその理由。3月以降は不動産業が相次いでいるのが分かる。

次に、セクター(業種)ごとに負債総額を累計し、負債総額全体に占める割合をグラフ化する。

2009年に倒産した上場企業の負債額区分(5月1日時点)
2009年に倒産した上場企業の負債額区分(5月1日時点)

不動産、建設など「不動産・建設」絡みが多いのは周知の事実だが、今回のデータでも「その他」の区分が異様に増加しているのが分かる。これは以前からコメントしているように、SFCG(8597)の負債総額があまりにも巨額で、大きな影響を与えているからに他ならない。また、昨年のデータの名残で「サービス」が項目化されているが、すでに二社が該当している「繊維製品」関連が、もう一社該当「リストアップ」されれば、そちらを独自項目化する予定。

負債総額の上位10位を並べてみても、不動産業界の苦境が見て取れる。今月分でついにSFCG以外はすべて不動産・建設業社となってしまった。また、前回のデータと比べると棒グラフそのものが長くなっており、「上位10位」の負債額が増加しているのも分かる。要はところてん式に額の小さな企業が押し出され、上位陣の数字が上がっている状態だ。

2009年における倒産上場企業負債総額上位10位と負債額(億円)(5月1日時点)
2009年における倒産上場企業負債総額上位10位と負債額(億円)(5月1日時点)

10社のうち建設2社・不動産7社と、不動産・建設関連が9割を占め、それらがいずれも上位に顔を見せている。今年も不動産・建設の大型倒産が相次いでいることを証明するグラフである。それと同時に、SFCGがいまだに最上位に君臨していることも見逃せない。つまりSFCGの負債規模がそれだけ巨大ということだ。このSFCGの最上位体制が変わらない事態を幸と見るべきか不幸と見るべきは人それぞれではあるが……。

続いて月ベースでの上場企業の倒産件数。冒頭で「2008年を上回るペースで」という表現を使ったことが分かるように、先月同様昨年の実測値と並べて棒グラフ化することにした。

2008年における上場企業倒産件数(5月1日現在)
2008年における上場企業倒産件数(5月1日現在)

昨年2008年の上場企業の破たん傾向は後期から加速化し、それが継続状態であることを考慮しても、今年の状況が「季節毎の特性」を超えたものであることが分かる。むしろ昨年9月-10月の状況が再来したかのようだ。4月は「どうにか昨年と同程度で済むのか」という安心感を持ちつつ様子を見ていたところ、最終日となる4月30日にライフステージが民事再生の申請をしてしまい、やはり昨年以上の値を示してしまうこととなった。

最後に「市場から失われた資金」を計算してみる。これは上場廃止告知日におけるその企業の株価に、その企業が発行している株式総数(ヤフーファイナンスから取得)を乗じた、いわば「倒産告知時の時価総額」。倒産≒上場廃止となればその企業の株式の流動性はほとんど無くなり、破産ならほぼ資産価値はゼロとなる。民事再生や会社更生でも上場廃止後に何らかの資産価値を得られる可能性は極めて低い(まれな例外として、上場廃止後に清算された分配金が、上場廃止時の株価を上回る場合もある)。

そこでここでは、上場廃止告知日のその企業における時価総額を、「株価がゼロ」=「時価総額がゼロ」になるとみなし、そこに投じられた資金が市場から失われてしまうと考え(少なくともそれに近い額がそれぞれの株主から失われるのは疑いようもない)、計算してみることにした。突然破たんとなれば株主の売りぬけの機会も無く、この値は大きくなる。一方で倒産告知前に何らかの「気配」が感じられていれば、投資家はそれに気づき、手持ちの株式を売り抜けようとするので、自然に時価総額も下がることになる。最近では特に新興系の銘柄において、倒産事例よりしばらく前に不自然な株価の上下が見受けられ、証券取引等監視委員会の調査と活躍に期待したい状況が多数報告されている。

2009年における倒産上場企業の倒産告知日における時価総額(≒市場から「失われた資金」)(5月1日現在)
2009年における倒産上場企業の倒産告知日における時価総額(≒市場から「失われた資金」)(5月1日現在)

・今年も「不動産」が
注目の業種に。
・ペースは昨年以上。
・SFCGの影響が大きい。
・今年は多業種に
展開の可能性。
前回記事同様に「その他」セクターの比率が異様に高い。これは繰り返しになるが2月23日早朝に民事再生を出したSFCG(8597)の発行株式数・株価が共に大きく、時価総額が約158億円に達していたため。なお同社は民事再生発表の直前(正確には最終営業日の昼間)に代表権を持つ社長兼会長が突然代表権の無い会長に退くなど、何かと疑問視される動きが指摘されている。さらに[産経新聞報道]にもあるように、巨額の資産隠しが行われていた可能性が破産管財人によって指摘されており、今後の情勢展開に注目が集まっている。



4月末の時点ですでに16社を数えた上場企業の倒産だが、有価証券報告書提出未了などによる上場廃止はカウント対象外となっている。去年から「倒産以外の事由による上場廃止」の案件も増えており、今後も似たような要件で上場廃止を余儀なくされる企業も出てくることだろう。

【株価低迷で東証が上場廃止基準などを緩和へ】などにもあるように東証側では、全体の株価低迷を考慮して上場基準の一時的な緩和措置を実施中だが、これで倒産事例そのものが減少するわけではない。すでに大手の企業のいくつかは3月末締めの決算について決算短信を出しているが、その多くは非常に厳しい内容となっている。これから期末決算発表と株主総会が集中する月である5月-6月を迎えるにあたり、企業の内部関係者はもちろん、投資家も引き続き注意深い態度が求められよう。

なお今後、少なくとも今年においては、倒産件数が1件もない場合を除き、今件記事は毎月更新することを決定した。「書かなくても良い月」がやってくることを切に望むものである。

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