企業社員がおススメする報道番組ランキングをグラフ化してみる

2009/04/29 10:15

テレビ報道番組イメージ[トヨタ自動車(7203)]や【東京電力(9501)】など大手企業26社から構成される「優良放送番組推進会議」は2009年4月28日、独自に参加企業の社員に対して行ったアンケートの調査結果による「報道番組ランキング」を公表した。それによると、トップについた番組はテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」であることが明らかになった。第二位には「クローズアップ現代」、第三位には「週刊こどもニュース」がついている。一方、誤報問題で名前が知られるようになった報道番組「真相報道バンキシャ!」や、鳴り物入りでスタートした夕方から夜の2時間報道番組「総力報道! THE NEWS」などは、ほとんど評価されていないことも分かる(【発表リリース】)。

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「優良放送番組推進会議」とは大手企業(要はテレビ放送のお得意様的スポンサーとなりうる企業)から構成されている団体。設立主旨は「日本の混迷状態の一因は、世界の情勢から大きくかけ離れているテレビ放送にある。しかし単純に良し悪しを判断すると表現の自由にかかわる問題となる。そこで『良い番組』を推挙すれば、番組の向上に役立つだろうと判断。放送番組動向に関心のある企業が調査に協力して世間に結果を公表することで、間接的にテレビ放送に対する『意見具申』をして優良な番組展開が期待できる」というもの。

今調査は参加企業の社員430人に対し、2009年4月1日から7日に放送された37の報道番組に対し、任意に番組を選んでもらい、5段階評価(3:とても興味深く推薦したい、2:興味深く推薦したい、1:普通、0:特に感想が無い マイナス:マイナス評価(集計上はゼロ扱い))を依頼し、その平均得点で順位を決定する。選択されない番組は「見向きもされない」「知らないので評価できない」ということでゼロ扱い。年齢階層、男女比などは非公開。

詳細な一覧はリリースにあるが、ここではいくつかの要素を抜き出してみることにする。

ワールドビジネスサテライトの独走ぶりと、「知名度」と「評価」の違い
まずは全番組の平均点順位、回答者数順位の上位5位をグラフ化する。

平均点順位
平均点順位

回答者数順位
回答者数順位

平均点は「投票した人の」点数平均。知名度の高さとはまた別で、評価した人の評判の良し悪しを示す。極端な話、一人だけしか投票せずに「3」の評価を入れればその番組は「3」の平均点を確保できるわけだが、今回は最低回答数でも64人となっており、特にそのような「ぶれ」リスクは考えなくとも良い。

一方「回答者数」は430人のうち何人が投票したか。いわば良し悪しを別にした知名度とほぼ意味を同じくするということになる。もちろん回答者数が多くても評価が低いのなら得点は低くなるので、平均点は下がる。回答者数上位に入っていて、平均点上位に姿を現していない番組は、評価の内容が幅広いことを意味する。

「評判」と「知名度」、双方を加味するには「多くの人からたくさんの点数をもらえたかどうか」、言い換えれば「得点総数」を見る必要がある。知名度が高くても各回答者数の評価(得点)が低ければ得点総数は低くなるし、評価が高くても知名度が低ければやはり得点総数は上がらないからだ。その表が次の図。

合計点順位
合計点順位

「ワールドビジネスサテライト」が断トツの493ポイント。ついで「おはよう日本」「クローズアップ現代」「NHKニュース7」とNHK番組が三連続。【最近のテレビ番組高視聴率トップテンを表組化してみる】でも指摘しているように、ニュース番組はNHKが圧倒的であることがあらためて分かる。

なおグラフの取扱範囲が11位までと、変則的なものになっているが、その理由は次の項目で。

「週刊こどもニュース」は中堅以上の大人ニュース!?
合計点で11位に入った「週刊こどもニュース」。【NHKの「週刊こどもニュース」が面白い】で解説したように、世の中のさまざまな時節問題(経済、政治がメイン)を子どもでも理解できるよう、分かりやすく、色々な具体例をあげ、図版や模型を使って「概念を把握してもらう」報道番組。少しでも経験のある人(子育て中の保護者、学校や塾の教師、家庭教師など)ならお分かりのように、子どもに物事を理解してもらうのは非常に難しい。ましてや大人でも分かり難いことを「概念レベル」とはいえ「限られた時間内で」分かってもらうよう努めるのだから、並大抵の努力ではかなわない。だからこそ、その手法は「多くの人に(低いハードルで)物事を分かってもらう」ための良い見本にもなる。

上位5番組について、「平均点」を年齢・性別階層別に5位までピックアップしたのが次の図。赤く囲ってある部分が「週刊こどもニュース」。m1は男性20-30代、m2は男性40-50代、m3は60代以上。f1は女性20-30代、f2は女性40-50台、f3は女性60代以上を意味する。

上位5番組(平均点)
上位5番組(平均点)

男女とも年齢階層が上がるにつれて、「週刊こどもニュース」の立ち位置が上にあがっていくのが分かる。なお「回答者数」はいずれの階層でも5位以内に入っていないので省略。全体では15位・162人の回答者数に留まっている。

つまり「週刊こどもニュース」は

・知っている、見ている人の評価は上位一般報道番組と肩を並べるほどに高い
・20代以上の大人の間においては、若年層よりもむしろ中堅-高齢者の評価が高い
・他の高評価報道番組と比べて、認知度が低い

という特徴を持つことになる。回答しなかった人は「そもそも子ども向けの報道番組『週刊こどもニュース』など見ない」とのこどく「知っているが見ていない人」なのか、「そんな番組あるなんて知らなかった。今度見てみるかな」という未体験者の二通りのパターンが考えられるため、仮に回答者数が増えたとして平均点の高さを維持できるかどうかは不明である。とはいえ、今後「週刊こどもニュース」の認知度が高まるにつれて、さらに同番組の評価・評判がアップする可能性は十二分にある。



ちなみに冒頭で触れた「真相報道バンキシャ!」「総力報道! THE NEWS」はそれぞれ、

・「真相報道バンキシャ!」……平均点19位、回答者数16位、合計点16位
・「総力報道! THE NEWS」……平均点33位、回答者数28位、合計点29位

である。下には下がいるが、上には上がいる、ということになる。

もちろん今回の順位はあくまでも会議に参加している企業の社員を調査母体にした結果なので、テレビ視聴者全体の傾向とは微妙に異なるといえる。どちらかといえば、企業にとって都合の良い、企業情報や関連情報を適切に報じてくれる、あるいは役立つ情報を伝えてくれる傾向が強いと見る向きもあるだろう。しかし「週刊こどもニュース」なども上位に入っている以上、一概にそのような偏見的ランキングと見なすのも、それはそれで問題がある。

【相次ぐメディアの不祥事に広告主団体が「遺憾」声明】でもお伝えしているように、「広告主としての」企業や団体から構成される協会でも、テレビ放送や雑誌媒体に対して昨今の状況を「遺憾な状態」と認知しているという声明を発している。優良放送番組推進会議がわざわざランキングの集計とその公知を通じてテレビ放送に対して「アピール」をしなければならないほど、現状は憂慮すべき状態にある、と認知されていることは疑いようも無い。

もちろんメディアが企業の方だけを向けばよいというものではない。しかし企業は視聴者=消費者・お客様の方にも顔を向けているため、「企業に片寄った状況」が視聴者にとってマイナスと判断されるのなら、結局企業にとってもマイナスな結果を導く。多少のバランス調整はあれども、結局「企業と視聴者」は一体となり、「メディア」と相対する構図が出来る。

メディア、特にテレビ放送が視聴者や企業の「高まる声」に謙虚に耳を傾けて是正する姿勢を見せ、実践しなければ、視聴者も企業も「新しいパートナー」を見つけ、そちらに傾注してしまうことだろう。

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