【更新】アマゾンドットコムの売上推移などをグラフ化してみる

2009/04/26 16:00

アマゾンドットコムイメージ先に【アメリカでは閲覧者数トップ5に入ったYouTube、でも利益は……!?】で、通販サイト大手アマゾンドットコムについて「1995年の創業以来2002年中に初の黒字転換を果たすまでは」云々という説明をした。アマゾンが現在のAmazon.comに改名してサービスを本格スタートした1995年7月以降、しばらくは大幅な赤字を計上。2002年決算で営業損益・2003年決算で純損益時点でようやく黒字転換をし、あとはご承知の通り規模の拡大と共に利益も伸ばしている。それでは具体的に、売上や利益はどのように推移したのか。当方自身もはっきりとは把握していなかったので、せっかくだから調べてみることにした。

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アメリカでは電子開示システムEDGAR(Electric Data Gathering, Analysis and Retrieval)で1995年以降の各種財務データを入手することができる。改定文書削減法(The Document Reduction Act of 1995)で、アメリカの公文書の電子化が義務付けられたからだ。【場所はここ。SEC Filings & Forms】。ここから[Search for Company Filings]、さらに【Boolean and advanced searching, including addresses】を選択。検索キーワードには「amazon com inc 10-K」を入力。ちなみに「10-K」とは「年次報告書」を意味する。海外の企業なら「20-F」、四半期報告書は「10-Q」、臨時報告書は「8-K」。また、アマゾンドットコムは12月末決算。

アマゾンドットコムのデータは1999年3月5日提出のものが最古。このデータには1994年以降のものも掲載されている。ただし初年度は立ち上げ時期ということで売上がゼロなので、これは省略し、1995年以降のものを抽出する。最新のデータは2008年の分までなので、それを逐次引き出して、グラフ化を行う。なお日本の企業と比較する際にはそれぞれの年の為替レートを考慮する必要があるが、今回はアマゾンドットコムそのものの推移を見るだけなので、ドルベースのまま形成する。

アマゾンドットコムの売上高と営業利益率
アマゾンドットコムの売上高と営業利益率

「営業利益率」とは「売上高営業利益率」のことで、売上と営業利益率の関係を示している。要は「総売上で営業損益を割ったもの」で、どれだけワリのよい本業をしているかが分かる。もちろんこの値がマイナスの場合、本業の時点で赤字を出しているわけだ。

グラフからもお分かりのように、売上高は相乗的に増加する一方、営業利益率は1999年に一度落ち込み(営業費用の大幅な増加が原因)、2002年まではマイナスのまま推移。2003年からはプラスに転じているが、以降上昇を見せることなく横ばいを続けている。2008年の売上高営業利益率は4.4%。日本の一般小売店とさほど変わりがない。アマゾンドットコムが大きな黒字を計上するニュースを耳にした人も多いだろうが、これは「利益率の高いビジネスをしているから」ではなく、「スケールメリットを活かした」言い換えれば「規模の大きなビジネスをしている・薄利多売だから」得られた結果であることが理解できる。

せっかくここまで調べたのだから、1995年以降の「総売上」「売上原価」「営業費用」「営業損益」「純損益」の推移もグラフ化する。

アマゾンドットコム「総売上」「売上原価」「営業費用」「営業損益」「純損益」推移
アマゾンドットコム「総売上」「売上原価」「営業費用」「営業損益」「純損益」推移

元々「総売上」と「売上原価」の差、つまり「粗利」が小さく、さらに営業費用が加わることで利益が食いつぶされ、売上と比べれば利益が非常に小さいことが見て取れる。ただし割合としては小さくとも、規模そのものが大きいので、結果的にダイナミックな額の利益を確保できるという次第だ。



アマゾンでは当初立ち上げ時から5年ほどは、利益が十分にあがらないだろうことを前提に戦略を組んでいたとの話もある。実際には利益を出すまでさらにもう数年の月日を要したわけだが、赤字の間にも(ご承知のとおりその期間にはいわゆる「ITバブル崩壊」の時期も含まれる)自らの戦略を信じ、売上と規模を拡大し続けた努力と意思があったからこそ、今の地位を築けたといえる。

アマゾンドットコムイメージ何しろ昔のことなので(笑)番組名も含め詳しいことは失念してしまったが、アマゾンの関係者(CEOかそれに類するトップだったのだろう)がベンチャー企業か何かのビジネス特集番組に出演したのを見た記憶がある。その時、番組では「毎年赤字の額を積み重ね、財務状態は真っ赤っか。当初予定の黒字転換期間を過ぎても黒字化は果たせず、破たんも間近か」などという番組側のあおりに対し、出演した関係者は「予定よりは遅れているが、必ずこのビジネスは成功する」と確信を持って答えていたシーンははっきりと覚えている。今回調べた財務諸表と照らし合わせると、おそらく2000年か2001年あたりの放送だったのだろう(もし番組名について思い当たる節のある方がいたらご連絡いただきたい)。

YouTubeをはじめ、コンテンツボリュームとスケールメリットを活かし、アマゾンドットコム同様に未来へと橋をかけようとしているビジネスたち。彼らにはアマゾンのような長期戦略と、確固たる意思があるだろうか。調べてみると面白いかもしれない。

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