景気後退の波はオンラインもマイナスに陥れる…米新聞社広告費動向(2009年発表)

2009/04/21 04:45

日本の新聞社の経営が悪化しているという話は、【未上場で有名な企業の業績をグラフ化してみる……(3)日経新聞などの各新聞社】をはじめとして、主に財務面や購読者数の面からこれまでにも何度か取り上げている。欧米では日本以上に状況は進展(悪化)しており、著名な新聞社が休刊に追い込まれたりオンラインに場を移したり、伝統をかなぐり捨てて広告を展開する事態に陥っている(【アメリカ有力紙NYTが「聖域」の1面広告を解禁】)。日本の新聞各社も後追いするかもしれない、アメリカの新聞業界における広告売上の推移が【eMarketer】に紹介されていたので、今回はこれをグラフ化することにした。アメリカの新聞広告市場動向そのものを知るだけでなく、将来日本との類似点を探る上での資料になる可能性もあるからだ。

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データの取得場所や広告の種類に関する説明はまとめ記事【定期更新記事:米新聞社広告費動向(Q単位)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

アメリカの新聞広告収入推移(前年比)
アメリカの新聞広告収入推移(前年比)

グラフを見る限り、オンライン広告こそ数年来前年比プラスを維持していたものの、2008年は不況のあおりを受けてついにマイナス(しかもオンライン広告は元々額が少ないため、成長率は高くとも絶対額は紙媒体広告と比べれば少ないことに注意しなければならない:【アメリカのインターネット広告、2013年には広告全体の15%のシェアを確保】)。その他紙媒体の広告は2005年あたりからすでに前年比マイナスの傾向を見せ、昨年は紙媒体全体で-17.7%もの下落を見せている。特に小回りの利きやすさや広告出稿のしやすさなどからオンライン広告にとって代わられやすい、クラシファイド広告の下げが目立つ。

本文ではいくつか具体的な数字も挙げられている。箇条書きにすると

・2008年のアメリカ国内の新聞における総収入は378億ドル。
・不動産広告の下げが-38%とキツい。
・かつてローカル紙では大黒柱的存在だったクラシファイド広告は-29.7%。
・2008年のオンライン広告収入は31.1億ドル。

などとなる。また、「自動車産業や金融業と違い、To Big To Fail(大きすぎて潰せない)ではなく」容赦なく淘汰が行われている、との説明もある。新聞業界の惨状を受けて「新聞社の非営利団体格を可能とし、その場合には税制上の優遇措置を与える」法案を提出した議員(Ben Cardin上院議員)もいる。一方カナダでは多少状況は良いが、多くの広告主(32%)が「今後新聞への出稿を減らす」と考えており、「増やす」の5%をはるかに超えていることから、将来的にはあまり大きな差は出なくなるだろう。

日本でも将来、「メディア」の保護という大義名分のため、新聞社のNPO法人化を可能とする法案の提出が行われる日がやってくる可能性は否定できない。もっともその際には財務の透明化が前提条件となるので、「押し紙問題」や大株主の株式取得に関する情報公開すら拒んでいる状況では、それすら困難と思われる。

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