アメリカの自動車産業を見捨てるべき5つの理由

2009/04/21 04:30

アメリカの自動車産業データイメージ以前【アメリカ自動車産業を救う10の提言】で、アメリカの一大産業たる自動車産業を救うべき理由、そしてその手法について紹介した。その元記事となったAskMen.comで今度は、「期待をかけても意味がないどころかムダじゃないの?」とばかりに【5つのアメリカの自動車産業を見捨てるべき理由(Reasons Not To Save The American Auto Industry)】を掲載した。冒頭部分で「国民感情は反発的になりつつある」と説明しているあたり、そろそろ堪忍袋の尾が切れつつあることを代弁した記事のようだ。

スポンサードリンク


1.行動が遅すぎる
2009年4月30日までにGMは事業回復のプランを提示する義務が生じている。クライスラーも同じ締め切りを抱え、既存大株主のダイムラーや、アプローチをかけているフィアットとの提携に関して協議を続けているものの、具体的な話は遅々として進んでいない。しかもこれら経営合理化の動きは昨日今日の話ではなく、すでに数十年も前に行うべきだったことに過ぎない。

白地小切手イメージ2.お金を差し出しただけで競争力は回復しない
たとえオバマ大統領が白紙の小切手を自動車産業大手に手渡しても、春休み中の学生たちのように浪費してしまうに過ぎない。これは「自動車産業を救うな」という意味でもなければ「お金」そのものの問題でもない。「どうやってお金を使うべきか、その使い道」という観点の問題である。(自動車産業内における)技術・デザイン、そしてとりわけ顧客からの信用回復のために政府の資金を投じるべき。

言い換えれば、「事態の好転と自動車業界そのものを前進させるために政府資金を使うべきなのに、今の自動車産業大手にはそれをする気配が無い」といましめていることになる

3.自然淘汰だから仕方が無い
市場は強いものが生き残り、弱いものは滅んでいくという自然淘汰の原理原則のもとに動いていく。大手が倒産したときに生じる自動車のディーラーや技術者、そして従業員の問題は無視できないレベルではあるが、仮に自動車産業を救わないとしたらどれくらいの事態の悪化が考えられるのだろうか。

自動車産業大手が倒れても、世の中から自動車が消えてなくなるわけではない。既存の自動車の交換部品は必要だし、技術者も需要がある。ディーラーは事態を受けて吸収合併を繰り返し、結果としてより強くなる。海外の企業も参入を果たし、彼らによる新しい需要や雇用も生まれる。

問題山積イメージ4.国内外にはもっと優先すべき課題が山積している
自動車産業の支援者たちは「自分たちを支援してくれないと倒産しちゃうぞ。自分たちが倒れてしまえば、アメリカの産業も世界経済もおしまいだぞ」的発言を繰り返している。しかし軍人たちは生き延びるために戦い続け、市民たちは自分たちの家を守るために戦い続けているのに、彼ら自動車産業大手(特にGMやクライスラー)は、いつも税金の上で仕事をしているに過ぎない。彼らも(市民や軍人たちと同様に)必要な「痛み」を受けた上で戦う必要があるのだろう。

5.外国車の方が魅力的
アメリカは自動車の生産方式や、生活にいかに密接に関わりあうかといった使い方のノウハウを作り出したものの、自動車そのものを発明してもいないし、現在の形のようなものに仕立て上げてもいない。アメリカの自動車産業は利益を上げ続けたが、アメリカ産の自動車は海外のものと比べて決して性能が良いとはいえなかった。そして消費者がもっと良い性能や信頼性、そして価格を追い求めた時、海外自動車メーカーが積極的にそれに応えようと努力したのに対し、自動車産業大手とUAW(全米自動車労組:the United Auto Workers union )は自分たちの利益追求を第一にし、消費者のニーズに応えようとしなかった。結局この対応の違いが、外国車の魅力を高めただけでなく、アメリカの自動車産業を「見捨てるべき」最大の理由になったといえる。

アメリカ自動車産業イメージ「3.自然淘汰だから仕方が無い」については規模があまりにも大きすぎるため、本文の主張通りに業界再編がスムースに進むかどうかは正直未知数といえる。ただ、裏づけとなる話もいくつか噂話として伝えられおり、例えばすでに一部の部品メーカーに対しアメリカ国外の諸企業が「来るべき時」に備えて対応(救いの手)をする準備を進めているという話もある。また、アメリカ国内においても在庫の整理が進んでおり、(需要の減退を除けば)1社が「整理」されることで需給バランスは正常に近づくのではないか、とする意見もある。

一方で、「2.お金を差し出しただけで競争力は回復しない」「5.外国車の方が魅力的」は根本的な問題で、一、二年で解決することは難しい。まずは直近の問題をクリアしつつ、これらの問題をも解決する足がかりとなるようなプランが求められている。逆にいえば、そのような道筋が見えてこないからこそ、今回の元記事のような「国民の税金を大量に投入して、その上であぐらを書いているような大手やUAWを救う必要など、もうどこにもない」という意見も出てくるのだろう。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー