【更新】働けど働けど……収入と税金の変化をグラフ化してみる

2009/04/19 15:55

総務省統計局のデータの一つ【2008年の家計調査報告(家計収支編)】から世の中のお金の流れ・動きを感じ取れるようなデータを見つけ、グラフ化してみる企画記事。今回は平均的世帯における、一か月あたりの「実収入」と「税金や社会保険料」の推移をグラフ化する。「手取りは増えているはずなのに生活がちっとも楽にならない……」という雰囲気が再認識できるはずだ。

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今件データは勤労者世帯の平均値を算出したもの。平均世帯人員は2.82人・世帯主平均年齢は45.5歳(2008年データ、以下同)。また、実収入は1年に得た各種収入(世帯主と配偶者収入)の合計を12で割った、つまり一か月の平均値なので、ボーナスなどは月単位で分散加算されている。また宝くじや保険金、退職金などの特殊事情による収入は除外してある。さらに「実収入」は「非消費支出(税金や社会保険料)」と「可処分所得」(自由に使えるお金)に分けられる。

まずは実収入と、非消費支出・可処分所得の推移を見ることにする。

実収入と、非消費支出・可処分所得の推移
実収入と、非消費支出・可処分所得の推移

2000年以降減り続けた実収入だが、2004年-2005年を底値にようやく上昇の兆しが見えている。しかし実際に自由に使えるお金「可処分所得」は2000年と比べて3万円近く減ったまま、ほぼ横ばい。その理由として、実収入と同じように減少を続けた「非消費支出」が2005年あたりから急速に増え、実収入の増加分をほとんど食いつぶしているからなのが分かるはず。

これがよりはっきりと分かるのが次のグラフ。「実収入」に占める「非消費支出」こと税金や社会保険料の割合の変化を示したものだが、実収入が減少を続けた2004年-2005年までが横ばいだったのに対し、2006年から急激に割合を増やしているのが確認できる。

実収入に占める直接税や社会保険料の割合
実収入に占める直接税や社会保険料の割合

実収入に占める直接税や社会保険料の割合(直接税と社会保険料別々に算出)
実収入に占める直接税や社会保険料の割合(直接税と社会保険料別々に算出)

累進課税・上限値の設定などもあり完全な比例関係にはないが、一般的に収入が増えればその分税金や社会保険料も増加する。額が増えても収入に占める割合そのものは一定になるはずなのだが、この数年においては「平均的なモデルの世帯では」公租公課の負担「割合」が増えている。率にして1-2%。この上昇分が、「収入が増えても使えるお金が増えない」という事態を招く一因となっている。

「可処分所得が増えなくても物価が安定していれば同じ水準で生活できるし、物価が下がれば生活は楽になるのでは?」という意見もあるだろう。そこで[消費者物価指数推移(東京都、生鮮食品除く、PDF)]を見ると、2005年までは下落、それ以降は上昇を見せている。一昨年から続いた食料品やエネルギー関係の急騰を考えれば、体感的な物価上昇はそれ以上のものがあるはずだ。

東京都消費者物価指数推移(総合)
東京都消費者物価指数推移(総合)

この2、3年は「収入は増えたが実際に使える金額はほとんど変わらず、物価は上昇を続ける」状態。これではおサイフ勘定が大変になる、というのも当然の話というわけだ。



なぜこの数年でここまで税金や社会保険料の負担が増加したのかについて考えてみたところ、いくつかの可能性を挙げることができた。

・定率減税の廃止
・国から地方への税源移譲における誤差
・年金や社会保険料の全体的な負担増
・地価上昇による固定資産税の増加

定率減税の廃止については【「住民税が2倍に増えた」「自営業者はツラい」の謎を探る(2)……定率減税廃止がかなめ!?】【税源移譲のはざ間で……退職タイミングでは今年は大増税な場合も】で詳しく説明しているが、これが無ければ事実上「税源移譲における増税感はほとんど無かった」。また、年金や社会保険料の負担増は人口構成の変化と共に(収入の増減とは別に)漸増が決まっており、これが負担となっている。

並べ替えると、

・2006年……定率減税半減へ
・2007年……定率減税全廃
・2008年……地価上昇による固定資産税増加(「他の税」項目)
+年金や社会保険料の漸増

などが大きく公租公課の割合の増加、「実収入が増えても使えるお金が増えない」事態に関わっているようだ。

税制の変革時と、減税の撤廃時期が重なり、さらに社会保険関連の負担増、そしてその上土地価格の急騰による固定資産税の負担増、加えて消費財を中心とした物価高。いくら実収入が増えても消費マインド(と可処分所得)が冷え込んだままなのは仕方が無い。

ところで、今年はまだ進行中なのでどのような値が出るのかは分からないが、少なくとも「定額給付金」により、今回の計算上の平均世帯2.82人では、3万3840円/年・2820円/月が可処分所得に上乗せされることになる。これは(2008年の実収入でそのまま計算すると)実収入の約0.5%分。少なくとも税金増加分の半分くらいは取り戻せる形だ。さらに消費者物価も昨年後半以降落ち着き・下落を見せており、同じ金額でも(比較論だが)余裕が持てる状況になりつつある。地下の下落も固定資産税の減少につながる。

果たして今年はどのような数字を見せるのか。注目したいところではある。

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