山火事のようにじわじわと……アメリカの雇用者数推移をグラフ化・アニメGIF化してみる

2009/04/19 12:10

雇用イメージ先日巡回サイトの一つ【ZAR大好きの忘ビロク2-金鉱株で恐慌突破】で興味深い地図が目に留まった。アメリカの雇用者数の推移をビジュアル・インタラクティブ化したもので、雇用の減退がいちどきにではなく、いくつかの地域からじわじわと、それこそ山火事のように広まっていくようすが分かる。2008年12月単独の失業率については【20%超えの地域も! アメリカの失業率現況を図で見てみる】で西海岸や五大湖・工業地域が際立って高いことが確認できたが、時系列で確認できるのは珍しい。今回はこの図を多方面から見ることにした。

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2009年2月、最新データのアメリカ各郡における労働者(職)数。前年同月比でプラスは青・マイナスは赤で表示。円が大きいほどその数字も大きくなることを意味する。
2009年2月、最新データのアメリカ各郡における労働者(職)数。前年同月比でプラスは青・マイナスは赤で表示。円が大きいほどその数字も大きくなることを意味する。

おおもとの記事は【Slate Magazine:When Did Your County's Jobs Disappear?(あなたの地域でどれくらいの職が失われた?)】。アメリカの公務データ【Local Area Unemployment Statistics】を元に、各郡(州のひとつ下の行政区分)別における雇用数推移をインタラクティブ・マップ化したものが掲載されている。対象期間は2007年1月から2009年2月で1か月単位。前年同月比における雇用数の推移を表しており、雇用が増えていれば青・減っていれば赤の円が描かれる。そして円の大きさはそれぞれの絶対値を示す。例えば赤い大きな円なら「前年同月と比べて大きく雇用が失われた(働いている人が減った=雇用機会が失われている)」、青い大きな円なら「雇用が大幅に増加した(働いている人が増えた=雇用機会が増加している)」ことを意味する。

注意して欲しいのは、円の大きさは雇用者「数」を示していること。それぞれの郡に対する労働者・労働希望者に対する割合ではなく、失業率とは直結しない。元々人口・求職者と労働者数が多い地域の場合は、少しの「割合」の減少でも、大規模な「人数」の減少として図に反映される。しかしその場合、「割合」が小さいからといって、多くの職数が失われ、多数の失業者が出ている可能性があることに違いはない。

データは2007年1月からスタートしているが、すでにその時点でアメリカ南西部や五大湖周辺などで、職の減少傾向が見られることが確認できる。元記事のインタランティブ・マップを閲覧できればそちらで確認してほしいが、なにぶんにも非常に処理が重く、端末次第ではエラーが出て止まってしまう可能性があるのでご注意を。

2007年1月時点
2007年1月時点

この時点では前年同月比で職数が増加している(青色の円)郡が圧倒的で、赤色の円はまばらでしかない。しかも地域性があるのが分かる。

くだんの「サブプライム・ローン」問題が表面化し、株価が急落した2007年8月になると、ぱっと見でも青い円の数が減り、赤い円が(大きさこそミニサイズだが)増加している様子が分かる。

2007年8月時点
2007年8月時点

これ以降、青い円の数は急速に減少・サイズも縮小化し、今まで赤円だった地点の円そのものの面積も広がってくる。太平洋岸のカリフォルニア州などは元々人口が多いため円も大きかったが、いつの間にか円が青から赤に変わっていく。

リーマンブラザーズ・ショックの2008年10月にもなると、カリフォルニア州の大きな赤い円や五大湖周辺の密集赤円などにより、多くの地域が赤く染まっている(=前年同月比で職数が減少している)のが確認できる。南部テキサス州や北東部の一部ではいまだに活気を見せているが、それらは今や少数派。

2008年10月時点
2008年10月時点

そして冒頭でも掲載した、直近データの2009年2月。もはやほとんどの地域で赤円だらけとなり、カリフォルニア州では非常に円が大きくなっていることや、五大湖・大西洋岸の北東部からフロリダ州にかけての人口密集地帯ではほぼ赤円で埋め尽くされている(職数が減っている)ことが一目瞭然。

2009年12月時点
2009年12月時点

元記事ではこれらの動きをフラッシュムービーで確認できるのだが、処理が非常に重く環境によってはトラブルを起こす可能性がある。そこでこちらでGIFアニメ化し、さらに各月の前年同月比における職数増減を折れ線グラフ化した。

2007年1月-2009年2月におけるアメリカ各郡の労働者数変移
2007年1月-2009年2月におけるアメリカ各郡の労働者数変移

アメリカ全土の労働者数(職数)変移(前年同月比の値、万人)
アメリカ全土の労働者数(職数)変移(前年同月比の値、万人)

時間の推移と共に連続した形で見ると、雇用の減退が全国に一斉に起きたのではなく、何か所かでの特異点が確認され、それらが少しずつ広がるように拡散していくようすが分かるはずだ。もちろん実際に雇用の減退が「感染」していくわけではないのだが、それぞれの企業は少なからぬ横の関係を持つことから「A社の経営が悪化して雇用数を減少」「A社と取引をしているB社も、A社の斜陽化を受けて業績悪化。雇用数減少で対応」という形で連鎖反応を示す可能性はある。何より、景気全体の悪化に対する耐久度の違いが地域特性(≒その地域に多い産業)、そして雇用減少のタイミングの差として現れるのだろう。

また、【20%超えの地域も! アメリカの失業率現況を図で見てみる】でも示したように、住宅バブルだった場所や工業地帯では早くから雇用数減少の傾向が見られることが分かる。工業地域については技術革新や作業の効率化、さらには行程そのものの海外への移行など多要因が考えられ、単純に「雇用数減少」=「全体の景気悪化」と断じることは難しいものの、その地域にとってはマイナスであることに違いはない。

この地図で再び青い円が多数派を占め、ぱっと見で青っぽく見えるようになるまでに、どれくらいの時間が必要となるだろうか。今はまだ、見当もつかない。

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