公務員と民間職員などの実収入の動きをグラフ化してみる

2009/04/17 04:50

先日仕事の関係でチェックを入れた際に見つけた【2008年の家計調査報告(家計収支編)】のデータをいくつかチェックする特集第二回。今回は、世間一般に言われている「公務員の給与は安定していて高い」という話が本当なのかどうか、一つのデータを示し、見てみることにする。具体的には「表II-4-1」にある「主な世帯主の職業別家計収支の推移」だ。

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このデータには「実収入」「可処分所得」「消費支出」「平均消費性向」に分けて、2001年から2008年にかけてのデータが記載されている。とはいえ、具体的な金額が載っているのは2008年分だけで、あとは前年実質増減率だけ。もっとも2008年の値が分かれば、あとは逆算すれば良いだけの話。

ちなみに各用語について説明しておくと、

・(実)収入……世帯主の収入(月収+ボーナス臨時収入)+配偶者収入など
・支出……消費支出(世帯を維持していくために必要な支出)
     +非消費支出(税金・社会保険料など)
     +黒字分(投資や貯金など)
※可処分所得=「収入」-「非消費支出」

・労務作業者……工場作業員など
・民間職員……会社員。いわゆる「ホワイトカラー」
・官公職員……地方・国家公務員
・無職……職についていない人、年金生活者含む

となる。「実収入」が特定できればあとの「可処分所得」「消費支出」「平均消費性向」は大体同じような動きを見せるので、今回は「実収入」のみでグラフを作ることにする。

また「実収入」はボーナスも含めた年収を12か月で割ったものなので、単純な月収とは異なることに注意する必要がある。

それではまず、4職種ごとの実収入における前年比。

世帯主の職業別家計収支推移(前年実質増減率)
世帯主の職業別家計収支推移(前年実質増減率)

ここ数年、労務作業者の実収入は増加を見せているが、民間職員は厳しい状態にあるのが分かる。また公務員は確かに(世間一般で非難されているように)2008年においてもっとも高い伸び率を見せているものの、今世紀に限定して見ても大きな変動率を繰り返していて、今年はたまたまだったかのように見える。

しかしこれらはあくまでも変動率。絶対額の推移をグラフ化すると次のようになる。

世帯主の職業別家計収支推移(実質額)
世帯主の職業別家計収支推移(実質額)※月当たり

多少の変化率などどこかにぶっ飛んでしまうほど、官公職員の実収入が高いことが分かる。冒頭でも触れたようにこの額は、通常の給与以外に手当てやボーナスなどの収入も全部あわせて単純に12か月分で割った月収入。各種手当てやボーナスの高さが、官公職員の実収入を押し上げているものと思われる。

官公職員だから税金が高い・安いということはないので、当然可処分所得も官公職員の方が多い。公務員ならではの支出もあるのだろうが、それでも金銭的な余裕があることは容易に想像できる。



「公務員は公務員試験をパスした人でないとなれないのだから高給で当然」「国や地方のために働いているだから、それなりの報酬を受ける権利はある」という意見は一理ある。またそれとは逆に「民間企業と同様、赤字体質である以上、給与はともかく賞与は支払われるべきではない」「民間とあまりにもかけ離れている」「手当てがあまりにもお手盛り過ぎる」という意見もある。どちらの意見に分があるかは、状況によって千差万別で、一概に「高い安い」を断じることは出来ない。

お役所イメージただし少なくとも平均的な値として、民間と公務員との間には、これだけ実収入に差が出ていることは知っておいても損は無いだろう。また、欧米でも公務員へのお手盛り給与に対して非難の声が高まっていること、アメリカではボランティアという形での半公務員的な方面での景気刺激策・公務員部門の雇用における景気回復の素早さなどが注目を集めていることも頭に入れておくと良いかもしれない。

……景気が悪い中でも公務員の手取りが増え、皆がそれをうらやましがるなど、まるで社会主義国家の様相を呈しているあたり、まことに皮肉な話ではあるのだが。


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