携帯電話の躍進ぶりが目立つ、着うたフルの高単価がポイント…有料音楽配信の売上額・件数実績動向(2009年発表)

2009/04/13 07:15

先に【「着メロ」「着うた」などの有料音楽配信販売数と売上をグラフ化してみる】【「着うた」などの有料音楽配信売上をグラフ化してみる】などで、2009年4月3日に日本レコード協会が発表したレポート【日本のレコード産業2009】などを元に、ケータイ向け「着うた」やパソコン向けの音楽など、いわゆる有料音楽配信の売上やダウンロード実績などを個別にグラフ化した。今回はそのまとめとして、有料音楽配信のダウンロード件数や売上を総括したものをグラフ化し、傾向を見ることにした。

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有料音楽配信のデータは、種類別のダウンロード実績が「日本のレコード産業2009」に掲載されているが、売上は全体を総括したものしかない。そこでレコード協会が定期的にデータを更新している【データ公開ページ】から逐次抽出することにした。残念ながら売上は細分化されたものが2006年以降しか用意されていないのでグラフも2006年から2008年のものになるが、傾向は確認できるはず。

まずは各種用語について。

・横軸における「1Q」「2Q」の「Q」とは四半期を意味し、例えば「1Q」ならば第1四半期、つまり1月から3月を表す。
・Ringtunes……モバイルにおける「着うた」
・Ringback tunes……モバイルの「呼び出し音」(メロディーコールなど)
・シングルトラック……モバイルの場合は「着うたフル」を意味する。

それではダウンロード回数について。

有料音楽配信ダウンロード数実績・コンテンツ別推移(万回)。アルバムは「1アルバム=1回」で、アルバム内の曲数分だけカウント、というわけではない。
有料音楽配信ダウンロード数実績・コンテンツ別推移(万回)。アルバムは「1アルバム=1回」で、アルバム内の曲数分だけカウント、というわけではない。

先の【「着メロ」「着うた」などの有料音楽配信販売数と売上をグラフ化してみる】でお伝えしているように、パソコン向けとモバイル向けとでは言葉通り「ケタ違い」に市場規模に違いがあり、それがダウンロード回数にも大きく反映されている。インターネット向けシングルトラックもじわじわと件数を増やしているが、モバイル各種にははるかに及ばない。

そしてそのモバイルにおいても、「着うた」は2007年から減少傾向を見せ、一方で「着うたフル」や「呼び出し音」は急成長を続けているのが分かる。これも先の記事にて触れているが、「着うた」の利用者がそのまま「着うたフル」「呼び出し音」などに移行しており、モバイルにおけるダウンロード件数の合計は2007年以降横ばいを続けている。

一方、売上額をグラフ化したのがこちら。繰り返しになるが、細分化した区分は2006年以降のデータのみなので、グラフも2006年以降のものしか生成されていない。ただし上記グラフと比較するために、時間軸はあえて2005年から設けてある。

有料音楽配信売上実績・コンテンツ別推移(億円)
有料音楽配信売上実績・コンテンツ別推移(億円)

ダウンロード数が増えれば売上も上がり、数が減れば売上も落ちる。これはごく当たり前の話なのだが、他の項目のグラフと比べて、シングルトラック(モバイル)、すなわち「着うたフル」の売上を表す線の上昇率が急であることに気がつくはずだ。

これをあらためて確認するため、Ringback tunes・シングルトラック(モバイル)のみのデータを抽出し、さらに「前年同期比」を計算してグラフ化したのが次の図。売上と件数の増加割合を比較するため、売上のデータが計算できない2006年以降のデータは省く。

Ringback Tunesの前年同期比(件数・売り上げ)
Ringback Tunesの前年同期比(件数・売り上げ)

シングルトラック(モバイル)の前年同期比(件数・売り上げ)
シングルトラック(モバイル)の前年同期比(件数・売り上げ)

Ringback Tunesにおいては件数・売上の増加割合が平行線をたどっているのに対し、シングルトラック(モバイル)では2007年から2008年にかけてクロスが発生し、売上の増加割合が件数の増加割合を上回る現象が発生している。このことからも、シングルトラック(モバイル)のダウンロード数実績の増加傾向以上に、同売上実績が急激に伸びていることが分かる。


元々単価の高い「着うたフル」。
その単価がますます上昇する
傾向が見受けられる。
【「着メロ」「着うた」などの有料音楽配信販売数と売上をグラフ化してみる】では「単価が安い「着うた」の利用件数が減り、それに代わり単価が高い「着うたフル」の利用が増えているから。同じ件数ならば単価が高いものがたくさん売れた方が、売上が上がるのは当然の話」という説明をした。さらに今データを見ると、「シングルトラック(モバイル)」すなわち「着うたフル」自身においても、単価の上昇傾向が見受けられるようだ。

将棋崩しイメージ音質の向上をはじめとするユーザーニーズに答えるための単価アップなら仕方ない。また、携帯電話そのものの機能向上で、音源データ作成にかかる費用も上昇してしまうのも理解できる(もちろん利用者の声に耳を傾ける必要はある)。しかし、単に「着うた」の売上減少が著しいので「その穴埋めのために」とばかりに、言い換えれば「着うた部門の損失補てん」代わりに「着うたフル」の単価を上げているとすれば、利用者数の減少や不法使用者の動機付けにもなってしまう。

「もうちょっと値上げしても大丈夫」「まだ大丈夫、利用者は減らないし売上も落ちないから」とばかりに、「将棋崩し」のごとく値上げを続けていると、いつか臨界点を超えてしまう。そして一度臨界点を超えて流れが変わると、なかなか元には戻し難い。くれぐれもその「臨界点」を超えないよう、注意してほしいものだ。

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