底打ち感さらに続く…2009年3月景気動向指数は3か月連続の上昇、先行きも3か月連続の上昇

2009/04/08 19:50

内閣府は2009年4月8日、2009年3月における景気動向の調査こと「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。それによると、各種DI(景気動向指数)は相変わらず水準の50を割り込んでいる状況には変化はないものの、現状・先行き共に三か月連続しての上昇傾向を見せた。基調判断は相変わらず厳しい表現の「景気の現状は極めて厳しい」ではあるが、同時に「このところ悪化のテンポがより緩やかになっている」という表現が加わっており、先月以上に底打ち観がかいま見れるような状況にあることが分かる(【発表ページ】)。

スポンサードリンク


買い物には依然慎重姿勢が続く消費者。ただし各種政策の心理的効果が見え始めつつある
文中・グラフ中にある調査要件、及びDI値についてはまとめのページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】にて解説している。そちらで確認のこと。

2009年3月分の調査結果は概要的には次の通り。

・現状判断DIは前月比プラス9.0ポイントの28.4。
 →3か月連続上昇。「悪化」判断が減り、「変わらない」が増えた。
 →家計においては購買意欲は慎重で変わらず。新生活関連商品の販売が不振な一方で、高速道路料金の引き下げや定額給付金給付開始などの、心理状態にプラスな影響を及ぼすイベントが数字を押し上げる。企業においては一部で受注の回復傾向も見受けられる。
・先行き判断DIは先月比プラス9.3ポイントの35.8。
 →3か月連続してのプラス。
 →景気や雇用の先行き不安、所得の減少見込みなどは続く。定額給付金、各種特別減税、高速道路料金の値下げに対する期待がプラスに。企業の思惑も在庫調整の進展・受注の回復が一部で期待されていることなどが好判断の予想に。
回復パターンも前回の景気後退期のものを踏襲確認中!?
それでは次に、それぞれの指数について簡単にチェックをしてみよう。まずは現状判断DI。

景気の現状判断DI
景気の現状判断DI

上でも触れているが、畳み掛けるような景気悪化の報道の影響で消費マインドがどん底になった2008年12月と比べると、「底での安心感」(=「これ以上下る事は無い」)、さらには身の回りで生じている状況の改善・今後の期待感などが功を奏し、すべての項目でプラスを見せている。しかも先月が「誤差の範囲でしかない」上昇率だったのに対し、今月では3項目が10ポイント以上、それ以外も軒並みに7ポイント以上の上昇幅を記録している。企業動向関連では軟調といわれている製造業も、大きな伸びを確認できるのが嬉しいところ。

続いて景気の現状判断DIを長期チャートにしたもので確認。

2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)
2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)

「ITバブル崩壊後の不景気時期にあたる2001年-2003年(日経平均株価が7000円台を記録)の時期の水準に近い状態が続いている」とは208年後半以降年末までの傾向。それ以降はそのラインを底抜けし、2008年12月では大底の状態となり、理論値上の下限であるゼロに達しかねない勢いとなった。しかしそれを底と見るかのごとく2009年1月には横ばい、多少の上昇を見せ、昨月2月、そして今月3月ではさらに上向く傾向にある。とりわけ今月の上昇幅は大きく、2002年初頭の上昇期をほうふつさせるものがある。

・加速度的下落傾向は
一時小休止、反転か。
・「雇用と全体の下落逆転」は
いまだに継続中。
・合計のDIは現状でも2002-03年の
不景気時代水準なみに。
→状況は前回不況時より悪化。
ただし値そのものは直近最悪期から
前回不景気時の最悪期までに回復。
注意すべきは繰り返し指摘しているように「前回(2001年-2002年)の急落時には、家計や企業、雇用動向DIにぶれがあったのに対し、今回の下落では一様に、しかも急速に落ち込んでいる」こと。景気状況が世界規模で、互いの項目の関連性云々が反映される以前のスピードで悪化したことを表しているが、これは2007年後半の「サブプライムローンショック」「8.17.ショック」と呼ばれるサブプライムローン問題関連、資源高、さらには「リーマンブラザーズショック」などの連鎖的市場不況がそれぞれのポイントにおける引き金。どの項目がどれほどの影響を与えたのか、どれがどれの引き金になったのかは後に歴史家・経済専門家によって研究されることになるだろうが、ここまで連鎖が続くのも珍しい。

その後の現状の経済状態における認識・状況説明は、先月とほぼ変わらないのでそちらで確認していただくとして。今回の結果で気になるのは、かなりの上昇を見せたことにより、各項目の値が前回不景気時の最悪期の値とほぼ同じ水準まで回復したこと。3か月連続の上昇でようやく前回期の最悪点まで戻ったということは、このまま今後、前回同様の回復基調を見せるとすれば「3か月の下落分だけ今回は前回よりも深い景気後退状況にあった」ということになる。さらに加えるとすれば、その3か月も「ほとんど急降下状態の3か月」だっただけに、傷は極めて深いことがあらためて分かる。

直近の最底値の際には雇用関連の指数が全体指数より下側に大きくクロスして落ち込む傾向」は2008年4月以降継続したままで、今月も同様に進行中。「全体指数以上の雇用指数の増加」も見られず、「回復」の一つのシグナルとなる雇用指数と全体指数の再クロスは、もう少し先の話になりそうだ。

景気の先行き判断DIについても、先月と比べて上昇した。

景気の先行き判断DI
景気の先行き判断DI

「現状」同様に全項目でプラスを見せ、しかもその上昇度は一部項目で「現状」以上のものを見せている。とりわけ「雇用」の値が2ケタ近くまで伸びているのは注目に値する。一方で「飲食」の伸び率が小さいが、これは昨月張り切りすぎたのが要因。

2000年以降の先行き判断DIの推移
2000年以降の先行き判断DIの推移(赤線は当方で付加)

総合先行きDIはすでに昨年後半の時点で、2001年後半時期(前回の不景気時期)における最下方の値に達している。それ以降はやや横ばいかほんの少しだけの上げで推移していたが、2008年10月で大きく底値を突き抜けてしまった。この傾向は「現状判断指数」と変わらない。昨年10月におきた株安や景気の悪化(「リーマンブラザーズ・ショック」)が、いかに大きなインパクトを家計や企業の先行きの心境にも与えたのかが分かる。

今月は現状同様に「この先、これ以上悪くなる事はないだろう」という思惑からか上げている。ただし先月の「これだけひどいのだから、今が底に違いない。そしてこれからは少しずつでも良くなる」という「大底的な観点からの将来への希望」だけでなく、実感として「よさげな雰囲気がちらほらと。これなら先行きは良くなるかも」という意思も関わっている。それが全体値や企業動向においては、同じDI値の上昇でも「現状」<「先行き」の結果をもたらしている。

残念ながら2003年以降よく見受けられるようになった上昇・安定時の傾向「雇用指数が全体指数を大きく上回る」がまだ確認できず、クロス・逆転も起きていない。現状では「今は底からの上昇開始時期」と断定することはできない。ただし先行き指数については、値は前回不景気時点の最悪期をすでに超えており、今後のさらなる上昇も期待できる。

具体的なコメントも雰囲気は多少改善
発表資料には現状の景気判断・先行きの景気判断それぞれについて理由が詳細に語られたデータも記載されている。簡単に、一番身近な家計(現状・全国)に関して事例を挙げてみると、

・客の話によると、定額給付金の使い道は身の回り品の購入という声が聞かれ、やや良く
なる(その他専門店・コーヒー豆)。
・ガソリン価格はやや上昇傾向にあるが、高速道路料金引下げで、走行後の給油客が増え、浮いたお金で外食した等の声が聞かれた(ガソリンスタンド)。
・新生活が始まるに当たって、いつもなら家電等も一式揃えられる客が多いのだが、今年
あるものをできる限り使うという客が多かった(家電量販店)。
・小型の車への乗り換え志向が軽自動車販売の追い風になることを期待したが、春の需要期ながら、自動車関連税制改正前の買い控えにより、受注状況も前年比89%と大きく落とした(乗用車販売店)。
・例年3月は卒業などの行事があり、黒のワンピースやスーツが良く売れるが、今年はほとんど売れず、そのほか高額商品も動いていない。安い商品に動きがあるものの単品である(衣料品専門店)。
・新入学シーズンであり、例年ノートや筆記用具などの動きがあって一番の繁忙期であるが、前年にも増して動きが良くない。新学年向けの参考書や、ガイドの動きも芳しくない。また新学期用品の文具なども動きが良くない(その他専門店・書籍)。
など、消費者が定例イベントに対して冷静に現状を見据え、生活防衛に勤しんでいる一方、景気対策効果が消費者のマインド、さらにはそこから小売業者の売上にもプラスの影響を与え始めていることが分かる。

掲載は略するが企業関連では住宅、資財関係で状況の低迷が続いているものの、一部製造業者では下降傾向が止まり、横ばい、あるいは一部上昇の動きも見えている。一方、チャートの形的に「回復基調」を判断するのにもっとも重要視される「雇用関係」では、「この時期にも関わらず件数は低迷」「優良な企業より採用してくれそうな企業を選択」「派遣の終了、休業日を設ける企業が増加」「自宅待機など採用条件の変更が見受けられる」などの文言が各所に散らばっており、まだまだ状況は厳しいようだ。



金融危機による市況悪化で
景気感は一挙に急降下。
実体経済への傷も深い。
海外の景気後退が災いし
外需中心の企業にも影響は
大きい。
現状は「(期待的)底打ち感」
「回復の兆し」の様相だが
単なるリバウンドの可能性もあり
油断は禁物。
一連の「景気ウォッチャー調査」に関する記事中でも繰り返し指摘しているが、今回の景気悪化が2001年から2003年にわたった「景気悪化」と「その後の回復」パターンを踏襲するのなら、全体の指数の底打ちと前後して「大幅な雇用関係指数の下落・他指数とのかい離(かけはなれること)」現象が見られるはず。2009年3月のデータを見ると、2008年12月分が雇用関係指数の下離れにおける乖離のピークで、今月分は2月以上に底打ち後の反転が1月から継続しているようにも見えるが、12月のデータが「大幅なかい離」と表現するにはまだ足りない感もある。

一方、元々前回の不景気と比べて底値が低く、これ以上の下げは算出方法上難しかったことを考えれば、絶対値的なかい離値としては足りなくとも、心境的には十分だったとの見方もある。だとすれば、(すでに底値は脱しており、)今後もしばらくは横ばい・上昇率の低下を挟みながら、回復基調は続く可能性はある。

ただし今回の景気後退は、前回と比べて外部的要因(海外景気情勢)に振り回される感が大きい。国内で手を打ったとしても、成果が現れるのには時間がかかるだけでなく、それらを台無しにされてしまう可能性もある。さらに底値が前回よりもかなり深かったため、同じペースで回復をしても、DI値が水準の50に戻るまでには前回以上に長い期間を要することが予想される。

さらにここ数か月の上昇が、単なるリバウンドの可能性も否定できない。その場合は前回の不景気のパターンを踏襲していないことになり、予想が一層困難なものとなることだけは間違いない(できればこれはもっともあってほしくない可能性なのだが)。

「今が底かな?」という希望的観測は「現状では」正しいのかもしれない。マインド的には海外的要因は不確かながら、国内的には大手企業の3月末決算を乗り越えた2月・3月あたりが底になる可能性もある(いわゆる「材料出尽くし」)。あとは5月から6月にかけて行われる、3月末決算企業の決算内容の発表と、次期の業績予想が、直近における山場といえよう。それらに備えて引き続き注意深く観察していく必要はあるが、肩の力を少しくらいは抜いてもよさそうだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー