CDレンタル店舗減少の理由分析(再検証版、2009年発表)

2009/04/08 19:40

先に【漸減するレコード・CDレンタル店舗数をグラフ化してみる】で、日本レコード協会が2009年4月3日に発表した【日本のレコード産業2009】のデータを元にレコード・CDレンタル店舗の状況について「CDレンタル店数は減少している」「しかしCDレンタル店の減少が音楽の試聴、短期視聴のニーズの減少を意味するわけではない。便利な手段が続々登場し、そちらにお客を奪われたため、採算が取れなくなった店舗(専門店)が店をたたんでいるだけに過ぎない」と述べた。その後、その記事を読んだ読者の方から同じ日本レコード協会発表の資料を提示され、「もっと別の理由もあるのでは?」という話をうかがうことが出来た。その資料に目を通すと、なるほどその通り。そこで今回は先の記事の補足の意味も含め、資料を元に「レコード・CDレンタル店舗の減少理由を」あらためてまとめてみることにする。

スポンサードリンク


提示された資料とは【CDレンタル店調査 2008年度】。そのものズバリの内容だ。2008年分のデータはサンプル調査方式で1159店舗を対象としている。それによれば2008年におけるCDレンタル店舗の特徴として

1.店舗数の減少
2.店舗の大型化
3.アルバムCDの増加、シングルの減少
4.書籍レンタルの兼業店の増加

などの傾向が見られるという。

店舗数の減少はすでに先の記事で説明した通りなので、他の3点についてチェックしてみることにしよう。次のグラフは1999年以降の1店舗平均の店舗面積及び各コーナー別の面積を示したものだが、すべての項目で増加が見られる。

店舗平均の面積(各コーナー別)
店舗平均の面積(各コーナー別)

特に黄色い「その他」コーナーの伸びが顕著なのが分かる(いわゆる多様化・兼業化)。また、店舗面積の拡大に伴い必然的に行われる品揃えについても、先の記事では「趣味趣向の拡散化でカバーが仕切れなくなりつつある」というニュアンスの表現をしたが、それでも店舗側は在庫を増やし、ニーズに対応すべく努力している様子が分かる。

1店舗あたりの平均在庫数推移
1店舗あたりの平均在庫数推移

特に2002-3年以降はシングルCDそのものの売上急減(≒需要減退)に伴い、在庫をシングルからアルバムにスライドしている傾向が顕著なものとなっている。いまや在庫の大部分(2008年では90.7%)をアルバムCDが担っている状態である。

さらに兼業率を見ると、いずれの分野でも伸びを見せており、「CDレンタル専業」では色々と難しいこと・お客のニーズに対応するため、多種多様なレンタル・中古売買を行う様子が確認できる。

CDレンタルショップの兼業状況(中古CD買取は2002年、コミック・書籍レンタルは2004年からデータ公開)
CDレンタルショップの兼業状況(中古CD買取は2002年、コミック・書籍レンタルは2004年からデータ公開)

元々レンタル期間の「旬」が過ぎたCDを中古のCDとして販売する「リサイクル」のため、中古販売CDの兼業の割合は高かったが、書籍やゲームの販売・レンタルなどにも手を広げ、総合的な「文化メディア会館」的な様相を呈しつつあることが理解できよう。

なお他の分野は成長を見せているものの、ゲームソフト販売は横ばい・やや低迷、中古CD買取は2004年から横ばいの傾向にある。これは、前者はゲームソフト市場そのものが横ばいになっていることやオンライン通販による購入が普及していること、後者は「買ったCDを中古として売りに出すような『CDそのものへの傾注度の低い人』たち」はオンライン・デジタルの楽曲購入に流れてしまい、市場が拡大していないからだと思われる。



ともあれ、先の資料からだけでは単に「レンタルCDショップはオンライン・デジタル販売に押されて規模を縮小しつつある」としか結論付けられなかったが、このように専用のデータを加味して見直すと、「取り巻く環境の変化の中、『大型化・多様化』で最適化を図ろうとしている」様子が見て取る。そしてこの「大型化・多様化」(+淘汰)傾向は【書店もリストラ・集約化が進む? 一年で484店舗減少するも総面積は拡大】【「書店の減り具合」と「書店の売り場面積動向」のグラフ化を仕切り直してみる】にもあるように、書店でもまったく同じように進展していることが分かる。

書店もCDレンタルショップも
大型化・多様化が(分かりやすい)
生き残る道
書籍にしてもCDにしても、そしてゲームにしても、他人の文化的作品を楽しむという観点では何ら変わるところはない。その視点から見ると、インフラとしてのインターネットとデジタル系の商品が普及しつつある今、これらの商材(書籍・CD・ゲーム、そしてDVD)の物理的店舗が生き残るには、繰り返しになるが「文化メディア会館」のような大型・総合店舗化するか、本当の意味での専門特化店になるしか手がないのかもしれない(だからこそ、書店・本屋とCDなどの音楽系メディアの店舗が融合しつつあるわけだ)。

……あるいは紳士服や装飾品のようにコンシュルジェのような立場の人が品揃えを見定めてくれたり、「インターネット喫茶」のように「場の提供」をメインとし、商品の販売をサブ的要素にするという手もある。しかし前者は元々書籍やCDの単価が低いこと、後者は現在無料提供されているもの(立ち読みや試聴は無料)をお金を払ってまでやる人はいないので、難しいといえるよう。


Thanks to 【ripple_zzz氏】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー