着うたフルの伸びが大きいが着うたの減少が気になる…「着メロ」「着うた」など有料音楽配信販売数・売上動向(2009年発表)

2009/04/07 04:15

日本レコード協会は2009年4月3日、「日本のレコード産業2009」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2008年のレコード・音楽産業の概要を網羅した資料で、音楽業界の動向を多方面から検証することができる、現時点では最新かつ綿密な資料といえる。今回はこの資料のデータの中から、「着うた」「着メロ」などをはじめとする、有料音楽配信の売上件数と売上額をやや細密に区分した状態でグラフ化してみることにした。

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【ネット音楽配信はCDの売上減少を支えきれたのか!? 音楽CDなどの売れ行きと有料音楽配信の売上をグラフ化してみる】でも示したように、大きく躍進を遂げている有料音楽配信だが、その大部分は携帯電話に代表されるモバイルが担っている。それではインターネットとモバイルそれぞれにおいて、売上件数と総売上はどのように推移しているのか。まずはインターネット部門の結果をグラフ化したのが次の図。

有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(インターネット、数量は万回、金額は億円)
有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(インターネット、数量は万回、金額は億円)

なお横軸における「1Q」「2Q」の「Q」とは四半期を意味し、例えば「1Q」ならば第1四半期、つまり1月から3月を表す。

グラフを見ると、2005年第2四半期まではほぼ横ばいだった売上件数・額が同年第3四半期から突然動機付き、何度かの踊り場を挟んで大きく躍進を見せている状況が確認できる。
これは先の記事でも説明しているが、2005年8月にアップル社のインターネット音楽配信サービス「iTunes」がスタートし、多くの人が利用し始めたことを起因とする。巨大なコンテンツの供給場登場で、市場が一気に花開いた形だ。

一方モバイルはインターネット以上の興味深い展開を見せている。

有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)
有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)

まずは聞きなれない用語の説明について。

・Ringtunes……着うた
・Ringback tunes……呼び出し音(メロディーコールなど)
・シングルトラック……着うたフル

これを元に、図から見える傾向などを箇条書きにすると次のようになる。

・売上高は堅調に拡大中。ただし総売上件数は2007年第1四半期以降ほぼ横ばいで推移。
・「着うた」は販売件数が漸減しているが、その減少分を「着うたフル」と呼び出し音などが補っている。
・特にシングルトラック(着うたフル)の伸びは大きいが、最近はやや停滞気味。

【着うたフル、中高生は50曲も保存中】にもあるように、「着メロ」「着うた」は横ばいを続け、「着うたフル」は漸増状態にある。その流れが続いていることが、今グラフであらためて証明された形だ。

また、「売上総件数が横ばい」なのに「売上総額が上昇」しているのは、単価が安い「着うた」の利用件数が減り、それに代わり単価が高い「着うたフル」の利用が増えているから。同じ件数ならば単価が高いものがたくさん売れた方が、売上が上がるのは当然の話。



躍進を続けるモバイル向け有料音楽配信サービスの中でも、単なる曲の数節部分だけを再現した「着メロ」「着うた」などの利用機会が減り、曲そのものを楽しめる「着うたフル」、そしてさらには額・件数こそまだまだ少ないものの「音楽ビデオ」が着実に確実に伸びている。携帯電話の性能のこともあり、これまでは「聴きたい曲の一部が使えればいいや」だったのが、今や「全部聴けるのならサービスを利用し、CDは買わなくていいや」になりつつあるのが実状だろう。

携帯電話利用者数は頭打ち。
∴携帯電話利用者でまだ有料音楽を
利用していない層に訴えかける
必要が生じてくる。
少子化や携帯電話の買い替え需要の安定化により、利用者数そのものの伸びが期待できない今、利用件数を2005年や2006年の時期のように伸ばすのは難しい。現在は「単価の安いコンテンツから高いコンテンツへのスライド」が起きているから売上額は上昇を見せているが、じきに臨界点に達し、売上額も頭打ちになる時が来る。

今後はこれまで有料音楽配信サービスをあまり使ってこなかった年齢・性別層への新規開拓が必要になる。例えば中堅層以降の男女、特に女性に気軽に利用してもらえるような工夫が求められることだろう。

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