新規デビュー・再デビュー共に大幅増で500人突破…デビュー歌手数をグラフ化してみる(2009年発表)

2009/04/07 04:05

日本レコード協会は2009年4月3日、「日本のレコード産業2009」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2008年のレコード・音楽産業の概要を網羅した資料で、音楽業界の動向を多方面から検証可能な、素晴らしい資料といえる。今回はこの資料のデータの中から、デビュー歌手数の推移についてグラフ化してみることにした。

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「初音ミク」のようないわゆる『ボーカロイド』(ヤマハが開発した音声合成による歌声生成システム)などなら話は別だが、音楽業界・市場にはコンテンツ(曲)を歌う歌手が欠かせない。歌手一人一人が永遠に次々と新曲を出し続けるわけにもいかず、その一方で毎年多くの歌手予備群がさまざまな困難に立ち向かいながらプロデビューを目指しており、音楽マーケットは常に新陳代謝が起きている。その多くはデビューを果たしてもなかなかメジャーにはなれず、いつの間にか引退したり、あるいは地方巡業などで、さらなる修行と実力の積み重ねを行うことになる。

新陳代謝の活性化は、その業界のすう勢を推し量る一つのバロメーターでもある。それでは音楽業界のデビュー歌手数はどのような推移を見せているのか。今資料では1998年以降において、日本レコード協会の会員社関係に限定された数ではあるが、デビュー・再デビュー数が公開されている。それをグラフ化したのが次の図。

デビュー歌手数
デビュー歌手数

少なくともデータ範囲内ではもっとも少ない値をつけた2001年を境に大きな変化が起き、「デビュー数合計の増加」「再デビュー数の絶対数・全体に占める割合の増加」という二つの傾向が見受けられる。特に後者においては、全デビュー数の2割前後が再デビューという状態が維持されており、これが一種のトレンドであるかのようにも見える(直近2008年では実に1/4近い値を見せている)。

なおこのデータでは、先日いきなり人数が倍増して世間を騒がせた某ユニットのように、複数人数によるグループの場合は1人として勘定している。ソロの割合が減りグループ化している昨今の状況を考えると、昨今における実際の歌手数はさらに増加しているものと思われる。



【「最近ミリオンセラーって減ってない?」の「ミリオンセラー作品数」を仕切り直してみる】など音楽CD関係に言及した記事で繰り返し述べているように、今世紀に入ってから「配信メディアの多角化と購入実行までのハードルの低下」「趣味趣向の多様化」で、購入される音楽が分散化し、ミリオンセラーが生まれ難い状況が生じている。一方で、歌手数が多ければそれだけ多くの曲が世に出回ることになる。

歌手が増えたから曲が増えて視聴者の「好みの曲」が分散化したのか、視聴者の趣味趣向が分散化したのでそれらの市場にマッチすべく歌手が増加しているのか。いわば「卵が先かニワトリが先か」の話になるが、どちらなのかは分からない。あるいは双方が同時進行をしている可能性もある。

デビュー歌手の増加がそのまま市場の拡大につながるのか否か、見極めは難しい。ともあれ、少なくとも音楽業界そのものが前世紀までとは違った環境になりつつあることだけは間違いなさそうだ。

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