集約・大型化の流れか、それとも…漸減するレコード・CDレンタル店舗数動向(2009年発表)

2009/04/06 07:40

日本レコード協会は2009年4月3日、「日本のレコード産業2009」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2008年のレコード産業の概要を網羅した資料で、音楽業界の動向を多彩な面から確認できる、貴重な資料として注目すべきものといえる。今回はこの資料のデータの中から、「レコード・CDレンタル店舗の数」の推移についてグラフ化してみることにした。

スポンサードリンク


レコード・CDレンタル店とはその名の通り、図書館の書籍のようにCDなどを貸し出す店舗のことを指す。現在ではレコードを再生できるプレイヤーを保有している人はほとんどおらず、またレコード媒体での新曲発売も皆無に等しいので、CD・DVDのレンタルとほぼ同意である。

このサービスは1980年にレコードをレンタルするサービスが始まってから、訴訟・和解を経て1984年6月には貸与権が設定(貸しレコード暫定法施行)、合法化。以降、改正著作権法の施行や禁止ルールの改定などを経て、現在に至る。現状では国内アーティストの新譜レンタル禁止期間は3週間、洋楽では1年間が基本ルール(新譜をすぐにレンタルで借りられるようにすると、新譜の売上が落ちるからというのがその理由)。

それでは日本レコード協会が把握している、レコード・CDレンタル店舗数はどのような推移を見せているのか。

レコード・CDレンタル店舗数
レコード・CDレンタル店舗数

計測が始まった1980年(要はサービスが開始された年)には2ケタ台しかなかった店舗もそのサービスの(当時としては)斬新性から急速に規模を拡大。1984年に訴訟が和解し合法化されてからさらに躍進。1989年にはピークに達した。しかし1990年以降は新譜のレンタル禁止期間が設けられたのに伴い、じわじわと規模を縮小しつつあるというのが現状。

レコード・CDレンタル店舗は音楽市場の裾野を広げる可能性があるため、一見すると市場規模そのものの変化への一要因とも考えられる。しかしレコード・CDレンタル店舗利用者の大部分はもっと便利な代替方法が用意されており、むしろその代替方法に移行しただけで、「音楽市場の変化」にはさほど影響を及ぼしていないというのが実状だろう。具体的には、

・趣味趣向の拡散化……大ヒット曲が少なくなり多数の曲がそこそこ売れるようになったため、レンタル店としての品揃えが大変になる&単品単位での貸し出し頻度が減り(単体回転率の低下)、採算性が低下した
・試聴スタイルの変化……CD販売店やオンラインでも試聴できる機会が増えたため、レンタルして試聴する必要性は減った
・「短期視聴」媒体の登場……「レンタルで借りている時期だけ聴ければ良い」という短期試聴派(言い換えれば「お気軽視聴派」)にもフィットする、パソコンやケータイによる配信の普及
・オンラインレンタルシステムの普及……ツタヤDISCASやぽすれん、楽天レンタルなど大手が続々参入

などがあげられる。

「CDレンタル店の減少」が「音楽の試聴、短期視聴のニーズが減っている」ことを意味するわけではない。もっと便利な手段が続々登場し、そちらにお客を奪われたため、採算が取れなくなった店舗(専門店)が店をたたんでいるだけに過ぎない。例えばデータをクリアしたらそれでお終いの「着うたフル」などが活況なのは周知の事実であるし、「貸し出し中」で地団駄を踏んだりわざわざお店まで足を運ぶことなく自宅に借りたいCDやDVDが送られてくる「オンラインDVD・CDレンタル」は非常に便利なことこの上ない。最大手のツタヤDISCASは「有効」会員数が50万人を突破するなど([発表リリース、PDF])、成長の一途をたどっている。

音楽CDの売上が減少しても、有料音楽配信の売上がそれをサポートするかのように躍進しているのと同じで、CDレンタル店の減少は、利用者が使う手段が変化し「お客の移動」が生じているに過ぎない。「CDレンタル店が減っているから音楽業界そのものも縮小している」という結論に至るのは少々性急に過ぎるところがあるだろう。

※別資料を提示し、「その他の可能性」(単なる縮小ではなく、集約・大型化という書店と似たような流れ)を指摘した方がおられました。検証の上、後日あらためて記事にします。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー