ネット音楽配信はCDの売上減少を支えきれたのか? 音楽CD・有料音楽配信の売上動向(2009年発表)

2009/04/06 07:35

日本レコード協会は2009年4月3日、「日本のレコード産業2009」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2008年のレコード産業の概要を網羅した資料で、音楽業界の動向を多彩な面から確認できる、貴重な資料として注目すべきものといえる。今回はこの資料中のデータを元に、以前【音楽CDの売れ行き推移をグラフ化してみる】などでデータが欠けて完全なグラフが作れなかった、「音楽ソフトと有料音楽配信の売上推移」の最新データ(2008年分を反映させたもの)などをグラフ化してみることにする。

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まずは一番気になる「有料音楽配信」の2008年における結果だが、金額としては905億円、前年比で+20%の伸びを示した。データの公開を始めた2005年から今回の2008年目で4年目となるが、伸び率はやや縮小したものの、確実な成長を続けている。

さてこれを、音楽ソフト(CDなどの音楽レコード媒体にDVDなどの音楽ビデオを加えたもの)と有料音楽配信(ケータイとパソコンなど)の双方を合算した売上推移について見てみたのが次のグラフ。後者は2005年以降分しかデータが公開されていない(本格的に普及し始めたのがこの年からだから)ので、2005年から2008年までのデータを用いている。

音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移
音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移

2007年までは「音楽ソフトの売上減を有料音楽配信がカバーして余るほどだった」、言い換えれば「音楽業界そのものの売上は成長を続けており、CDなどの音楽ソフトの売上減は有料音楽配信にそのシェアを食われているからだ」と説明することができた。

ところが2008年に至り、有料音楽配信の成長は続いているものの、それ以上に音楽ソフトの売上減が急速に進んでおり、市場全体の売上も落ち込む結果となってしまった。市場全体の飽和感、景気後退による買い控えなど複数の要因が考えられるが、このデータからだけでは確定付けることは難しい。ただし、音楽ソフトの中でも俗に言う「音楽ビデオ(DVDなど)」は前年比で+13%の伸びを見せている。メディア移行期における変移である可能性は高い。

「メディア移行期における変移」。これをある程度裏付けるのが次のグラフ。上記のグラフを1990年までさかのぼって再構築したもの。

音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(1990年-)
音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(1990年-)

有料音楽配信のデータは2005年からなのでそれまでは音楽ソフトのみだが、2004年以前は有料音楽配信そのものが無きに等しい状態だったので、グラフ形成上問題は無い。【「最近ミリオンセラーって減ってない?」の「ミリオンセラー作品数」を仕切り直してみる】など過去のCD売上に関するいくつかの記事でも述べているが、1990年代後半に音楽業界はピークを迎えており、それ以降は売上の面で漸減する傾向にあった。そこに有料音楽配信という新たな販売手段が現れ、音楽業界に救いの手を差し伸べた形になっているのがひとめで分かる。



音楽ビデオの伸びは別にして、音楽ソフト(特にCD)の売上減少は著しいものがある。本文で「メディア移行期における変移」と表記したが、売上データの推移を見る限り、「音楽CD」から、「聴くだけならばiPodや携帯電話などによるデジタルメディアへ」「PV(プロモーションビデオ)のようなビジュアル付の音楽を楽しむならば音楽DVDへ」と二極化する傾向がある。

現在は移行先メディアへの乗り換えがやや遅延しているため、一時的に市場全体が縮小しているように見えるものの、もう数年経てば音楽CDの減少分を音楽DVDと有料音楽配信が補完する状況が完成することだろう。ただし、少子化などによる「人口レベルでの市場縮小」は避けることが出来ない。【CDシングル・アルバムの購入枚数をグラフ化してみる】【着うたフル、中高生は50曲も保存中】などでも分かるように、購入枚数が少なめな中堅-高齢者にも受け入れられるようなマーケティングが業界には求められるだろう。

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