貯金箱が豚の形をしているのはなぜだろう
2009/04/04 10:55

先に
【あらためて 心にしみる 不況かな・「不況だな」と感じるときランキング】でカットにも用いたのだが、先日近所の100円均一ショップで「豚の貯金箱」を購入した。テラコッタ(素焼きの焼き物)製のものでサイズは10センチ四方。よくある貯金箱のイメージと違って下腹部にフタが備えられており、お金が貯まっても割ることなく何度でも使えるもの。なかなかに見栄えがよく、早速愛用している。店頭にはずらりと2ダースほどの、この「豚の貯金箱」が並べられていたのだが、ふとした疑問が沸き起こった。「
何で貯金箱は『豚』なんだ!?」。

思い返してみれば、「貯金箱を割って貯めていたお金を取り出す」というシーンでは必ずといって良いほど「豚の貯金箱」が登場する。また、「蓄財」「貯金」のイメージとしても「豚の貯金箱」は多用される。日本では「招き猫」の印象も深く、猫の貯金箱もよく見かけるが、欧米、特にヨーロッパ地域でも「豚の貯金箱」の登場頻度は高い。チェックを入れているイギリスのオンライン誌
【Times Online】や
【Daily Mail】、
【Metro.co.uk】では、「豚の貯金箱」を見ない週はないくらいだ。どうやら日本が発祥の地、というわけではないらしい。
【検索をすると答えはほどなく見つかった】。
【龍谷大学新聞】や
【Wikipedia】などにもあるように、

・昔ヨーロッパではお皿や食器は、
Pyggというオレンジ色の粘土を材料とする陶器で作る場合が多かった。そして貯金箱も「Pygg bank」と呼ばれる壷(つぼ)にコインをためるスタイルで用いられていた(イラストなどにもよくある、「壷一杯の金貨」がそれだ)。特にイギリスではその風習が浸透していたのだが、19世紀頃に「Pygg」を「Pig」と聞き違いした陶器職人が「Pig bank(豚の貯金箱)」を作ったところ大きな評判となり、これが世間に広まった。
・「Pygg」製の壷は塩の貯蔵にも使われていた。これが貯金箱にも使われるようになり、「Pygg」の言葉そのものも18世紀には「Piggy」に変わり、「Pig bank」となった。
・15世紀にはインドネシアでイノシシを意味するcelengに、彫像の「an」を加えたcelenganが国内の銀行を意味する言葉として使われ、それが貯金箱の由来となった(実際15世紀前後製の豚の貯金箱がインドネシアの国立博物館には収められている)。
など、諸説入り混じっているというのが実状。簡単にまとめると「貯金箱の材料の呼び名が勘違いされた」「壷の材料の呼び方が変わって名づけられた」「銀行の俗称が転じた」など、いくつかの説がある。ヨーロッパ、特にイギリスで「豚の貯金箱」の画像がよく用いられているのもこれで納得できる。また、由来の一つとして場所や時期とは別に説明されていた
飼育されている豚は人間が食べ残した食品をエサに育ち、最終的に豊かな食材(豚肉)を人間に提供してくれる。その育つ有様が「普段の消費の中で余った小銭を貯め、満杯になると大きな金額になる」という貯金箱の使い道にぴったりなので、豚の形が貯金箱に使われるようになった。
という解説(英語版Wikipedia:「豚の貯金箱」から)には「なるほど」とうなづかざるを得なくなる。

ちなみに金貨・プラチナなどの貴金属を取り扱う
【田中貴金属】では、金(ゴールド)をイメージした「キントン」(金+豚)と、プラチナをイメージした「プラトン」(プラチナ+豚)がキャラクタとしてあちこちに登場している。「キントン」はともかく「プラトン」は良く考えたものだ、と思わず笑いをこぼしてしまうものだ。
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