現在の世相を現すキーワード「平和」「不安」に「活気が足りない」

2009/04/02 07:45

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内閣府は2009年3月31日、社会意識に関する調査結果を発表した。それによると日本の現状に対する認識として、明るいイメージとしては「平和である」が多数を占めているものの、暗いイメージとして個人主義的な「無責任の風潮が強い」「自分本位である」を多くの人が答えていることが明らかになった。また最近の傾向として、「ゆとりがない」「不安なこと、いらいらすることが多い」「活気が無い」の回答率が急激に増えており、経済的な要因を起因とする閉塞感を想像させる結果となっている(【発表リリース】)。


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今調査は2009年1月22日から2月8日まで、層化2段無作為抽出法で選ばれた全国20歳以上の人1万人を対象に調査員による個別面接聴取で行われたもので、有効回答数は5890人。男女比は2746対3144。年齢階層比としては30代-60代はほぼ同数だが、70歳以上がやや少なめ、20代は他の年齢層と比べて約半分の回答数となっている。

現在の世相をひとことで表現した場合、どのような言葉が当てはまるか。明るいイメージ・暗いイメージそれぞれについて尋ねたところ、明るいイメージでは「平和」、暗いイメージでは「無責任の風潮が強い」がもっとも多かった。

現在の世相・明るいイメージ
現在の世相・明るいイメージ

現在の世相・暗いイメージ
現在の世相・暗いイメージ

全般的には「明るいイメージ」への意見が少なく、「暗いイメージ」への意見が多い。また、前者では「安定している」が数を減らす一方、後者では「ゆとりがない」「活気がない」「暗い」などが大きく数字をこの1年で伸ばしているのが分かる。昨今の景気後退とそれに伴う社会情勢の変化をそのまま表しているかのようだ。

これを直近9年間にかけて変化を見ると、また別の見方も出来る。

現在の世相・明るいイメージ(9年間の推移・上位のみ)
現在の世相・明るいイメージ(9年間の推移・上位のみ)

現在の世相・暗いイメージ(9年間の推移・上位のみ)
現在の世相・暗いイメージ(9年間の推移・上位のみ)

元々ポジティブなイメージは得票数が少ないのだが、他の項目が微増しているのに対し「安定している」項目が2007年頃をピークに減少しているのが確認できる。一方ネガティブなイメージは逆に元より得票数が高いのだが、やはり2007年以降「ゆとりがない」「不安なこと、いらいらすることが多い」「活気が無い」の……で大きく値を増やしていることが分かる。数字そのものではトップを連ねる「無責任の風潮が強い」「自分本位である」という個人主義的な発想は2007年をピークに減少する傾向を見せている。

このようにしてみると、世相に対するマインドとしては2006年から2007年に大きな転換点があったように見受けられる。それが何を起因とするのかは、今調査からだけでは判断することは出来ないが、景気の後退局面が2007年夏の「サブプライムローン問題に代表される、金融(工学)危機の露呈からスタートした」ことを考えると、これも原因の一つには違いないものと思われる。また、【民放連曰く「諸君らが愛してくれたテレビの広告費は減った。何故だ!?」】などにもあるように、一般メディアの立ち位置の変化、インターネットの普及の本格化もちょうどこの時期に合致しており、複数要因が化学反応を起こすかのように影響を与えた結果、といえなくもないだろう。


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