株券電子化で始まる「配当金振込みサービス」などを確認してみる……(下)各方式のメリット・デメリット各方式の確認

2009/03/28 18:05

配当の計算イメージ上場企業の株券電子化により各証券会社でスタートした「配当金口座振込みサービス」など、配当金受領方式に関する解説記事の下編。上編では4方式、すなわち「配当金受領証方式」「個別銘柄指定方式」「株式数比例配分方式」「登録配当金受領口座方式」それぞれについて概要を説明したわけだが、今編ではそれぞれのメリット・デメリットを簡単にまとめてみることにする。

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「配当金受領証方式」「個別銘柄指定方式」「株式数比例配分方式」「登録配当金受領口座方式」4方式について、その概要とメリット・デメリットをまとめたのが次の表。

「配当金受領証方式」「個別銘柄指定方式」「株式数比例配分方式」「登録配当金受領口座方式」4方式のまとめ
「配当金受領証方式」「個別銘柄指定方式」「株式数比例配分方式」「登録配当金受領口座方式」4方式のまとめ

ざっとチェックを入れていくことにしよう。まずは「個別銘柄指定方式」。銘柄単位(&証券会社単位)で配当金の受け取りを指定できるのがメリット。例えばA社の配当は積み立て用の「いろは銀行」、B社の配当は生活費の充当にあてるので「ほへと銀行」、と振り分けることが出来る。長期保有&一定額以上の配当を得られる人向け。短期で株式を売買する人は申込みが煩雑になるので向かない。

「配当金受領証方式」。手元に直接小為替などが届くので、ダイレクトに「配当受領」の体感が味わえる。ただし受け取るたびに金融機関で換金が必要になるし、額によっては身分証明書の提示も求められる。先の記事でも触れたように、郵便局では換金できないタイプのもので送ってくる企業もあるので、面倒くささは4方式の中では一番。

「登録配当金受領口座方式」。換金の手続きが要らず、配当金がどんどん金融機関の口座に積み増しされることになる。「個別銘柄指定方式」のように、個別の振り分けは出来ないが、株式を買い換えても登録し直さなくて済むのが便利。配当は再投資に回さない人には最適。逆に、一部なり全部を再投資に回す人には、入金手続きをしなければならないので、その分不便となる。

最後に「登録配当金受領口座方式」。配当がそのまま証券口座に反映されるので、「配当は再投資」を決め込んでいる人にはベスト。逆に、一部・あるいは全額を再投資せず純粋に貯蓄・消費に回したい人にはやや面倒。

申告分離課税と損益通算
そして少々面倒で、同時にメリットでもあるのが、税金の問題。原則として配当金は「配当所得」として総合課税の対象となるが、2009年1月1日以降に支払いを受けた上場企業株式の配当(大口株主のものを除く)については、総合課税以外に「15%+地方税5%」の申告分離課税を選択できる。

詳しくは【再確認:証券税制はどう変わる?】【上場株式等の配当所得に係る申告分離課税制度(国税庁)】で解説しているが、非常にざっくばらんにまとめると、

総合課税を選択……配当を他の所得とあわせて所得税の計算をする
申告分離課税を選択……株式の売却損益と配当を合わせて計算する。言い換えれば「株式の売買で損をしていれば、それと配当の益を合わせて計算することで、配当にかかる税金を少なく出来る」

というもの。つまり申告分離課税を選択した場合、配当受領額が合計で年間10万円だったとしても、その年に(繰越も含めて)売買による損が10万円あれば、配当の分を相殺して「株式の売却・配当による利益はゼロだから、その分にかかる税金はありません」と申告できるわけだ。

他の方式を用いてもこの申告分離課税は可能。ただし確定申告が必要になるし、計算も色々と面倒。ところが一部証券会社では、この「売却損益と配当金を合算する申告分離課税の計算」を、「源泉徴収あり・特定口座」を選択しておくことで(さらに申告分離課税を選択すれば)自動的にやってくれる(正確には口座内で損益通算をする)サービスが2010年から開始される。

配当を一定額以上受け取る人で、「確定申告は面倒だ」「株式運用をしていることは他人に知られたくない」などの理由から「源泉徴収あり・特定口座」を使っている人は、申告分離課税方式を選ぶことでこの方式が活用できることになる。2009年は移行期のため、申告分離課税方式そのものは確定申告の方法として選択できるが、「源泉徴収あり・特定口座」による自動計算サービスが使えないあたり、税制改正の不手際さが否めないが、これはこれで仕方が無い。

大和證券の場合:「年間で株式等の譲渡損失が100万円、配当所得が150万円の場合」を事例に説明
大和證券の場合:「年間で株式等の譲渡損失が100万円、配当所得が150万円の場合」を事例に説明



以上、非常に簡単ではあるが、上場企業株式の電子化に伴う配当金受領方法の選択肢の拡大と、それぞれの概要を解説した。どの方式にも長所・短所があり、どれがベストかは個人個人の投資スタンスや保有銘柄・運用資産、さらには投資関連「以外の」収支なども関係してくるため、一概に判断することはできない。まずは自分の利用している証券会社がどのような方式を利用できるのか、そしてどんな制限があるのかを確認した上で、じっくりと考えて選択しよう。

ちなみに当方(不破)は「株式数比例配分方式」を選択している(SBI証券)。しかし先日某社から3月下旬-4月下旬取扱期間の「配当金領収証」が送付されてきており、まだ切り替えが実施されていないことが確認できる。恐らくは年度の切り替えと共に、口座への直接振り込みが行われるのだろう。振り込み後、どのような形で振込み通達が行われるのか、気になるところではある。

■一連の記事:
【株券電子化で始まる「配当金振込みサービス」などを確認してみる……(上)各方式の確認 】
【株券電子化で始まる「配当金振込みサービス」などを確認してみる……(下)各方式のメリット・デメリット各方式の確認】

■関連記事:
【上場企業の株券電子化、来年1月5日決定】

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