全体で漸減中、学生の減り方が著しい…CDシングル・アルバムの購入枚数動向(2009年発表)

2009/03/20 09:30

日本レコード協会は2009年3月12日、2008年度における音楽メディアのユーザーに対する実態調査の結果を発表した。今リリースにはCDや着信メロディなどに関する多種多様な実態データが掲載されており、昨今の音楽市場をかいまみることができる。今回はそのデータの中から、「過去半年間におけるシングル・アルバムCDの購入枚数」について2003年から2008年までの推移をグラフ化してみることにした(【発表リリース】)。

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今調査は2008年10月に東京30キロ圏内において質問紙による面接留置き自記入式で行ったもので、有効回答数は1200。男女比は1対1、年齢階層は中学生・高校生・大学生・20代-60代まで均等割当。ただし実際の人口構成にはばらつきがあるため、「ウエイトバック」と呼ばれる統計手法で人口構成比にあわせた係数をかけている。

「過去半年間」のCDアルバムの購入枚数
「過去半年間」のCDアルバムの購入枚数

「過去半年間」のCDシングルの購入枚数
「過去半年間」のCDシングルの購入枚数

シングル・アルバムとも2005年がやや特異な形となっている(映画「NANA」まわりやサザンオールスターズの新アルバム、『恋のマイアヒ』、本田美奈子さんの死去など、CDの売れ行きが伸びる要素は山ほど思いつくが)ものの、この6年間においては「シングルは横ばい-微少の減少」「アルバムは漸減」傾向にあることが分かる。この傾向は【音楽CDの売れ行き推移をグラフ化してみる】でお伝えした、販売サイドからのCDの売れ行き状況と一致しており、合点の行く結果といえる。

これをさらに年齢階層・性別に区分したグラフが次の図。やや縦長になってしまい、見づらいかもしれないがご容赦願いたい。まずはアルバム。

「過去半年間」のCDアルバムの購入枚数(性別・年齢階層別)
「過去半年間」のCDアルバムの購入枚数(性別・年齢階層別)

ところどころデータが跳ね出ている部分もあるが、全般的には「男性の方が購入枚数が多い」「50代以降は購入枚数が増加する傾向がある」「若年層は購入枚数が減少する傾向がある。特に2006年以降は減少数が著しい」などが見て取れる。特に男子学生、女子30代における減少傾向は顕著で、この前後に何があったのかを思い返して見ると、「iTunes Music Store」の国内サービス開始が2005年にスタートしたことが挙げられる。また着メロ・着うたの飛躍的な伸びもこの時期とタイミングを同じくしており、CDアルバムの利用者の少なからずがデジタルコンテンツに流れたことが容易に想像できる。

続いてシングル。

「過去半年間」のCDシングルの購入枚数(性別・年齢階層別)
「過去半年間」のCDシングルの購入枚数(性別・年齢階層別)

シングルはアルバム以上にその時その時の流行りすたりに影響されることが多く、結果としてデータの凸凹が大きくなってしまっている。全般的な傾向はつかみにくいが、男子中高生と女子中学生、女子30代に減少傾向が見られるくらいだろうか。あとは平均するとほぼ横ばいだろうか。



これらのデータからわかることは、元資料の別項目で触れられている「携帯電話の着メロ・着うた・着うたフルやデジタル携帯オーディオプレイヤーの利用性向が急激に高まっている若年層、特に学生において、CD、特にCDアルバムの購入を減らす傾向がある」ということ。端的に言い換えれば「学生などの若年層が音楽視聴のツールを、CDからケータイやiPodなどに移行しつつある」ということになる。

CD視聴イメージ言われてみれば「そんなの当たり前ではないか」の一言で片付けられてしまう結論なのだが(笑)、CDの売上と購入者側の購入枚数性向からそれを裏付けたことに意味がある。つまり【音楽CDの売れ行き推移をグラフ化してみる】でも触れているように、「音楽業界全体が不調」なのではなく、現在は「メディアの転換期・多様化傾向を迎えているだけ」であり、「不調なのはCD業界」であることに他ならない。

もちろんCDとデジタル音楽データで採算率などの違いはある。しかし同時にプロモーションのしやすさや販売期間の違い、他のメディアや情報との相乗効果の生み出しやすさを考慮すると「CDの方が粗利益率が高く権威もあるから、やっぱりCDがたくさん売れてくれる方がありがたい。デジタル音楽配信は、音楽業界にとってはCDと比べて忌むべき存在だ」という結論を容易に打ち出すのは早計かと思われるのだが、いかがなものだろうか。

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