もっとも満足されている新聞の記事、社会記事でも政治記事でもなくて……

2009/03/17 07:45

新聞イメージ財団法人新聞通信調査会は2009年3月6日、「メディアに関する全国世論調査」の結果を発表した。それによると、調査母体において新聞記事における満足度が一番高いのは「テレビ・ラジオ欄」であることが明らかになった。もっとも没個性で、他メディアへの窓口として利用される記事が最大の満足度を得られているという、ある意味では新聞の現状を表している、あるいは新聞そのものへの皮肉とも受け止められかねない結果といえる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は2008年12月に住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって選ばれた18歳以上の男女個人3000人に対して専門調査員による訪問留置法で行われたもので、有効回答数は1906人。男女比は47.7対52.3で、男女比は30代以上が10歳ごとにほぼ均等割当、18-19歳と20代はやや少なめとなっている。(18-19歳が44人、20代220人など)。

新聞に掲載されているさまざまな記事を主要カテゴリに分類し、それぞれについて満足度を尋ねたところ、もっとも満足されている(「満足」「やや満足」の合計が一番多い)のは「テレビ・ラジオ欄」で71.4%に達していた。

新聞記事の満足度
新聞記事の満足度

・「素の情報度」が一番高く、他メディアへの窓口でもあるテレビ・ラジオ欄がもっとも満足度も高い
・地域、家庭、文化など、身近な情報への不満が大きい
・国際関係に関する記事への満足度は低く、4割に満たない。社説以下の満足度でしかない。
・広告への反発が大きい。

「テレビ・ラジオ欄」は各新聞社毎の見せ方における工夫の仕方ぐらいしか差異を出すことができず、いわば(株式市場の相場一覧と共に)もっとも没個性的な記事。しかも読者にとっては「新聞の中身そのものが重要」なのではなく、「テレビ・ラジオの視聴」が大事なのであり、「テレビ・ラジオ欄」は「窓口」にしか過ぎない。例えるなら、せっかく鉄道のターミナル駅が新設されたのに、各方面に向けた支線への利用客ばかりが増え、その駅の駅前商店街は閑古鳥が鳴くような状況である。

社会、スポーツ、地域、政治、経済などの記事はそれなりに「まあ満足」の値が多いが、「満足」の割合は多くて10%程度。とりわけ「国際関係に関する記事」は「満足派」が4割にも達せず、5割未満の「経済に関する記事」などと同様に読者の求めに応じ切れていないようすがうかがえる。

一方で地域や家庭、文化・芸術などどちらかといえば読者にとって「身近な情報」に対する不満が大きいのが分かる。地域情報は「満足派」が過半数に達する一方で「やや不満」の値もとりわけ大きく、「文化・芸術」「家庭」では不満派が満足派を超える値を示している。【新聞を 読まない人の その理由 「テレビで十分」 若きはネットも】でも触れているように、紙媒体としての新聞は」「地方・地元情報が豊富」なのがメリットの一つであるのに、読者のニーズにはまだ足りないことが分かる。



総論としては、本来新聞のオリジナリティを主張する、社会や政治、経済、国際関係に関する記事への評価・満足度より、新聞である必要は無いテレビ・ラジオ欄の方が満足度が高い結果が出てしまっている。冒頭でも触れたように、これは「現状の」新聞の存在意義を読者自身も疑問視しているとも受け止められかねない結果ともいえる。

●こんな媒体いかがですか?
・もっとも満足度が高い
「テレビ・ラジオ欄」
・新聞で不満度が最大の
「地域・家庭情報」を
充実させ、それのみの構成
・日刊で1部数十円、
あるいはフリーペーパー方式
・ネットやケータイと
完全連動
例えば「テレビ・ラジオ欄」に「地域や家庭などの身近な情報」をセットした、地域密着型の「日刊情報誌」を1部20円程度・月間500円で提供するような媒体を始めたら、どれくらいのニーズがあるだろうか。地域密着の広告なら(広告主・読者双方の)ニーズも高いから、採算がとれるのなら擬似フリーペーパーにするという手もある。さらにインターネット・携帯電話向けと併用するという手もある。素人の当方(不破)にこのような考えが思い浮かぶほど、今回の調査結果は奥深く、新聞の意義について考えさせられるものがある(週刊レベルなら現在のフリーペーパー、例えば【R25】がこのコンセプトに近い)。

もちろん「読者が満足するものだけを提供するのが新聞の存在意義ではない」という意見も間違いではない。ただし今回の結果が、その崇高な使命を果たせない・今後努力すべきであることを示しているのか、「使命」そのものが明後日の方向を向いていて読者がそれに気がついた結果なのかは、新聞側も読者も考える必要があるだろう。

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