企業の景気対策、役員報酬の減額よりも非正規社員の削減の方が先

2009/03/16 04:25

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景気対策イメージネットリサーチのディムスドライブは2009年3月12日、「景気」に関するアンケート調査の結果を発表した。それによると、勤め先で景気後退の影響が出ていると感じている人において、その勤め先で行われている景気対策でもっとも多い項目は「経費削減」であることが明らかになった。割合にして6割以上の人が経費削減(の強化)を体験している。一方で仕事の量そのものを分け合って雇用をできるだけ維持する「ワークシェアリング」は5%にも満たず、この考えが日本ではまだなじみのない仕組みであることがうかがえる(【発表リリース】)。


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今調査は2009年1月28日から2月11日にかけてインターネット経由で行われ、有効回答数は1万0233人。男女比は50.2対49.8で、年齢階層比は30代33.2%・40代29.9%・50代16.1%など。

調査母体のうち、勤め先で景気後退による影響が「出ている」と回答した4476人に対し、具体的にその勤め先で行われている対策を複数回答式で選択肢の中から選んでもらったところ、約2/3に相当する64.8%の人が「経費削減」と回答した。

景気悪化・不況への対策などで実行していること(複数回答、景気悪化の影響が「出ている」と回答した人)
景気悪化・不況への対策などで実行していること(複数回答、景気悪化の影響が「出ている」と回答した人)

会社にとって景気の悪化による影響が出ることは、すなわち業績の悪化を意味する。これの対策をするには「出るお金を減らすこと」「入るお金を増やすこと」のどちらか、あるいは両方をしなければならない。選択肢をよく見ると、いずれも「出るお金を減らすこと」に関するもので、「入るお金を増やすこと」については選択の余地が無い。前者が「自分の手で行えること」なのに対し後者は「相手次第」なので、確実に行える手として優先的に実施されるものなのだろう。

入るお金を増やすのは相手次第なので
まずは出るお金を減らすことから考える
ともあれ、直接的な「出るお金」を減らすためには経費の削減が最初に行われる。そして次に人件費がカットされるというあんばいのようだ。しかも人件費においてはまずボーナスが減らされ、その次に本給に手がかかることになる。

・ワークシェアリングは
正社員の首切りよりも難しい?
・役員報酬の減額より
契約社員やバイトの解雇が先!?
従業員(正規・非正規を問わず)に関する項目では、やはり最初に「非正規従業員数の削減」が最初に来てしまう。そしてようやく下のほうに「正社員の削減」が見える。正社員の頭数の削減は、企業にとってはほぼ最後の手段に近いという認識のようだ。先に【ワークシェア 心底賛成約1割 渋々ながらは半数に達す】などで紹介した「ワークシェアリング」を実施する企業は4.3%に過ぎず、正社員の削減よりも割合が低いことから、単純な解雇以上に難しい行為のようだ。

気になるのは「役員報酬の減額・カット」の位置。今結果は「行われている場所の割合」でしかないが、従業員の減給や非正規従業員の削減よりも順位が低い。「役員報酬の減額よりも従業員の給与減額、非正規従業員の削減の方が優先順位が高いのか」と一部方面から非難されそうな結果ではある。


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