部下が上司にもっとも強化して欲しい能力、部下の立場から見て一番大切なあのスキル

2009/03/14 18:35

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リーダーと部下イメージNTTデータ経営研究所は2009年3月13日、正社員の「企業での就労」に関する意識調査の結果を発表した。それによると調査母体の中では自分が今勤めている会社の上司については「交渉力・説得力」の強みがあると答えた人がもっとも多く、4割強を数えていた。逆に弱みについては「指導力・育成力」を挙げる人がもっとも多く、こちらは4割近くに達していた。そして「弱み」から「強み」を引いた、上司に強化してほしい能力としても「指導力・育成力」がもっとも高い値を示すという答えが導き出された(【発表リリース】)。


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今調査はインターネット経由で2008年12月24日から26日にかけて行われたもので、有効回答数は1069人。男女比は82.8対17.2で、年齢階層比は20代11.7%・30代37.6%・40代34.1%・50歳以上16.6%。

歳が上、同じ部課の上司や長、経歴の長い人など状況は多種多様だが、正社員ともなれば必ずそこには自分の上司に当たる人が存在する。その上司に色々なことを教えてもらい、仕事に励む過程で、さまざまな「強み」や「弱み」が見えてくるもの。強い意見を述べるのははばかられるが、気持ちとしては上司に対しても短所を少なくし、長所は多く伸ばして欲しいと考えてしまう(それが本当に「強み」「弱み」なのか、経験の少ない部下の立場から見た思い違いなのかは別として)。そこで、現在の上司に対する「弱み」と「強み」をそれぞれ複数回答で答えてもらった上で、「弱み」から「強み」の値を引き、差が大きい順、つまり「弱みと答える人が多く、強みと答える人が少ない、言い換えればもっと改善してほしいと思っている順」でグラフ化したのが次の図。

上司に強化して欲しい能力は
上司に強化して欲しい能力は

直前の記事にある「上司が部下に対して思う、強化して欲しい能力」の計算結果と比べればプラスの項目が少ない。すなわち部下は上司に対し、上司が部下に思うほど「弱み」を持っているとは思われないということになる。言い換えれば上司は上司なりに、職場での先輩として各能力において部下から「優れている」と思われているわけだ。

ところが数少ない、「強み」が「弱み」を下回った、つまり計算結果がプラスで「弱み」が大きい、言い換えれば「もっと改善して欲しい」と上司が部下に思われている項目は「指導力・育成力」と「人間的な器の大きさ」。かみ砕いて言い換えると「この上司ではどうも仕事がよく覚えられない、教え方が下手」「人間として小さいヤツで、ついていくのはちゅうちょしてしまう」ということになる。

部下に「力」を継承していく
上司の立場として最も大切な
「指導力・育成力」、そして
人として頼られるのに必要な
「人間の器」が欠けている、
と部下からは見られている
どんなにタフネスで行動力に優れ、仕事も積極的にてきぱきとこなし、思考力にも長けていて仕事の能力にはまったく問題が無いとしても、人間として尊敬に値せず、部下への指導方法も下手となれば、部下はどのように感じるだろうか。「仕事は優秀だけど、あの人の下で働きたくないよネ」と思われてしまうのが関の山。それを裏付けるかのように、「統率力・リーダーシップ」の項目もマイナス、つまり「強み」が「弱み」を上回ってはいるものの、その値(絶対値)はもっとも小さなものとなっている。

企業が永続経営を目指す以上、人材の継続性は必要不可欠。事業そのものと共に、携わる人材も常に新陳代謝を行い、育成されていかねばならい。たとえ仕事をこなすスキルが高くとも、その力を後の世代に伝えられる継承力が無ければ、その力は短時間しか続かないことになる。部下のためにはもちろんのこと、上司自身のためにも、指導力・育成力を身につける手立て(セミナー・講習会など)を講じることが、企業には急務の課題となるかもしれない。

……一方で「人間的な器の大きさ」は講習などで鍛えられる・教えられるものではない。上司一人一人がそれを自認すると共に、日々気をつけて身につけていくしかないだろう。


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