2010年には回復……!? アメリカの雇用状況予想をチェックしてみる

2009/03/08 09:30

雇用イメージ2009年3月6日にアメリカ労働省が発表した同年2月の雇用統計速報値によると、失業率は前月から0.5ポイント悪化し8.1%に上昇。1983年12月の8.3%以来の悪い値となった。先に【20%超えの地域も! アメリカの失業率現況を図で見てみる】でお伝えしているように、地域による差はあれど、アメリカにおいて失業の嵐が吹き荒れていることに違いはない。しかし格付け機関として名高いムーディーズの予想によると、2010年にはこの状況が改善されるとのこと。そのデータを【USA TODAY】がまとめていたので、今回はそれをさらにチェックし、現状と近い将来について考えてみることにする。

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アメリカ全土の州ごとにおける、2009年第4四半期の前年同期比における雇用者数の予想変移。全州でマイナス。
アメリカ全土の州ごとにおける、2009年第4四半期の前年同期比における雇用者数の予想変移。全州でマイナス。

USA TODAYの該当ページでは、2009年第4四半期における仕事の数(雇用者数)予想と2008年第4四半期との差(右上、2009 forecast change in jobs)、四半期毎の雇用者数の変化(左上、Number of jobs , by quarter)、そして前年同期比における変化(左下、Percent change in jobs from preceding quater)をグラフ・図として表している。ちなみに一番左の「Job sector」は選択することで各種データがそのセクターだけのものとなる。右下は各州毎のデータ。なおこのデータにはフルタイムの他にパートタイムの人も含まれるが、自営業、ボランティア、無償で働いている家族従業員、農家、家事労働者は含まれない。

全州で見ると、やはり西海岸と東海岸、つまりは人口密集地で特に労働者数の減少(≒失業率の増加)が見て取れる。また、下にあるように、労働者数の減少は2009年第4四半期から2010年第1四半期にピークを迎え、その後はゆるやかに上昇を見せ、失業率も低下するであろう……という予想だ。

四半期毎の労働者数推移(左)と前年同期比。数そのものは2009年第4四半期、前年同期比は2009年第1四半期にピークを迎えるという予想。
四半期毎の労働者数推移(左)と前年同期比。数そのものは2009年第4四半期、前年同期比は2009年第1四半期にピークを迎えるという予想。

興味深いのはセクター毎に大きな違いがあること。似たような話はすでに【非農業部門雇用者数データにみるアメリカ経済の現状】でも触れているのだが、教育や医療機関、公的機関の労働者数は大きな減少は見られず、むしろ2009年第4四半期の時点ですでに上昇を見せるだろうとする予想が立てられている。

例えば「金融関連(Financial activities)」の場合、減少は2010年第1四半期ごろまで続くという予想が立てられている。2009年第4四半期の前年同期比もほとんど真紫・-2.1%以下。

金融関連(Financial activities)の動向。しばらくは軟調なまま
金融関連(Financial activities)の動向。しばらくは軟調なまま

ところが例えば「教育医療関係(Education&health service)」になると状況は一変する。2009年の第2四半期までには雇用者数・前年同期比減少のピークをむかえ、あとはしばらく横ばいを見せたのち、急速に状況が改善していく。2009年第4四半期の時点ですでに前年同期比で+2.1%以上の成長を見せている州もあるほど。

教育医療関係(Education&health service)。今年中には山場を迎え、年末には早くも南部や東部で状況の改善が見られる
教育医療関係(Education&health service)。今年中には山場を迎え、年末には早くも南部や東部で状況の改善が見られる。

その他のセクターは各自チェックしてほしいが、2009年第4四半期における前年同期比の地図で大体を判断して区分すると次の通りとなる。

・回復早期
教育&医療(2009年3/4Q)
公務員(-)※1

・回復それなり
農林水産業と工業(2010年2/4Q)
情報(2010年2/4Q)
レジャーと接客(2009年4/4Q)
他種サービス業(2009年4/4Q)
公共企業(2010年2/4Q)

・回復には時間が
建設業界(2010年2/4Q)
金融関係(2010年2/4Q)
製造(2010年2/4Q)
専門職(2010年1/4Q)
不動産業(2010年2/4Q)
運送業など(2010年2/4Q)
卸売業(2010年2/4Q)

補足:カッコ内期間は前年同期比がプラスに転じるタイミング、1/4Qは第1四半期を意味する
※1:公務員は2010年3/4Q以降むしろ減る方向に

特に製造業は回復を果たしてもそのスピードは遅々たるもので、2005年までの水準に戻すには相当な時間を要するものと思われる。2012年第4四半期においても2008年第4四半期程度にまでしか回復しないという予想が立てられているくらいだ。

全体的な数字としては、アメリカの失業率は一時的に10%に達するのではないかとする意見もあるぐらいで、今後の状況がどのように変化するのかは、正直予想が立て難い。金融危機そのものがいまだに現在進行形で、他の業種にも多大な迷惑影響を及ぼし続けているからだ。

名高い機関であるとはいえ、今回のムーディーズの予想も「予想」に過ぎず「予定」ではない。来年の今頃に「去年のムーディーズの予想、ほぼ命中したね」といえるような状況になれば、その先の見通しも明るくなるのだろう。

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