少年エースとコロコロコミックスペシャルが躍進…少年・男性向けコミック誌部数動向(2008年10月-12月)

2009/03/06 05:15

【社団法人日本雑誌協会】は2009年3月2日、2008年10月から12月分の印刷部数を公表した。主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータで、正確さという点では各紙が発表している「公称」部数よりはるかに高い。今回は、読者層を考慮してもっとも興味がそそられるであろう「少年・男性向けコミック誌」のデータをグラフ化し、前回掲載記事からの推移を眺めてみることにする。

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データの取得場所の解説や「印刷証明付部数」などの用語説明は、一連の記事まとめページ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】に収録されている。そちらで確認をしてほしい。

まずは少年向けコミック誌。週刊少年ジャンプがトップにあることに違いは無いが……。

2008年7-9月期と最新データ(10-12月期)による少年向けコミック誌の印刷実績
2008年7-9月期と最新データ(10-12月期)による少年向けコミック誌の印刷実績

「ジャンプ」は直近データで279.3万部。販売実数はこれよりも少なくなるので、250万部前後だろうか。多くの雑誌で誤差範囲内の変化しか見られないように見えるが、「少年エース」と「別冊コロコロコミックスペシャル」が、やや部数を伸ばしているのも確認できる。ただし部数順位に変動が生じるようなレベルではない。

また、前回のデータから月刊コミックブンブン(プレコミックブンブン)が加わり、月刊少年シリウスと月刊マガジンZが脱落した。後者は2009年1月26日号をもって休刊しており、直前のデータが開示されないのもいたし方無い気もする。前者はいまだに定期発刊中であり、データが非開示になった理由は不明。

続いて男性向けコミック誌。こちらも世間一般のイメージ通りの印刷部数展開。

2008年7-9月期と最新データ(10-12月期)による男性向けコミック誌の印刷実績
2008年7-9月期と最新データ(10-12月期)による男性向けコミック誌の印刷実績

こちらも少年向けコミック誌同様、大きな変化はない……と思えるのだが、実はいくつか動きがある。まず、前回の記事で「印刷部数の下げ方も特盛状態」と指摘した「月刊コミック特盛」がデータ非開示となった。公式ページを見る限り、直近号は2008年12月に発売されており、その後音沙汰はない。季刊誌状態とはいえ、データの更新頻度も同じペースなので、データがもれたとは思えないのだが。

その一方、リイド社の三兄弟こと「コミック乱」「コミック乱ツインズ」「コミック乱ツインズ戦国武将列伝」が今回からデータ提示を始めている。「コミック乱」は1995年、「リイドコミックギャラリー」という名前で中高年向けコミック誌として創刊された、比較的歴史の長い雑誌。その後1998年には今の名前に代わり、内容も本格時代劇画誌となり、今に至る。他二誌もそれぞれつい最近創刊されたものではない。データ提示は何かの気まぐれだろうか。中堅層向けの漫画誌「ビッグコミック」シリーズには及ばないものの、それなりに部数をはじき出していることも確認できる。

さて、一応2期間の印刷部数を棒グラフ化したわけだが、続いてこのデータを元に各誌の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化してみることにする。短期間の変移ではむしろこちらのデータの方が重要だろう。

要は約3か月間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すものだ。なお当然ながら、今回データが非開示となった雑誌、今回はじめてデータが公開された雑誌はこのグラフには登場しない。

雑誌印刷実績変化率(少年向けコミック誌)
雑誌印刷実績変化率(少年向けコミック誌)

細かい変化は
・季節特性
・提出データの特性
・各雑誌のメリハリ
による誤差の可能性
前回は夏休みが入ったため「季節特性」を考える必要があったわけだが、今回対象期間に含まれる冬休みはさほど期間は長くないので、むしろ前回の「季節特性」からの反動を考慮しておく必要がある。すなわち「通勤・通学の際に購入されやすいタイプの雑誌の印刷数は、(前回・夏休み中は印刷数を減らされていたので、)前回と比べて増加している(=販売数が増える)」可能性を念頭においておく必要がある。

また、一部の雑誌では特定の記事・対象物・付録によって印刷部数が跳ね上がる場合がある。たまたま特定時期にこの「ビックウェーブ」がくると、突然数字は伸びるし、次期にそれが続かないと「フリーフォール」がおきるわけだ。

これらの可能性を考慮すると、上下5%の変移は「誤差」として考えても差し支えないものと思われる(前回の3%から数字をゆるくした)。グラフ上薄いピンクや緑の棒グラフが「誤差」と見なしてもよい対象だ。

よって今回のデータで気になるのは、プラスは「少年エース」と「別冊コロコロコミックススペシャル」、マイナスは「少年サンデー超(スーパー)」「サンデージェネックス」「ドラゴンエイジ」ということになる。「少年エース」は前回ぶっちぎりでマイナス街道を突っ走っていたので、その反動もあるだろう。「別冊コロコロコミックススペシャル」はいつも通り順調な成長を見せているというところか。一方で「少年サンデー超(スーパー)」はこれまでに二回連続大きなマイナス値を示し続けており、何かと心配せずにはいられない。

続いて男性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(少年向けコミック誌)
雑誌印刷実績変化率(少年向けコミック誌)

「アフタヌーン」がわずかにプラスに転じている以外はすべてマイナス。一誌がデータ提示から脱落し、三誌が参入して今回の「変化率グラフ」には顔を見せていないにしても、少々頭が痛い内容といえる。「ビッグコミックスピリッツ」の飛びぬけたマイナスは、「小学館の週刊ヤングサンデーの休刊に伴い、同誌から約半数の連載漫画が移籍した効果が現れ始めた」前回の大きな伸びの反動の現れであり、実質的には他の雑誌と変わらない程度の減少と思われる。

とはいえ、男性向けコミックがこれだけ一様に下げの数字を見せるのも不思議な感がある。ここで「景気後退によって、主な購入層であるサラリーマンの財布のヒモが堅くなったから」の一言で片付けるのでは、あまりにも芸が無さ過ぎる気がするのだが。



今回参照したデータでは、大勢に変化はなかったものの、いくつかの雑誌がデータを非公開にするなど、状況の変化がかいま見られる。ただし直上で触れているように、男性向けコミックがほぼ全面的に印刷部数を減らしているのが気になった。

前回「次回のデータでも同様の結果を示したら、「季節特性」などでは説明がつかなくなるから」と言及したが、いくつかの雑誌ではその通りの傾向を継続しており、状況的に「まずいのではないかな?」というきな臭さを感じさせるものもある。雑誌の休廃刊の報が相次ぐ中、「前年同期比」のデータに切り替えることが可能となる半年後までに、どれほどの雑誌がデータ提示を継続しているだろうか。むしろ今回の「コミック乱」などのように、新規参入組が続々登場することを望みたいものだが。


■関連記事:
【少年・男性向けコミック誌の部数の変化をグラフ化してみる(2008年7月-9月データ)】
【少年・男性向けコミック誌部数の変化をグラフ化してみる(2008年4月-6月データ)】

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