「ボーナスカット」国から指示されUBS、「ならば」と今度は給与を引き上げ

2009/03/03 05:25

UBSイメージ【NewYorkTimes】などが伝えるところによると、スイスの最大手銀行であるUBSは2009年3月1日までに、投資銀行部門の上級社員に対して臨時に昇進人事を行い、大幅に給料(固定給)を引き上げたことが明らかになった。具体的には1500人ほどいる該当者に対し、2.5倍ほどの引き上げが行われたという。

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UBSはすでにスイス政府から救済策(60億スイスフラン(約5300億円)の公的資金注入、スイス国立銀行がUBSの不良資産を買い取る600億スイスフラン(約5兆3000億円)の基金設立)を受けているが、その代わり(政府救済策を受領する条件)として役員陣は全額ボーナスを返却、その他従業員のボーナスはこれまでよりも低い額に抑えられていた。元記事によれば今回の固定給引き上げは「ボーナス減額の穴埋め」であり、「UBSの給与体系の大規模な変革の一端に過ぎない(The step is part of a bigger overhaul of UBS's compensation system)」と説明されている。

「(結果と比べて)あまりにも多くの報酬を受け取りすぎている」と非難が殺到している(特に公的資金を受けた)銀行関係者に対しては、政府などの指導のもとに給与体系の変更を手がけている。UBSだけでなくクレディ・スイス、モルガン・スタンレーなどは「一定以上の業績をあげない従業員は報酬の一部を返却しなければならない」条項を給与規則に加えている。

今回UBSが行ったとされる固定給引き上げは、具体的な値として17万2000ドルだった額が42万9000ドル(12万ポンドが30万ポンド)が挙げられており、この「昇給」は「以前ボーナスが満額支払われた時よりは少ない」とのこと。また元々銀行員は「固定給が一定で、賃金アップにはボーナスで調整する」という傾向があった。説明によると「だからボーナスは銀行員への報酬の大部分を補っていた」とのこと。

つまり銀行側の思惑としては

・元々銀行員は固定給の昇給があまり認められず、代わりにボーナスで補てんする傾向が強かった。
・しかし公的資金を注入する条件として、ボーナスに大きな制限が加えられた。
・でも従業員への支払いは減らしたくない。
・ならば固定給を思いっきりかさ上げしてしまおう。規制を受けているのはボーナスだから、固定給なら文句は言われまい

という流れのようだ。

そもそも「ボーナスへの制限」が何を意味しているのかが少しでも理解できれば、「ボーナス制限で手取りが減るから、その代わりに固定給引き上げ」などという手段はとらないはず。あくまでもUBS内では「巨額の損失を発生させ公的資金のお世話にならざるを得なかった」主要因を作った担当部門に「責は無い」と考えているようだ。

まるで「不祥事を起こした部局の担当者を昇格させて『より重い責任を与えることでペナルティとする』と胸高らかに発表した」どこかの国の新聞社のようでもある。公的資金の財源となる税金を支払ったスイスの一般市民たちはどのような思いでいるのだろうか。

元記事のNewYorkTimes紙では読者が自由に語れる場を設けており、この報道についても【その場が用意してある】。内容はといえば賛否両論だが、やや「否」の方が多い。中には「熊手でやつらに立ち向かうべきだ」などという過激な意見もある。

ちなみにUBSでは今回の報道に対してコメントを差し控えているという。

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