新聞はほぼマイナス、雑誌も厳しく…マスコミ既存4媒体の業種別広告費動向(2009年発表)

2009/03/03 05:15

[電通(4324)]は2009年2月23日、日本の広告費に関する調査報告書を発表した。それによると、2008年の日本の総広告費は(電通概算で)前年比95.3%の6兆6926億円であることが明らかにされた。景気後退で企業の広告予算も縮小されて、広告の出稿も減少。広告費全体額も減ることになった。今報告書では広告業界に関する多種多様なレポート・データもあわせて掲載されており、業界の動向を知るのにはよい資料となる。今回は2008年におけるマスコミ既存4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)の業種別広告費などをグラフ化してみることにする。それぞれの媒体の広告費、つまりは展開されている広告そのものにどのような傾向があるのか、そして昨年2008年はどの媒体においてどの業種で広告削減が行われたのかがつかめるはずだ(【発表リリース、PDF】)。

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まずは全体像
まずは4媒体全体における、業種別広告費と昨年との比較。

マスコミ既存4媒体の広告費(2008年・億円/右軸は前年比)
マスコミ既存4媒体の広告費(2008年・億円/右軸は前年比)

全体としては「食品」「化粧品・トイレタリー」「交通・レジャー」などの絶対額が多いことが分かる。業績不振で広告出稿減があれほど騒がれている自動車だが、「現時点では」さほど大規模な額ではなくなっていることが分かる(それでも2000億円近いが)。

一方2007年の予算との比較では、「食品」「趣味・スポーツ」が前年比プラスとなったものの、その他は押しなべてマイナス。特に「エネルギー・素材・機械」の76.0%の減少率が目立つ。ちなみに広告費と減少率を掛け合わせて、「減少額」で見ると、トップは「金融・保険」の287億円、ついで「情報・通信」の229億円、「自動車・関連品」の219億円が続いており、2008年において大きく株価を下げ、業績悪化が報じられた業種であることがわかる。

新聞……ほとんどの業種でマイナス
続いて各媒体毎に、業種別広告費の分布と前年比をグラフ化してその傾向を見ることにする。まずは「新聞」。

新聞広告費(2008年、億円)
新聞広告費(2008年、億円)

新聞広告費(2008年、前年比)
新聞広告費(2008年、前年比)

「交通・レジャー」や「流通・小売業」の広告費が多いのはイメージどおり。また「出版」「不動産・住宅設備」の広告費も多い。しかし増減を見ると、前年比でプラスなのはわずかに3項目のみ。比較的広告費そのものが大きい「食品」がプラスなのは幸いだが、「交通・レジャー」だけで(元々の額が大きいため)156億円ものマイナスを受けているのが痛い。

雑誌……専門誌にも不況の影響
続いて「雑誌」。「新聞」同様に紙媒体として苦戦しているのをよく耳にするが……。

雑誌広告費(2008年、億円)
雑誌広告費(2008年、億円)

雑誌広告費(2008年、前年比)
雑誌広告費(2008年、前年比)

雑誌は各業界の「専門誌」でその業界の広告が入ることが多く、必然的に「ファッション・アクセサリー」「化粧品・トイレタリー」の広告費が大きく抜きん出ている。この2業種だけで約1/3の広告費がまかなわれている計算。しかしその「稼ぎ柱」も前年比で1割近い減少を見せている。プラスだったのは1業種のみ。

ラジオ……業種数ではプラスが多いが
次に、4媒体の中では一番規模が小さい「ラジオ」。

ラジオ広告費(2008年、億円)
ラジオ広告費(2008年、億円)

ラジオ広告費(2008年、前年比)
ラジオ広告費(2008年、前年比)

やや「自動車・関連品」「金融・保険」「交通・レジャー」の割合が大きいが、他媒体と比べると比較的バランスのとれた広告費展開が行われているのがわかる。業種別増減だが、4媒体の中では「業種数」では一番前年比プラスが多い。「なんだ、ラジオって結構がんばってるじゃないか」と思うかもしれないが、広告費全体としては-7.3%。つまり、増えている業種は元々絶対額が小さく、減っている業種は広告費が大きかったというが現実のところ。例えば「金融・保険」は-34億円なのに対し、「薬品・医療品」「化粧品・トイレタリー」「ファッション・アクセサリー」「精密機器・事務用品」「家電・AV機器」の増額分を全部足しても10億円。1/3にもならない。

テレビ……額では「化粧品・トイレタリー」が大きな減少
最後に「テレビ」。最大メディアなだけに、額も他のものと比べて桁違い。

テレビ広告費(2008年、億円)
テレビ広告費(2008年、億円)

テレビ広告費(2008年、前年比)
テレビ広告費(2008年、前年比)

「食品」「飲料・し好品」「化粧品・トイレタリー」など流行に敏感な業種、ネームバリューが何より大切な「薬品・医療用品」、そしてイメージ戦略という観点ではテレビが欠かせない「情報・通信」が大きな割合を占めている。かつてうなるほど広告を出稿していた「金融・保険」は「やや大きめ」程度に収まっている。

そして増減幅だが、こちらも「エネルギー・素材・機械」の下げ率がキツい。そして出版不況の言葉を裏付けるかのように「出版」の下げ率も大きなものとなっている。ただし「広告費」と「上下率」を掛け合わせた「増減額」を算出すると、もっとも大きなものは「化粧品・トイレタリー」の141億円マイナス、ついで「不動産・住宅設備」の115億円マイナスという次第。

なお「趣味・スポーツ用品」の業種が大きな伸びを示しているが、これはひとえにオリンピック効果によるものだろう。2009年も同じような伸びを見せるかどうかは、現時点では分からない。



以上既存マスコミ4媒体それぞれについて、広告費の業種別比率や額、2008年における増減率を見てみた。同じマスコミとはいえ、そのメディア毎の特性やこれまでの歴史・経緯などもあり、それぞれ好かれる業種・あまり広告が出稿されない業種があることが分かる。そして2008年の時点において、どのメディアに対してどの業種が広告を増やす・減らす傾向にあったかが把握できたはず。

テレビを楽しむイメージ2009年は2008年以上に景気後退が顕著なものとなり、一部業種をのぞけば経費削減のあおりを受けて広告費の減少が容易に想像できる。それとあわせて既存メディア群への「広告効果への疑念」も、今まで以上に大きくなっているのも否定し得ない。それぞれの媒体がいかにして広告主の期待に応えられるような「魅力」を「視聴者」(広告主に、ではない。広告主も、広告そのものを視聴者に観てもらわねば効果は期待できないからだ)に提示できるのか。それぞれの媒体が持つ真価が問われているといえよう。

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