バフェット氏曰く「今年はひどい状況」

2009/03/03 05:00

ウォーレン・バフェット氏イメージ【NewYorkTimes】などが伝えるところによると、アメリカの投資保険会社バークシャー・ハサウェイの会長を務め、世界的な投資・資産家として有名なウォーレン・バフェット(Warren E. Buffett)氏は2009年2月28日付けの自社株主向け年次書簡の中で、今年は経済的に(アメリカが)ひどい状況になるとの見解を示したことが明らかになった(【該当書簡、PDF】)。

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2月28日の書簡に先駆けて25日に発表された決算では、2008年通期の純利益は62%減の49.94億ドルとなり、バフェット氏が1965年以降バーシャーの指揮を執ってから二度目となる「一株純資産減(9.6%減)」を記録した(他の機会は2001年の6.2%減)。また、商品先物(原油)と2件のアイルランドの銀行への投資の失敗で損失が大きくふくらんでいる。

バークシャー・ハサウェイの株主には毎年同社の書簡という形で、バフェット氏の投資スタンスや現状分析などが語られることで知られている。その書簡の概要は元記事などによると次の通り。

・世界のあちこちで金融機関が生命の危機にさらされている。しかしあまりに悲観しすぎることはない。
・アメリカは過去に、もっと大変な経済危機に直面した経験を持っている。それらすべてに「必ずヘマをせずに打ち勝ってきた(Without fail, we've overcome them.)」。紆余曲折もあったが、経済を支えるシステムは強固なもの(人間の潜在能力を解き放つもの)を作り上げることができた。今回もきっとうまくいく。このシステムを維持できれば、アメリカの最盛期は目の前にやってくる。
・昨今の経済状態の悪化は「(格付け機関や金融派生商品の販売側も含めた)住宅政策の失敗」「金融工学に頼りすぎた結果」にある。
・とりわけ金融工学には「専門家といわれる人たちがむやみやたらと”公式”を持ち出してきたら注意をするべきだ(Beware of geeks bearing formulas.)」。公式の前提にある仮説自身が間違っているにも関わらず、その「公式」の魔術にかかってしまう可能性がある。
・リスクを警戒しすぎるがため、利回りがあまりにも低いアメリカ国債に投資家の注目が集まりつつある。この状況下で景気刺激策によりインフレが起きれば、債券投資家は実質的な損失をこうむることになるだろう。そしてITバブルや不動産バブルと同じように、アメリカ国債バブルが後の世で語られることになるかもしれない。
・金融派生商品にはずっと以前から「大量破壊兵器に等しい」として非難の立場をとっている※。
・金融派生商品のリスクは単に評価そのものが難しいだけにとどまらない。金融の様々な面で複数の要素が互いに複雑に絡み合って生成され、一度どこかが悪化し始めると、それに連動する形で次々に悪化してしまう。自分自身がしっかりとした状態を維持しても、周辺の連鎖に巻き込まれてしまうことも十分にありうる。それはまるで、夫婦間で自分が配偶者以外とは「関係」していなくとも、相手が他の人と「関係」する・していたことで性病を自分も発症してしまうようなものだ。
・2009年の間はアメリカの景気はひどい状況。あるいはそれ以降もそれが続く。ただし株価も景気もその後は回復に向かい、その前後に良い(投資)時期が待ち構えている。

※しかしバフェット氏自身もその金融派生商品への投資で損失を出している。

バークシャー自身も記録的な損失をこうむったが、いまだに利益を出していることに違いはないし、250億ドルほどの現金を手元に保全している。さらにGEの優先株、ゴールドマンサックスやハーレーダビッドソン、ティファニーなどの株式を購入している。それらの株価は下落基調だが、さらなる「お買い得銘柄」を物色中とのこと。

「明けぬ夜は無い」とはよく言われる言葉で、「どんがら」がない限り経済の立ち直りは遅かれ早かれやってくる。それが2009年にその予兆が見えるのか、もう少し後になるのかの違いということだ。ちなみに【アメリカの超住宅バブルとその後の暴落が分かるグラフ】によれば、アノマリー的な考え方からすると2011年に住宅価格は底を打つという。2010年ごろには底値の雰囲気が感じられるというところか。

アメリカの経済が軟調を示して以降、バフェット氏はいわば「影のご意見番」的な立場で立ち回り、非常勤・非公式な立ち位置からアメリカ経済をサポートしている。そのご意見番の意見が的確なものかどうか、それは今後のバークシャーの業務成績やアメリカの経済そのものの動向で明らかになることだろう。

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