「お前負け」 言われる屈辱 耐えがたく 一枚一枚 またコイン積む

2009/03/02 07:55

オークションイメージかつてはお金持ちかマニア層だけの特典というイメージがあったオークションも、インターネットの普及と「インターネットオークション」の登場で、誰でも気軽に参加できるようになった。そのオークションでついつい高値の入札をしてしまう一因には、「負けることに対する恐怖」があることが、アメリカの科学専門誌Science(サイエンス)に研究結果として報告された(【HealthDay】)。

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これはアメリカのニューヨーク大学の神経科学者と経済学者による、脳イメージング技術(brain imaging techniques)と行動経済学(behavioral economic)を組み合わせた研究結果によるものだが、その調査方法は次の通り。

・fMRI(functional magnetic resonance imaging、機能的磁気共鳴画像法)を使い、「対戦相手がいるオークションゲーム」「くじ引き」それぞれのプレイヤーにおける脳の活動を調査。
・双方のゲームでも勝ち負けで金銭を得たり失ったりする。しかし「オークション」では対戦相手に競り勝つか否かで勝敗が左右される。
・「オークション」で負けている時のプレイヤーの脳においては、報酬回路(reward circuitry)の一部、線条体(striatum)が活性化する傾向が見られた。しかもこの活性化の度合いは高値入札の傾向と一致していた。一方「くじ引き」ではその傾向は見られなかった。

以上の結果から、「オークションのような社会的な競争下で負ける可能性が生じてくると、人は高値をつけてしまう可能性がある」ことが示唆された。行動経済学上の研究(異なる環境のもとで、対戦相手とオークションのゲームを行う)でも同様の結果が見られた。

今回のような結果は、これまでの経済学理論では予想にもしなかったことだと、今研究に携わった研究者のひとり、Andrew Schotter・経済学部教授は語る。曰く「リスクを避けたり勝利に対する喜びが、高値入札の原因だというのがこれまでの研究結果だった。しかしfMRIを用いることで、むしろ『負けることに対する恐怖(fear of losing)』が高値入札の大きな要因であることが検証された」とのこと。

競争相手がいるオークションでは
「その商品が欲しい」想いにも増して
「競争相手に打ち勝ちたい」競争心、
「負けたら屈辱だ」という恐怖心が
高値をつけさせる。
また同研究の参加者のひとりであるElizabeth Phelps・神経科学教授は「今回の研究結果から、オークションで『あまりにも高い入札』をしてしまう傾向には、対人間において負けてしまう(社会的敗北)可能性を思い浮かべてしまうことが大きな要因として存在する。そして経済的な意思決定の場においても、社会的な要因(他人との兼ね合い、多人数が暮らす人間社会の中での生活)が重要な要素として関与してくる可能性が示唆された」「神経科学と行動経済学を融合した神経経済学(neuroeconomic)によって、古典的な経済学・経済問題に対する新しい洞察方法を導き出すことができた」とコメントしている。

要は、「オークションにおいてついつい高値をつけてしまうのは、対象商品がどうしても欲しいという要因以外に『相手に競り負けた時の失望感や屈辱を回避したいため』である可能性が示唆された」ということ。思い返してみれば、「競りに出されている商品が欲しいから」という本来の目的を忘れ、「いかに相手を出し抜いて競り勝つか」「画面の向こうに居るはずの競争相手に、1円でも競り負けたら悔しい、負けたら相手はせせら笑うに決まってる」と思い込んで、より高い落札価格を入力してしまう経験を持つ人は多いだろう。

落札し終えてから「なんでこんなものに、こんな高額つけちゃったんだろう」と別の意味で悔やむことが無いよう、オークションに参加するときには深呼吸をして気を落ち着かせよう。そして自制心を心がけるようにした方が、散在せずに済むだろう。


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